NOWLOADING

のびのびルームのプロポーザルについて

堺市の放課後児童対策事業の一つである、のびのびルームの事業者が、プロポーザルで選定されるようになるにあたって、関連する議案が、この八月定例会に提出されています。

要するに、のびのびルーム(学童保育の一つ)の運営に、民間事業者の参入を認めようというものです。
(現在は、市の外郭団体「堺市教育スポーツ振興事業団」の随意契約(独占))

これには反対の声もたくさん上がっており、一部で署名運動なども行われているようです。

そこで、私も一年前の文教委員会で、「プロポーザルを検討すべき」と提言した者として、改めてここで、考えを纏めておきたいと思います。長くなりますが、ご容赦ください。

結論から言えば、

・プロポーザルを是とする
・ただし、いくつかのデメリットもあり、そこは十分にケアすべき

というものです。

まず、「是」とする理由は以下の5点です。

①「問題があっても事業者が変わらない」のは問題
②変わりうる民間事業者が育っている
③一事業者だけで増え続ける需要をカバーしきれない
④一定の競争性の中で、事業者の切磋琢磨も必要
⑤堺市に複数ある事業の一本化が必要

少し解説を加えます。

①「問題があっても事業者が変わらない」のは問題
最も多い反対意見は、事業者が変わることで、保育の安定性が損なわれるというものです。もちろん、安定性は重要です。しかしながら、事業者が変わる可能性を排除してしまうと、それは要するに「問題があっても変えられない」ということです。保育所であれば、利用者が選択を変えればいいだけですが、堺市の学童保育は、基本的には小学校区に一か所限定で、利用者には、選択肢がないようなものです(まったくないわけではないが、割愛します。実質的に「ない」と言えます)。変えられる可能性を残しつつ、「いい事業者にはできるだけ長く安定的に」を追及すべきと考えます。(後者については後述)

②変わりうる民間事業者が育っている
本市においても、すでに同じ放課後児童対策事業である美原のびのびルームや、堺っ子クラブで、すでに民間事業者が参入しており、民間のノウハウで、ユニークな取り組みをし、利用者の評判のいいルームがいくつもあります。そうした事業者が育つ前であれば、公がより関与できる外郭団体の果たす役割も多分にありましたが、約20年を経て、環境が大きく変わっています。

③一事業者だけで増え続ける需要をカバーしきれない
1997年に始まった堺市の公設学童保育ですが、少子化が加速しているにもかかわらず、この約20年間で、利用児童は四倍以上になっています。のびのびルームの指導員不足もあちらこちらで指摘されており、堺市教育スポーツ振興事業団、一団体だけでは、すべてのルームをカバーするのに限界があります。(もちろん指導員不足には、他にも理由がありますが、割愛します)

④一定の競争性の中で、事業者の切磋琢磨も必要
何があっても随意契約してもらえるこれまでと、三年に一回見直しがあり、魅力的な提案を求められるプロポーザルでは、どちらが事業者が努力するでしょうか?答えは明白です。

⑤堺市に複数ある事業の一本化が必要
堺市では、過去のいろんな経緯から、「堺っ子クラブ」「放課後ルーム」「美原のびのびルーム」、そして「のびのびルーム」という、主に四つの放課後児童対策事業(いわゆる学童保育)があります。それぞれ、開所時間などに差異があり、その一本化が求められてきて、ようやく目途がついてきたところです。であるならば、事業者選定の方法も一本化すべきです。前の三つの事業には、すでに民間事業者の参入を認めたプロポーザルです。のびのびルームだけが、外郭団体との随意契約です。類似の事業でありながら、のびのびルームだけが随意契約を続けるのは、バランスを欠きます。であれば、すでに参入している民間事業者を排除し、堺っ子クラブなども外郭団体との随意契約にしますか?あるいは、「既存の事業者による安定運営」という視点で、既存の民間事業者と随意契約しますか?それとも、のびのびルームを他の三つと同じく、プロポーザルにしますか?

とは言うものの、政策にはメリットもあれば、デメリットもあります。
一番のデメリットは、安定性が損なわれる「可能性がある」ということでしょう。
先述の①のとおり、「問題のある事業者を変えられる」可能性を残しつつ、「いい事業者にはできるだけ安定的に続けてもらえる」というのが理想です。

そこで私は、過去の文教委員会でも、下記の3点を提案しました。

1.アンケート等により、利用者の声を集め、プロポーザルの結果に反映させること
※評判のいい事業者には加点、悪い事業者は減点

2.プロポーザルを3年ごとではなく、5年ごとにすること
※これは程度の問題ではあるが、指定管理者制度などと比較し、5年が妥当と考える。また、5年とすると、一人の児童が在学中に、事業者変更となることが「多くても1回」となる。

3.変更の際には、新旧の事業者の引き継ぎ期間を、1~2か月程度義務付け、激変緩和すること
※公立保育所の民営化の際には、新事業者に4か月程度の期間を義務付けている

私も子を持つ親ですから、反対している方々の気持ちがわからなくもありません。
しかしながら、限られた財源の中で、よりよい子育て支援をするために、また、私なりに現場を見、事業者・利用者の声を聞いてきた上での、私の考えです。

 

 

 

 

 

 

堺市議会議員  ふちがみ猛志

意見・提案