子ども子育て会議で要望が実現へ
こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。
子ども・子育て政策の基本的な方針について審議する「子ども・子育て会議」という審議会があります。
委員は16名(任期は2年)。
市議会議員1名がそこに入ることになっており、昨年度と今年度は私が委員となっています。
そこで私が長らく求めてきたことが、実現に向けて大きく一歩進むことがわかりました。
それは「委員に子どもを加える」ということです。
子どもの意見表明権
これまで子どもの意見表明権については、何度もブログで書いてきました。
※ユニセフホームページより
子どもは自分に関係する事柄について自由に意見を表すことができ、大人はその意見を子どもの発達に応じて十分に考慮しなければならない。
日本が1994年に批准した「子どもの権利条約」の根幹をなすものであり、それは今年度施行された「こども基本法」の中にも、もちろん入っています。
堺市では更新時期を迎えた「(仮称)堺市子ども計画」が策定作業中で、それが子ども子育て会議の中心議題になっています。もちろん、「(仮称)堺市子ども計画素案」にも、
「子ども・若者を支援の対象としてとらえるだけでなく、ともに社会をつくるパートナーとしてその意見を聴き、施策に反映させることが重要」
と明記されています。
※「堺市子ども計画素案」より
また、その「施策への反映」は、子ども・子育てに関わるあらゆる分野に及ぶことも記されています。
※同上
当事者の声をと言いながら
明確に「子どもの意見表明権」を打ち出した、「堺市子ども計画素案」ですが、肝心なそれを審議する「子ども子育て会議」の委員に、子どもはおろか、若者が誰一人としていないのです。子ども・若者の意見がそこにないのです。
本当に堺市の子ども子育て施策に、子どもの声を聴き入れるのであれば、その姿勢があるのであれば、各施策の上流にあたるこの子ども子育て会議にも、子どもの声を取り入れるべき、つまり委員に子どもを加えるべきなのです。
私はそんなことを議会で訴え続けてきました。そして、いかに堺市の各事務事業において子どもの声が聴取されていないかを、具体的に指摘し続けてきました。
当初は永藤市長も子ども青少年局も、後ろ向きの姿勢を見せていましたが、ようやく!ようやくです!
この度の子ども子育て会議にて、次の委員の改選期に「大学生を委員に加えたい」との事務局からの報告がありました。
大学生と言えば、18才を超えますから、原則としては「子ども」ではなく「若者」ですが、それすらいなかったことを思えば、子ども委員に向けて大きな前進と言えるでしょう。この点については、当局の決断を評価したいと思います。
できない理由はいくらでも言える
とはいえ、やはり必要なのは「子ども」を加えることだと思っています。最大の当事者ですからね。
子どもといっても、小学生や園児を入れろという話ではありません。18才未満がいわゆる「子ども」ですから、中学生や高校生です。
これまで堺市議会で行った中学生や高校生を対象とした議会報告会でも、大人顔負けの立派な意見を述べる子どもはいくらでもいました。
おそらく当局が後ろ向きなのは、平日の日中に都合が付きにくい中学生・高校生を入れると、会議の開催がしにくくなるという、実務的な課題だと思います。でも、そんな「できない理由」はいくらでも言えるのです。
もともと子ども子育て会議は年4回程度で、1回2時間足らずです。
土日に開催したっていいし、夜間開催でもいいでしょう。夏休みや春休み期間なら平日でも開催できます。また、高校に掛け合って、参加することの教育的意義を理解してもらい、公欠扱いにしてもらえばいいのです。堺市には市立高校もありますから、やる気があればそれくらいできるはずです。
それをやるくらいの意義はあると、私は思っています。子ども青少年局がそれくらいの努力をせずして、他局に「子どもの意見表明権を」と言っても、なかなか理解は広がらないでしょう。
他にもこんな指摘
意見表明権からは話が逸れますが、子ども子育て会議ではこんな指摘もしました。
素案に記された「養育環境等の課題(虐待リスクが高い、不登校等)」という文言。
え??不登校って「養育環境の課題」なの??家庭に原因があるの??
私はこの文言を見て、ゾッとしました。
家庭の養育環境に課題があって、不登校に至るケースもあるでしょう。
でもそうではなく、学校に課題のあるケース、友人など人間関係に課題のあるケース、あるいは課題というより本人の特性によるものなどなども少なくないはずです。
この文言は、不登校で苦慮されている当事者の方々を傷つけかねないものであり、堺市の公式に発出される文書としては、極めて不適切だと言えます。
私は「せめて『養育環境・教育環境等の課題』とすべき」と指摘し、当局はその場で修正すると表明しました。
これも、私という「不登校の当事者」だからこその指摘だったと思っています。
なので私は、この議論に最たる当事者である「子ども」の参加が不可欠だとも思うのです。きっと、子どもなりの目線で、私も含めた大人たちが気づかないことに気づいてくれることでしょう。
そもそもの審議会委員の課題
実は、子ども子育て会議に限らず、多くの審議会で共通する課題があります。
それは、そもそも「市民の声を聴くつもりで設置されていない」ということです。
審議会にもよりますが、たいていは10数人から20人くらいの委員で構成されています。
内訳はたいてい、まずは有識者として大学教授等が数人。専門的見解は大事ですから、これは必要でしょう。
そしてその分野に関わる団体の代表者が数人、たとえば子ども子育て会議であれば、保育園関係の方や、子育て広場を運営しているNPOの方がいます。現場の声は大事です。
一方、必ずしもそれが専門分野というわけではない、地域団体の代表者が何人も入ります市民の代表的意見という扱いにしているのでしょう。
しかし、多くの場合にそれは、委員の枠を埋めるために堺市側がお願いして、地域団体に委員を出してもらっている、団体の側もお付き合いで役員を出しているに過ぎません。そうした団体からの委員には、会議を通じて一言も発言されない方が大勢いらっしゃいます。
きっとその方々も「●●について意見が言いたくて●●審議会の委員になった」というわけでなく、団体の充て職のようになっているのでしょう。
だったら、そのような枠はなくしてしまって、市民公募の枠を増やせばいいのです。本当にその分野について意見を言いたい市民を募るのです。現在はそんな市民公募の枠がせいぜい1、2枠しかありません。子ども子育て会議も16人のうち、1人だけです。
これは結局のところ、堺市当局が「市民の声を施策に反映させたい」と思ってはおらず、「市民の声を聴いたという体裁を取りたい」と思っているに過ぎないのです。そのためのアリバイづくりの審議会なんだと、私は感じています。だから市民公募は少なく、一方でほとんど意見を言わない「お付き合い選出の委員」の枠がたくさん確保されて続けているのです。
子ども子育て会議の委員に、最たる当事者である子どもを加える。
このことが、「当事者・市民の声をちゃんと聴き、施策に反映させる」という当たり前の審議会に変わっていく上での、一つの試金石になることを、私は願っています。
堺市議会議員ふちがみ猛志
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