保護司制度は維持できるのか
私が保護司になって2年が経ちました。
(ご存じない方のために・・)保護司とは、犯罪や非行によって保護観察を受けた人の更生をサポートする、非常勤国家公務員(ボランティア)です。
私もこれまでの間に、保護観察の2人の少年を担当させてもらいました。
さて、本日は保護司会の研修会で、年1回の保護司会の会費を払う日でした。
堺の保護司会の場合、年会費は24,000円。
もらうのではありませんよ、私たちが『払う』のです。
年に4回くらいの研修会をするにも会場費や資料代がかかりますし、堺区だけでも60人ほど、堺全体だとその6倍くらいの組織ですから、運営には何かとお金がかかります。
じゃあ、仕事をすれば何か日当でももらえるのかと言えば、そのようなものは一切ありません!
完全ボランティアです!
対象者を受け持つことになると、その状況にもよりますが、月2回くらい面会することになります。毎月、保護観察所にレポートも出します。同時に4、5人の対象者を受け持っている方もいらっしゃいます。
また、私は未経験ですが、環境調整と言って、刑務所を仮出所する予定の人のために、住まいや仕事の準備を手伝うこともあります。そうなると、かなりの労力です。
よくもまあ、お金ももらえないどころか、年会費を払ってまでこんなことするよなぁ!!!
と、自分でも思うわけです。(私は、非常にお世話になった方に頼まれてやむにやまれず始めることとなり、今となっては、議員の仕事にもその経験が活かせるので、やってよかったと思っていますが)
そのような仕事ですから、常になり手不足に悩んでいます。
国が必要と考える保護司の人数に対し、充足率は90%程度で、これは今後どんどん下がっていくと思われます。
さて、ここからが本題です。
じゃあ、どうやってそのなり手不足を解消していくのか??
国は抜本的な解消策を打ち出せていないのが現状です。
保護司の定年制度は少しややこしいので割愛しますが、来年4月から、その定年の事実上の延長とも言える制度変更を行うようで、おそらく、じりじりと定年を延長することで付け焼刃の対応を続けるのではないかと、私は推測しています。
私自身は、「面会時の公的施設の利用」や、「インターン制度の導入」など、色々とやれることがあると思っていますが、誤解を恐れずに言えば、一番の解決手段は「お金」だと思っています。
お金を払ってまでこのボランティアに従事している現在の保護司さんからは、これに対して否定的な意見が出ることでしょうし、私もお金を払ってまで保護司をしている1人ですから、別に私がお金をほしいわけではありません。くれぐれも誤解しないでください。
ただ、誰かをリクルートする時に、今の制度ではどうしても尻込みしてしまうのです。お金の負担までさせるんですから。退職もされて悠々自適の方ならまだしも、まだまだ子育てなどにお金も時間もかかる若い人には、とてもとても勧められません。でも、少年が相手になることもある仕事ですし、その相手の特性によっては、どうしても若い保護司さんが必要となることもあるんです。
せめて、年会費などの負担なしで、研修や組織運営を公費負担できないものでしょうか。
年会費は、地域の保護司会によって様々だと思いますが、仮に堺と同じ24,000円だとします。全国の保護司は約5万人ですから、その年会費負担をゼロにするのに約12億円です。
国家予算からすれば、また、再犯防止という大きな社会的意義を考えれば、微々たる額です。この保護司の業務を、仮に公務員が担うようになれば、どれほどの財政負担になることでしょう。
あるいはもっと進めて、保護司を有償ボランティアにすればどうでしょう。
保護観察対象者は年間8万人ほどです。たとえば1人担当するごとに平均5万円の謝礼金を出したとしても、年間40億円の予算です。
保護司に限った話ではありませんが、「有償ボランティア」という発想は、行政にとって重要な議論のテーマだと私は思っています。
保護司の定年は「事実上78歳」になろうとしています。
私がこの務めを全うする頃には、果たして定年は何歳になっているでしょうか。抜本的ななり手不足の解消策を国に打ち出してもらわないと、私は死ぬまで保護司をすることになるかもしれません(汗)。
そうならないためにも、せめて「金銭的負担のないボランティア」までは、公費で実現してもらいたいものです。
堺市にもできることはありますから、遠からず議会で提案しようと思っています。
堺市議会議員ふちがみ猛志