おでかけ応援バス削減再提案と市長の資質
先週閉会した第一回定例会の最大のトピックスは、永藤市長の公約破りの「おでかけ応援バス削減」の再提案が、賛成少数で否決されたことでしょう。
賛成したのは、身内である維新の議員だけです。
この再提案の問題については、以前ブログにも書きました。
委員会での否決を受けて改めて疑問に思うのが、
永藤市長は本気で「可決してもらえる」と思っていたのか!!???
ということです。
当たり前のことですが、議案は可決されることを前提に出すものです。
前回の11月議会ならばいざ知らず、今回はそこで否決された議案の再提案です。
まったく同じものではなく、多少の手は加わってはいるものの、以前のブログにも書いた通り、「低所得者には制度を残す」という所得制限を加えただけです。
確かに、前回の議会で反対会派から「特に低所得者や非課税世帯の方の収入状況を考慮していない点も納得できない」という主張がありましたから、それには考慮したのでしょう。しかし、この指摘は、数多ある指摘のうちの1つに過ぎません(しかも優先順位は低い)。
こんな程度の修正だけで「可決してもらえる」と思ったのならば、
人の話を聞いていない?
理解できていない?
ただのお人よし??
永藤市長は何なのでしょうか。
加えて、「市長はよほどの政治オンチ」だと、私は思うのです。あまりに議会の状況が見えていません。また、まわりに助言する人間がいないのでしょうか。
正直なところ、今回市長が再提案すると分かった時、私は「やられた」と思いました。
一見して、到底可決されるわけもないような議案を出すということは、逆に言えば「すでに可決の道筋をつけた」のだと、私は思ったのです。12月に否決したばかりで、「まさか次の議会で出し直すはずがない」と我々がタカをくくっている間に、一部の会派に政治的取引を持ち掛けて籠絡し、多数派工作に成功したに違いない、そう思ったのです。
実はこのことは、私に限らず、多くの議員が想像したことでした。
いや、議員だけではなく、職員もです。
おでかけ応援バスを所管して「いない」、他部署の少なからぬ職員も「このタイミングで出すのはそういうことに違いない」と感じたようで、何人もとそんな会話をしました。
いや、おでかけ応援バスを所管する部署の職員すらも、「私たちの知らないところできっと市長が話をつけてくれているに違いない」と思ったのではないでしょうか・・。
ところが、フタを開ければそれもなかったようなのです…。
いったい、どういうことでしょうか。
まさか市長は「否決覚悟」で提案してきたのでしょうか?
議会と対決する、戦う市長を演じたかったのか。
私たちを改革に抵抗する勢力に見せたかったのか。
単に負け戦に突撃する自分に酔っているのか。
あるいは、これが私に想像もつかない、高度な政治的駆け引きなのか。
私にはよくわかりませんが、いずれにせよ、否決覚悟で提案するなんてことに付き合わされた職員と議会は、たまったもんではありません。
可決してもらえると呑気に考えての提案か、否決覚悟の無謀な提案か、真相はわかりませんが、どちらだったとしても、そのために職員は忙殺されたわけです。
無理筋な根拠データを集め、当局に都合のいい資料を作り、しかし、議会では苦しい答弁に追われ…、
負け戦を戦わされている部下を、市長はどんな気持ちで見ていたのでしょう。
そして今、彼らは、上司としての市長を、どんな気持ちで見ているのでしょう。
庁内での求心力の低下は避けられないでしょう。
自他ともに市長与党だと認めている維新の会も、市長を擁護するために、かなり苦しい論陣を張っていました。市長に対して、各議員が内心どう思っているか、聞いてみたいものです。
議会も職員も、時間、マンパワーには限りがあります。
このコロナ禍で、もっと議論すべきこと、もっと人と時間を割くべきテーマはたくさんあります。
そんな中、可決されるはずもない議案が放り込まれたことが、残念でなりません。
市長は議会に対して、自らが作った議案の審査を「お願いする立場」です。
ゆえに、可決のためには、事前の丁寧な説明、根回しが重要となります。賛否がきわどい案件ならば、尚更です。
市長自身、過去(市長になられる前)にこんなツイートをしていました。
「相手によって根回しをするかどうか決める」のではなく、「相手がどうであれ根回しをしておく」ことが大切。これはきちんと手順を踏んでいるという証明にもなる。(中略)手順をすっ飛ばして進めてしまうと外からの援護射撃をしようにも難しい。
なんだそうです。
いま、維新の会の市議の皆さんは、身内の市長に対して、まさにそうを思っているんじゃないでしょうか。
堺市議会議員ふちがみ猛志