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堺が、住民票なしで都構想に?

堺市長選が近づいてきました。

 

今回の市長選の争点として、私は改めて「堺市にとっての都構想の是非」を問わなければならないと思っています。

 

理由は簡単です。

 

四年前よりも、都構想に組み込まれる可能性(反対派にとっては危険性)が高まっているからです。

 

えっ?と思われるかもしれません。

 

理由は以下の通りです。

 

①大阪府・市の都構想の実現性がより増しており、堺はその後追いになるから

 

②後追いの場合、堺市は「住民投票なしで大阪都に組み込まれうる」からです。

 

 

細かく説明します。

 

まず、①について

 

四年前の堺市長選の時点では、大阪都構想の具体的な中身はまだ明らかになっておらず、「堺市が法定協議会に入るか = 参加を前提とした大阪府・市との話し合いの場に加わるか」という段階でした。

つまり、府・市と一緒にやるかという段階だったのです。

 

また、堺市の参加云々は別にしても、大阪維新の会が、法定協議会、あるいは大阪市議会で過半数を握っておらず、現実に協定書が採決されるか(住民投票まで持ち込めるか)は、『かなり不透明な状況』でした。

 

その後、法定協メンバーから反対派を排除したりといった、常識的に考えられない、維新の横暴ともいえる議会運営があったり、公明党が「住民投票だけは認める」と、まさかの方針転換をしたことで、住民投票が実現したわけです。

 

一方、現在はというと、維新から見て、公明党頼みの状況には変わりありませんが、すでに一度あったことです。公明党が住民投票に応じる蓋然性は、四年前より高いと考えるべきでしょう。

 

また、住民投票になった場合、前回が僅差の否決です。

揺り戻しで、可決される公算は、非常に高いと思われます。

 

ですから、『四年前の市長選前の時点より』、都構想の実現性が増していると、私は感じています。

 

さらに言えば、いくら都構想派の堺市長がこの秋に誕生しても、大阪府・市の法定協を白紙に戻して、堺も加えた法定協を立ち上げなおすことは、現実的にありえませんので、「堺は後追い」となるわけです。

 

そして、その「後追い」が非常に厄介なのです。

 

 

続いて、②についてです。

 

2012年に成立した、大阪都構想を根拠づけている「大都市地域における特別区の設置に関する法律」には、このような特例が記されています。

 

「特別区を包括する道府県において、その区域内の 特別区に隣接する一の市町村の区域の全部により 特別区を設置するときも、上記の設置手続による。」

 

『特別区を包括する道府県』とは、(東京都以外に)存在しませんが、大阪都構想が実現したならば、大阪府がこれに該当します。

『隣接する一の市町村の区域の全部により特別区を設置するときも』というのは、例えば、堺市が後から都構想に加わるときなどを指します。

『上記の設置手続きによる』は、議会の承認や住民投票などの手続きのことです。

 

要するに、ここでは「後追いで参加する場合も、議会の承認や、住民投票はいるよ」と書いているわけですが、、、、、

 

この後の但し書きが重要なのです!

 

「ただし、市町村の区域を分割せずに一の特別区を 設置するときは、上記の設置手続のうち「選挙人の投票」は不要とする。」

 

とあります。

 

要するに、「後追いで参加する自治体(堺市)が、分割せずに、一つの特別区として参加するならば、住民投票はいらない」と書いているのです。

 

市長の判断と、議会の承認だけで、都構想に参加できてしまうのです。

 

実は私はこの「一つの特別区で堺市が参加」が、「単純なる権限・財源の召し上げ」で、堺市にとって最悪の結果だと思っています。

しかし、分割アレルギーのある堺市で、「何としても都構想参加という結果がほしい」という市長であれば、十分に選択する可能性があります。

 

堺市の議会構成は、大阪市と同じように、「維新(※)+公明」で過半数に達するものです。

 

(※)実質的に維新と行動を共にしている、離党した小林よしか議員、除名された黒瀬大議員を含む

 

堺市議会の公明党は、大阪市に比べると、都構想には慎重であると私は感じていますが、当然、大阪府・市の公明党のスタンスとも整合性を取らざるを得ない面があるでしょうし、少なくとも都構想に反対する立場から見れば、非常に不安定です。

 

四年前の時点では、仮に都構想派の市長が誕生しても、大阪府・市と同時進行となり、堺市民は住民投票でNoを示すこともできました。

しかし、今回の選挙で都構想派の市長が誕生したら、そうもいきません(いかないかもしれません)。

 

後追いだからです。

 

 

『四年前よりも、都構想に組み込まれる可能性(反対派にとっては危険性)が高まっている』

 

おわかりいただけましたでしょうか?

 

だから、今回の堺市長選においては、「都構想の是非は、争点にしなければならい」のです。

 

 

ついでに申し上げますと、こうなると、議会構成も重要になります。

 

だから、南区の市議会議員の補欠選挙でも、都構想反対の候補を勝たさなければと、強く思っているところです。

 

 

 

 

 

 

堺市議会議員  ふちがみ猛志

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