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堺の転出超過は他人事?

先日、総務省が全国の自治体の転入・転出の状況を発表し、堺市が「転出超過」の全国10位、大阪府内3位に入っていることがわかりました。
もちろん、「転出超過」ですから、これは残念なニュースであり、堺市にとって大きな問題であると言えます。
まず、ブログの冒頭でお伝えしておきたいのは、これは当然、「堺市にも、大いに改善していかなければならない点がある」ということです。
堺市長も、そして私たち堺市議会議員もしっかりとその点を踏まえ、転出を減らしていく努力を、もっとしなければなりません。
そして、私なりに、そのために「やっていること」「これからやりたいこと」がありますが、それはこのブログの本論ではありませんので、ブログの最後に記載したいと思います。
さて、その前提で、私自身、大変気になったことがあります。
それは、松井大阪府知事が「転出超過の自治体の長は責任を感じた方がいい」と、批判の声を挙げたことです。
また、私が見た限り、何人かの府議会議員が、同調するように堺市政を批判したことです。
なぜ、それが気になったのか。
それは、今回の転出超過には、大阪府の責任も多分にあるからです。
大阪府知事としてやるべきことがあり、しかしそれができていないからこその転出超過であるのに、他人事のように批判するのは、いかがなものでしょうか。
また、府議会議員は、大阪府政をチェックするものとしての務めがあるのに、それをスルーして、堺市政だけを批判する姿勢には、大いに違和感があります。
本件に関して、府の責任がないのか、もう一度、冷静に見て頂きたいものです。
繰り返しますが、私は堺市にも改善すべき点があり、現市政も一定の反省をせねばならないと思っています。ゆえに、私もそれを指摘し、また、改善に向け行動しています(詳細は後述)。
では、堺市の転出超過における「大阪府の責任」とは、何でしょうか。
一つは、「泉北ニュータウンの再生」です。
今回の堺市の転出超過は、南区、つまり「泉北ニュータウンの転出超過」によるものです。
堺市全体では、1206人の転出超過でした。
それに対し、南区だけで1655人の転出超過です。
つまり、南区を除くと、堺市は449人の「転入」超過になるのです。
449人の転入超過と言えば、大阪府内43市町村で、第6位に入る水準です。
南区がそれほどにまで転出超過になってしまっている理由は、いくつか考えられますが、その最大の理由は、公営住宅の老朽化でしょう。
そして、その公営住宅の大半が、府営、府公社、URです。
少なくとも、府営、府公社に関しては、大阪府が先頭に立って改善していくべきものです。
もう一つの大阪府の責任は、「府内の一極集中の緩和」です。
今回の人口動態を見ますと、明らかな北高南低の傾向が見て取れます。
転入超過は、43市町村中10市町です。
トップ5で大阪市に続くのは、吹田市、箕面市、豊中市、茨木市と、北摂ばかりです。
一方で、転出超過は、河内、泉州の市町村がずらりと並んでいます。
大阪府(知事)には、府域全体を発展させる責任があります。
もちろん、各市町村にも責任はあるわけですが、大阪府の市内・北摂に偏重した姿勢が、河内、泉州の転出超過に繋がっているのは間違いありません。
一極集中は、全国的な課題であると同時に、多くの広域自治体が抱える課題でもあるのです。
何度も何度も繰り返しますが、堺市政にも責任はあるわけです。
しかし、府の総責任者である知事が、とりわけ、府の関与する割合が非常に大きい泉北ニュータウン(堺市南区)の転出超過や、府域の人口動態の偏重(北摂は転入超過、河内・泉州は転出超過傾向)について、自身の責任に触れることなく、市町村だけ批判するのは、あまりに無責任です。
府域全体の発展を図るのが、府知事の仕事です。
もし安倍総理が、「衰退している都道府県の知事は責任を感じた方がいい」と言ったら、国民はどう思うでしょうかね?
府知事にはぜひ建設的に、河内や泉州のこと、泉北ニュータウンのことを考えて頂きたいものです。
また、大阪府議会議員、特に堺市選出の方々には、府知事に対して、そのことをしっかり訴えて頂きたいものです。
また、私は私で、堺市議としての務めをしっかりと果たしていきますし、これまでも、それなりのことをしてきたつもりです。
市内全体に関わることですが、多子家庭の保育料の無償化に一定の役割を果たせたと思っています。
今後のことを言えば、子育て支援が充実しているといわれる堺でも、病児病後児保育の拡充はまだまだ必要です。
来年度から政令市として教員の人事権が移譲されるのですから、少人数学級の推進は、当然進めるべきものですし、ここにハッキリした姿勢を打ち出せていない現状には、大いに不満があります。
その他、子育て支援や教育に関する課題を挙げれば、キリがありません。
泉北ニュータウンにおいては、(新人で地元でもない私は、まだまだ取り組みが足りませんが)豊かな緑を活かし、プレーパークを作りたいと思っていますし、議会でも、現場でも、そのための取り組みをしてきました。
たかが、プレーパーク、されどプレーパークです。
豊富な子どもの遊び場や、学びの場を軸に、町全体がイメージを刷新していく事例は全国にいくつもあります。
東北で38年連続人口増加という、驚異の実績を上げている山形県東根市は、その最たる例でしょう。
まだまだ、堺市としてやるべきことはありますが、それは大阪府も同じことです。
お互いに責任の範囲を自覚し、双方ですべきことは協力し合い、府民のため、市民のためにまちづくりを前に進めたいものです。

堺市議会議員  ふちがみ猛志

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