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図書館の複合施設化を考える

東京都武蔵野市の武蔵野プレイスに視察に行ってきました。

武蔵野プレイスは、図書館に、生涯学習支援、市民活動支援、青少年活動支援が加わった、複合施設です。年間来館者数は200万人近くになる、堺市では考えられない公共施設です。

 もし堺市で例えるならば、図書館に男女共同参画センターと、堺市総合福祉会館と、青少年センターが加わったようなかんじでしょうか。しかも、単に加わっただけでなく、その一つひとつの機能が実に工夫されているのです。

 

登録された市民活動団体が、作業や打ち合わせに使えるスペースがこちらです。

 こうしたスペースは堺市立総合福祉会館にもあるのですが、すごいのはここから。

すぐ横には、登録された団体の情報が、その種別ごとに色分けしてファイリングされていて、市民がそれを見ることができます。

 貸し会議室も、あえてガラス張りで、中の様子が伺えます。

 

こうすることで、市民が様々な団体の存在や、その活動を知ったり、身近に感じることもできますし、「参加してみようかな」というきっかけにもなるのです。

 

自習室は図書館にはよく設置されていますが、関心したのは、それをグレードアップさせた「ワーキングデスク」です。

自習室とは差別化され、長時間利用を想定して椅子も豪華で、コンセントを使えたり、休憩できるソファがあったりします。ワーキングデスクは有料で、4時間400円です。月8回優先予約できる限定会員を設けており、年会費は24,000円、毎年120名の応募で即完売するそうです。この会費だけで年間300万円ほどです。

自習室は無料だから、ワーキングデスクは静かな環境でゆったり使えるからと、ほとんど同じ機能ながら、あえて有料ゾーンを作ることで、双方の満足度が上がり、かつ一定の収益になる。素晴らしい発想です。

 

図書館としても素晴らしいものでした。

当たり前のように広くてくつろげる子どもエリアがあります。その近くの図書エリアは、あえて図書の分類の十進法を無視して、料理や、子育てに関する書籍が集められていました。要は管理者目線ではなく、利用者目線なのです。

 何より驚いたのは、レファレンスの実績です。年間3万件近くにもなるとのこと!(普通の図書館の10倍以上かと)

駅前にある立地などもそう、市民活動・生涯学習との複合施設になっていることもそう(調べものをしたい人がそこにいる)ですが、これは何より司書スタッフが充実しているからでしょう。

 

この武蔵野プレイスは指定管理者制度を導入していますが、民間には開放しておらず、実質的に公共がグリップする外郭団体による管理です。そして、60名ほどの図書機能に係る職員は、すべて司書資格を持っているとのことでした。また外郭団体ゆえに、本庁勤務とは違い、司書資格を持って採用された職員が、他の職場に配置転換されることもなく、長く経験を積むことができるとのことでした。このあたりの指定管理者制度や、外郭団体の在り方については、様々な意見はあるものの、司書の力が図書館を左右するというのは間違いありません。

 

武蔵野市民の図書の貸し出し冊数は、市民一人当たり年間約17冊です。これは全国平均の3倍以上です。市民が多様な情報や知識に触れられることは、成熟社会の重要な要素であり、その拠点として確立している証拠の一つでしょう。

 

堺市で中央図書館の建て替えの議論が具体化していく今、また総合福祉会館を始めとする多くの公共施設の建て替え時期が見えてきた今、大変参考になる武蔵野プレイスの視察でした。

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

 

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