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この秋の視察

こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。

 

ずいぶん久しぶりのブログになります。愛読者の皆さん(いるんかな?笑)、お待たせして申し訳ありませんでした!!

 

さて、明日から議会が始まります。

 

議会がない時は何をしているの??と訊かれることもありますが、「議会の準備」と「議会後のフォロー」と言えばいいでしょうか。

 

前者は視察等の勉強や、市民の陳情・要望の対応(これが議会質疑にも繋がっていくのです)、後者は議会活動報告の作成・配布などです。

 

この秋も、公務での視察が2回(4か所)、個人で行った視察が1回ありました。今日はこの秋の視察のうち、特に印象的だった3か所について書こうと思います。

 

全国初の子どもの権利条例・川崎市

日本が子どもの権利条約を批准したのが1994年。その後、条約の理念を反映させた子どもの権利条例を真っ先に作ったのが川崎市です(2003年)

 

2010年代になって、権利条例が全国各地で作られるようになり、2023年にようやく国で「こども基本法」が作られたことを考えると、川崎市の取り組みは実に早かったと言えるでしょう。私が以前からずっと行きたかった視察先です。ちなみに堺市はまだ条例を作る予定もありません。とほほ・・・。

 

川崎市の同条例は、単に理念を謳った条例ではなく、子どもの意見を政策に反映させるための「子ども会議」など、具体的な取り組みを定めた条例になっています。

※子ども会議の様子(写真掲載了承済み)

 

子ども会議は小学校4年生から高校生までが参画できる定例の会議体で、毎年その結果を市長に報告・意見交換し、実際の政策や事業に反映させています。

 

また市の側も、何か計画を作る際に「子どもからの意見を聴取するツール」として、その会議体を活用しています。来年度、更新時期を迎える市の基本計画(市政運営の背骨となる最も重要な計画)も、この子ども会議に付議されるそうです。

 

子どもは自分の関わるものごとについて意見を言う権利があるというのは、子どもの権利の根幹をなすものであり、当然と言えば当然のことなのですが、「子ども施策」ですらそのようなことがなされていないのが堺市です「総合計画」を子どもに議論してもらうなど、そのような発想は誰も持ち合わせていないでしょう。

 

このような市職員の姿勢は、まさに条例の産物です。

川崎市の職員は「条例は作るプロセスが大事」と語っていました。単に作るだけでなく、子どもや職員、関係する市民が一緒になって作る。そのプロセスの中で、子どもも職員も市民も、意識が変わっていくのでしょう。

目から鱗がたくさんあった川崎市のことは、ここでは語りつくせませんので、その分は議会で語ろうと思っています!

 

独自の保育士の処遇改善・松戸市

千葉県松戸市は保育士確保のために、最大で1人あたり毎月7.2万円にもなる処遇改善加算を実施しています。堺市でも、これまで「独自加算すべき」との議論が幾度もありましたが、今のところ実現はしていません。

 

それにしてもこの金額はすごいですね。

おおよそこれで、保育士と全産業平均との格差の大半を埋められるものとなります。

これを始めたきっかけが、隣接する東京都で大幅な加算があり、それに対抗せざるを得なくなったというのが大きかったようで、他自治体にそこまでの動きがない中で「堺市ができるのか?」と言われると、ちょっと難しいところはあると感じます。

ただ、その姿勢や工夫は参考になるものがありました。

 

一つは、このような大胆な取り組みは、(保育士加算に限らず)市の姿勢を打ち出すアピール効果が強いということ。東京都への対抗とはいえ、それを上回る金額に設定しており、また、千葉県内では先陣を走っており、「保育士の働きやすいまち」として浸透している感があります。

これは子育て施策全般、あるいはその他の施策にも通じるものがあるでしょう。

思い切った施策を早い段階で実施した自治体が、そのアピール効果を多く得られるものであり、これは決して後追いの自治体に享受されるものではありません。

子育て関連で言うと、関西では兵庫県明石市がその代表格です。

 

もう一つは、当事者に伝わる工夫です。加算額がそのまま(経営者に調整の裁量を与えず)保育士に支払われるようにし、しかも給与明細に「松戸手当」と抽出して書かせているのです。これなら「松戸を選んでよかった!」って思えますよね。

いくら自治体が頑張っても、それが当事者に伝わらないとアピール効果は限定的です。

どの政策分野であれ、受益者が受益を実感できる工夫を大事にしたいものです。

 

中高生が運営にも関わる活動拠点・文京区

東京都文京区にb-lab(ビーラボ)という中高生のための、活動施設があります。

堺市で言えば、「青少年センター」がそれに近い存在だろうと思います。

 

昭和30年代に建てられた老朽化した堺市立青少年センターとは、見た目もまったく違うわけですが、決定的な違いは運営の中身。ハードではなく、ソフトです。

 

1.利用は中高生に限定

まず利用ができるのは区内在住・在学の中高生のみです。これは中高生の居場所、活動拠点でありながらも、そこに「ずっといてほしい」わけではなく、社会に出ていくための成長や交流の場と位置付けているからです。

なんだからすごい割り切りです。

 

2.初めての利用者への声かけ

大学生のボランティアスタッフが配置されていて、初めての利用者には声かけもするそうです。利用者同士がつながるため、居場所として慣れ親しめるようにするための配慮です。

ちなみにこの大学生ボランティアスタッフも、施設に定着してしまうことを防止するため、期限付きだそうです。

 

3.中高生の企画を支援

中高生がこの施設でのイベントの企画書を提出すれば、運営を委託されているNPOのスタッフが支援してくれます。終了後の反省会までやってくれるそうで、そうやって中高生のやる気を応援しています。

堺市の青少年センターでも、若者が何かしらのイベントを企画することは可能ですが、貸館として利用するのみで、企画・運営を手伝ってくれるわけではありません。

 

4.サークルもある!

利用者がサークルを組織し、部員を募集して活動することもできます。その際には、運営者であるNPOのスタッフが、誰か顧問として就任するようです。

ほとんどは、いわゆる文化部のようですが(一部ダンス部なのがあったような・・)、中学校の部活動の地域移行が検討される中、一つのモデルケースとなりそうです。

 

5.利用者が運営に参画

この施設の運営方法について協議する場には、利用者を代表する中高生が参画し、その意見が反映されます。たとえば、ゲームの貸し出し時間等の利用ルールなどです。また、施設の設備についても意見がなされれば、予算の範囲内で対応することもあるそうです。子どもの権利がしっかりと意識されています。

このような施設こそ、率先して子どもの権利保障を実践しなければなりませんが、、、、堺市の施設でそのような話は聞いたこともありませんし、その発想すらないでしょう。

 

視察しただけで終わることなく

ざっと書き連ねましたが、本当に魅力的な施設で、堺市の青少年センターもこんな風になったらなぁ・・・と思わずにはいられませんでした。

 

他にも、東京都立川市にある企業のスタートアップ支援の施設や、三鷹市にある介護関係の実証実験もできる施設など、おもしろい取り組みを見てきました(が割愛します)

なお、川崎市については政務活動費を使っていますから、もっと詳しいレポートを事務局には提出しており、後日公開される予定です。

また、その他の視察は公務ですから、事務局でレポートが作成されることになります。

 

そして何より、今後の議会質疑の中で活かしていきたいと思います。

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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