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真っ先に子育て支援を削った永藤市長

9月1日発行の「広報さかい」に突然、「来年度から予定していた市独自の第2子の0~2歳児の保育料無償化については、コロナウイルス感染症の影響などによる市の財政状況を踏まえ、延期します」と掲載されました。

驚いた子育て世代の方は多かったことでしょう。

 

この無償化事業は、平成28年度の「第3子以降の0~2歳の保育料無償化」に始まり、その後、以下のように拡充されてきたものです。

 

平成28年度 第3子以降 0~2歳

平成29年度 第3子以降 3~5歳

平成30年度 第2子 5歳

令和元年度 第2子 4歳

令和2年度 第2子 3歳(※)

令和3年度 第2子 0~2歳(予定)

(※)堺市の独自事業として予定されていましたが、その半年前に国の事業として、3~5歳児全体の保育料が無償化されました。

 

第2子の4段階での無償化実施の予定は、平成30年度予算と合わせて発表されていました。

 

これは竹山前市長時代のものですが、永藤市長になってからもこの予定を継承し(←ここがポイント)、ホームページ等でも表明していましたから、0~2歳の第2子がいるご家庭はさぞ楽しみにしていたことでしょう。

 

いや、「楽しみ」というレベルではありません。

 

0~2歳の保育料は高く、所得によりますが、月2~3万円はザラで、多い方では月6.7万円です。年間で80万円を超えるんです。0歳から預けたら、3年で240万円以上です。

それが無償になるんですから…、いえ、なるはずだったんですからね…。

 

これを市として打ち出してきたわけですから、来春からタダになることを前提に、

家のローンを組んだ人、

復職時期を決めた人、

第2子を産むことを決めた人、

そんな方がいたはずです。

 

平均で年間30万円近く、最大で年間80万円、3年で240万円、これは人生設計に影響を与える額です。

無償になるはずだったこの金額が、突然に負担として降りかかるんです。

 

 

永藤市長がこのような決定をした理由は、「コロナ禍による財政難」です。

この「第2子の0~2歳の無償化」で予定された支出は年間約8億円で、堺市の予算規模から考えてもかなりのインパクトですから、そのような決断も理解できなくもありません。

 

しかし、そもそも財政難で市民に負担を求める(あるいはサービスの切り下げをお願いする)のならば、それはできる限り「広く浅く」であるべきです。(当然その上で、「余裕のある人から順に」です。)

ところが、これまで実質的に何一つ事業を見直していない中で、唯一出てきた事業の見直しが、対象人数が3000人の「第2子の0~2歳の無償化」だったのです。

8億円の予算を浮かすということは、83万人で分かち合えば1人1000円ほどで済む負担です。それが3000人にだけのしかかるもんですから、1人平均30万円近く。この「狭く深い」負担には、違和感しかありません。

 

また何よりも残念なのは、真っ先に子育て支援が削られたことです。議会でも指摘してきましたが、永藤市長がご執心の観光誘客のための大仙公園の周辺整備約2億円(国庫補助含め約4億円)は、コロナで観光客が激減する中でも予定通り進めています。

 

もちろん、単発の2億円と、毎年かかる8億円では予算規模が違います。

しかし、成功するアテもないハコモノには何ら手をつけないのに、確実に子育て世代を助ける事業をバッサリと切るなんて、当事者の子育て世代の方々はどんな思いをされることでしょうか?

あれも中止、これも削減、その中で「どうしようもないから子育ても・・」と言うなら、まだ分かるのですが…。

 

 

永藤市長は大仙公園のハコモノ整備を「将来への投資」と呼びますが、「子育て支援こそ将来への投資」だと思います。

現に堺市は、これまで進めてきた保育料の無償化をはじめ、多くの子育て支援の成果が見え始め、合計特殊出生率は大阪府平均より0.1ポイントほど、大阪市よりも0.2ポイントほど上回る、1.4台後半で推移しています。

「出産に占める第2子以降の割合」や、「保育所利用者に占める中間~高所得者層の割合」も増えているようです。

そうした中での子育て支援を狙い撃ちにした永藤市長の決断は、積み上げてきた「子育てのまち堺」のバリューを大きく傷つけることになるでしょう。

 

今回のことは、市民への約束破りです。

どうしても約束を守れない時もありますし、今回がそうなのかもしれませんが、それならそれで「やり方」というものがあります。

議会にも諮らず、市民にも語らず、広報さかいでしれっと掲載するのは、正しいやり方だったでしょうか。

 

 

私がもし市長ならば、

 

子育てや教育に手を付けるのは最後、不要不急の事業を徹底的に見直してからにする。

もし削減するにしても、全廃ではなく、せめて半分程度にする。

もし全廃するにしても、セットで代わりになる支援を少しでもやる。

そして、自らの言葉で市民に事情を説明する。

そうあるべきではないでしょうか?

 

この件、私たちはあきらめませんよ。

少なからぬ議員が同じ気持ちだと思います。

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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