NOWLOADING

双子育児は大変でも保育所利用は認めない?

こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。

 

2・3月議会についてのブログを書き終えたばかりですが、早くも5・6月議会のブログです。

 

5月30日に大綱質疑に立ちました。いくつか紛糾したやり取りがあったのですが、特に思いを込めて取り上げたのが、「双子のきょうだいの保育」でした。

 

ある双子の保護者からの相談

「双子の育児は大変」

こう言うと、子育てを経験した方ならば誰でも「そうだ」と思うはずです。

 

先日、Aさん(とします)から、こんな相談をもらいました。

 

Aさんには、2才の第一子と、5か月の双子のお子さんがいらっしゃり、現在、育休中の夫と2人で、その3人の子どもを家庭で保育しています。

それがこの秋、夫が復職することになっており、「1人で3人の子どもを見るのは厳しい」と、第一子を保育所に預けたいと考えたのです。

 

しかし、堺市の答えはNo

 

保育施設を利用する要件に合致しないと言うのです。

 

保育施設を利用する要件

保育施設の利用を申し込むには一定の要件を満たさなければなりません。

 

就労、妊娠・出産、疾病・障害、介護・看護、災害復旧、就学、求職活動です。

 

これは国が示した要件であり、たしかにAさんはこのどれにも該当しません。

 

「妊娠・出産」と要件があります。実はAさんは「双子を妊娠している段階」あるいは「双子を出産して8週間以内」ならば、この要件によって上の子の利用を申し込めていたし、その後も継続利用が可能でした。

しかし、Aさんがそれに気づいた時には出産から5か月近くが経過し、「時すでに遅し」で利用を断られてしまったのです。これも、Aさんが不満を感じている点です。

「気づかなかったあなたが悪い」と言わんがばかりの市の対応です。市民が市の制度を細々と把握しているわけがないのです。

 

それでもなお、私は保育施設を利用できて然るべきだと考えました。

 

それは保育施設の利用の要件としてもう一つ。

「その他、保育を必要とする事由」という項目があるからです。

 

認められた自治体の裁量

保育の要件は国が定めているものの、最後に「その他」を設けているのは、自治体によって保育を取り巻く環境が違うことに鑑み、柔軟な対応を認めているからです。

 

堺市では、この「その他」を、虐待があったケースなどに適用しています。

 

この「その他」を拡大すればするほど、特例的な保育施設利用者が増えるわけで、待機児童で溢れかえっていた時代、あるいは現在もそのような都市であれば、できるはずもないでしょう。

一方で、保育施設の空きが十分にある地方都市であれば、「育児が大変な人」に積極的に適用すればいいでしょう。

 

堺市はと言うと、地域差はあるものの、市全体として「5年連続待機児童ゼロ」です。比較的保育ニーズの高い堺区でも、小規模保育を中心にずいぶんと空きが出るようになっています。

そして、まさにこのAさんの場合も、ご自宅の目の前の公立保育所に空きがあるのです。

 

「双子+上の子の育児」を、育児が困難なケースとして「その他」を適用し、上の子の保育施設利用を認めるべきだ。私はそう訴えました。

 

Aさんという一家庭を何とかしたいという話ではありません。

待機児童ゼロ時代の「空き」の活用方法として、育児に困難を抱える家庭の支援のために、積極的に使うべきだと訴えたのです。

そして、まずは「双子+上の子」、つまり「3人の家庭育児」という明確な数字を困難さを測る基準にしてはどうかと主張したのです。

 

市が押し通した公平性という理屈

「双子+上の子の日中の育児、あなたは一人でできますか?」

この質疑に先立つ市職員とのやり取りの中で、何度もこう訊ねました。

いずれの職員も「私にはできない」と言います。もちろん、私、渕上にも到底できません。

みな、「できない」と認めながら、そしてAさん宅の目の前の保育施設が空いていることを知りながら、利用を認めないのです。

「公平性に欠く」のだそうです。

 

Aさんに保育施設の利用を認めたところで、いったいどこの誰が「不公平だ!」と声を上げると言うのでしょう。

 

子育て中の知人・友人にこの話をすると、誰もが「それは大変」「保育施設を使わせてあげるべき」「不公平なはずがない」と、口を揃えます。

 

双子の出産は、全体の約1%。

さらに「双子とその上の子を」「母(父)一人で家庭保育し」「出産・妊娠時の保育の申し込みを逃してしまう」というケースになると、極めて稀です。保育行政全体の公平性を揺るがす話になるとは、到底思えません。

 

寄り添う姿勢のない市長

「その他」は、「市長が認める場合」と置き換えることができます。

 

「子育て中の永藤市長なら、Aさんの大変さを理解してくれるかも」と、一縷の望みを託して「Aさんに想いを馳せて、声をかけてほしい」と市長に問いましたが、

 

(保育所は)まだ十分に余裕があるということではございません。これからの状況も注視しながら・・」と、つれないお役所答弁が返ってきました。

 

十分でなくても、少しでも余裕があるんなら、助けてやれや!!

現にAさん宅の前の保育所が空いてるって言うてるやろ!!!

と、私が心の中で絶叫したのは言うまでもありません。

 

Aさんの状況は、誰が見ても厳しいものです。

永藤市長や担当課は、Aさんにどうしろと言うのでしょう。3人の育児で疲弊して倒れてしまった方がいいんでしょうか?(診断書があれば「疾病」を理由に保育施設が利用可能だと認めている)

 

公平性だの、それが制度だの言わず、

目の前に困難を抱えている人がいれば助ける!

それが「福祉」というものではないでしょうか。

そして、制度上、どうしても助けられないのならば、制度を変える!

 

そんな意気込みと、寄り添う姿勢を持った堺市であってほしいのですが、永藤市長にそれを期待するのは無理というものなのでしょうか。

いや、諦めずに求めていきます。

 

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

LINE登録はこちらからも↓↓↓

https://lin.ee/YdOYWqu

意見・提案