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十年越しの気球が上がる

こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。

 

10月4日、大仙公園の気球がお客様を乗せて空へと舞い上がりました。

 

「森にしか見えない」とも言われる古墳を、どうにかして空から見られないものか。

多くの堺市民(や巨大古墳を抱えるまちの住民)ならば、一度は考えたことがあるでしょう。

 

その解決策の一つがこうやって現実のものとなったわけです。

 

この古墳の気球、私も長らく訴えてきたものなので、感慨ひとしおです。

 

最初の大綱質疑

振り返ると、議員になった初めての大綱質疑のこと。もう10年以上前の話です。

そこで実現を訴えた(うちの一つ)が、この気球でした。

 

いや、もっと言えば、さらにさかのぼること1年以上前。堺市議会議員を目指すべく活動を始めた私が最初に作ったチラシにも掲載していましたから、12年近く思いを持って見つめてきたものです。

※議員になる以前の私の活動チラシ

 

初めての大綱質疑の時点では、まだ百舌鳥古墳群の世界遺産の申請段階でしたから、当局は「要望のみにとどめてほしい。答弁を求めないでほしい。」と言ってきました。

すでに当局は古墳の気球の実現に向けて動いていたものの、世界遺産登録前にそんな話がオモテに出ると、「堺市は観光目的で世界遺産を目指している、浮ついている」とユネスコに思われかねないと、そんな心配をしていたわけです。

 

その後、2019年夏に世界遺産登録が実現すると、このプロジェクトはいよいよオモテに出てきます。

 

私も2019年の秋には、韓国の世界遺産の水原(スウォン)に赴き、実際にガス気球に乗って、運行事業者とも意見交換をさせてもらいました。当然、そこで得た情報は、議会で活用させてもらっています。

※水原の気球。左から2番目が私。

 

陵墓の静謐と気球

この気球事業の最大の課題は、「陵墓の静謐」との兼ね合いだったろうと思います。

 

気球から見ることになる仁徳天皇陵や履中天皇陵(※)は、歴代天皇のお墓ですから、「それを上から見下ろすとは何ごとか!」という保守系の方々の反発が容易に想像できたのです。

 

このことについては、竹山おさみ前市長が、保守系言論人の第一人者でもある百地章氏に見解を求め、(見下ろすのではなく)見渡すのなら構わない」と言われたそうです。

見下ろすのは不敬だが、その陵墓の雄大さを見渡すことで、その価値を一層実感することができる・・・。なんて話だったと記憶しています。

※いたすけ、御廟山、ニサンザイ古墳も見渡せる

 

言葉遊びのようですが、この見解に沿って、その後の情報発信がなされていたように感じますし、実際にその手の大きな反発は生じていません。もちろん、一部に根強い慎重論や否定的な意見はありますが。

 

(※)あくまでも仁徳天皇のお墓、履中天皇のお墓だと伝承されているという話で、学術的に確定してものではありません。

 

次々とやってくるトラブル

気球事業を進める上での最初のトラブルはコロナ禍だったと思います。

 

さすがにあの時は、気球を推してきた私も、「こんな時に気球に予算をつけたらあかんやろ、コロナ対策優先やろ」と思いましたしね(今振り返っても、そう思います)

永藤市長はそれでも関連予算を計上しましたが、観光需要が激減する中、なんとなく白けた空気が広がりました。

 

次がヘリウムガスの調達難です。世界的な資源の獲得競争の中でヘリウムガスの入手が厳しくなり、ロシアのウクライナ侵攻がそれに拍車を掛けました。あの時は、私や仲間の議員で、森山浩行議員のツテをたどって、在日カタール大使に入手の協力をお願いしに行ったりもしました。(結果的には違うルートでの調達になりましたが)

 

そして、いよいよ気球が飛ぶとなった2023年、今度は原因不明のガス漏れです。

最終的に気球メーカーを切り替えることになりましたが、これで事業が2年以上遅延することになりました。

※ガス漏れして萎んだ気球

 

また、別のメーカーの気球を調達するにあたっては、運行事業者が資金集めにずいぶん苦労したようです。そりゃあ、原因不明のガス漏れトラブルを起こしたビジネスに融資してくれる金融機関なんて、簡単には見つからなくて当然です。そのこともまた事業開始が遅くなった大きな要因となりました。

 

永藤市長の熱量とは?

数々のトラブルを経てようやく運行開始となった古墳を見渡す気球ですが、早速搭乗した吉村知事がこんな投稿をしていました。

永藤市長と相談してやろと・・・、とおっしゃいますが、先述の通り、前市長時代からやるための準備が着々と進んでいました。私たち議員だけでなく、ずっと以前に副市長が韓国に視察にも行ったと聞いています。

 

できればこういうことは、自分たち(だけ)の手柄にするよりも、過去も含めて取り組んできた人たちへの労いがほしいなと思ったりします。

 

また、「永藤市長の熱量で実現」と言いますが、正直なところ、議会でもそのような熱量を感じたことはありませんでした。

特に、一度目の気球が故障したあと、運行事業者が資金調達に苦慮した際、堺市がその資金をせめて立て替えていれば、半年近くは早く運行を開始できたでしょうし、そうすれば万博需要をもっと取り込めたでしょう。

もし、それくらいの気合を見せてくれていれば「熱量」を感じられたんですが、運行事業者任せにしているようでは・・・。

 

気球は観光だけが目的にあらず

いずれにしましても、気球は上がりました。

 

私も先日乗ってきましたが、実に素晴らしい景色を見られましたし、同乗していた方々もみな、好意的な反応を示していたように思います。

また、私も議会で訴えてきましたが、夜や早朝の運行もしてほしいと思っています。漆黒の古墳と堺の夜景のコントラストは実に神秘的な景色だろうと思います。プロポーズの聖地になったりするかもしれませんね。

 

ただし、この気球事業も、観光客を集めること、お金を稼ぐことだけに目を奪われてはいけないと思っています。

 

そもそも世界遺産登録の目的は、この貴重な歴史遺産を後世に守り、継承していくことです。

そのためには、堺市民を始めとする多くの人たちに古墳の素晴らしさを知ってもらう必要があります。その「知ってもらうためのツール」が気球だと私は思っています。

 

「森にしか見えない」と言われる古墳の価値を実感するのは、なかなか難しいものです。でもこうやってその雄大さを目にすれば、自然とその価値を実感できます。

その目的のため、そしてオマケとして観光目的に、私は気球事業を応援してきましたし、これからも応援しようと思っています。

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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