我が意を得たり!「子供の貧困」の講演
本日の「子どもと女性が輝く社会実現調査特別委員会」で、「子どもの貧困と女性の社会参画」をテーマにした講演がありました。
講師を務めてくださったのは、NPO法人キッズドアの代表・渡辺由美子さんです。
同法人は、大学生・社会人ボランティアと共に、子どもの教育支援に特化した活動を展開しており、代表の渡辺さんは内閣府子どもの貧困対策有識者会議のメンバーでもあり、まさにこの分野の第一人者です。
日本における子どもの貧困の現状、ひとり親の貧困の原因などを、実例をもとにわかりやすく講演してくださり、大変勉強になりました。
子どもの貧困の連鎖については、「親の経済力が学力に繋がること」、「子の学力(学歴)がその後の経済力に繋がること」が指摘されており、経済力に左右されずに教育を受けられるようにすることが求められる……、というところまではよく語られているところであり、政治の場においても、概ねコンセンサスの取れているところです。
しかし、違うのはそこから先の対策です。
その中で印象的だったのが、「塾や家庭教師に行かせられないというだけではなく、生活環境が大きく影響している」というものでした。
勉強しづらい住環境(落ち着いて勉強できる場所がない)や、親のダブル・トリプルワークによる時間の貧困(子どもの勉強をみてあげられない、早寝早起き朝ごはん等の指導ができない)、親がそもそも子どもの教育に投資する気がなく子ども自身も進学に関心がない等々、様々な要因が指摘されていました。
こうしたことを踏まえ、私は、
「キッズドアが展開する無料の学習支援と、塾代助成の違いについてどう捉えていますか?」
と質問しました。
(講義時間がオーバーしたため、終了後、控室で質問)
答えは、「塾代助成は、『経済力はないが、親が教育に関心がある家庭』は救えるが、『経済力も、教育への関心もない家庭』にはリーチできない」というものでした。
他にも、子どもの貧困の連鎖を断ち切る上でのキーワードである、「生活環境の改善」や、「自己肯定感の醸成」「子どものソーシャルスキルの向上」といった点で、両者には決定的な違いがあることを話してくださいました(詳細はあえて割愛。議会のネタに取っておきます・・・!)。
これまで堺市議会でも、塾代助成(クーポン)に関する議論がありました。
実は私自身、8年前に国会議員政策担当秘書の資格を取った時の試験の小論文のテーマが「子どもの貧困の連鎖」でした。私はその対策として「教育クーポン」をあげました。小論文のテーマを見ての(当時はまだ「子どもの貧困」はあまり語られていない問題でした)、咄嗟の思い付きでした。とはいえ、一時は「それがいい」と思ったわけです。
しかしその後議員となり、公教育のあり方について考えたり、色んな現場を見る中で、「果たして塾代助成(クーポン)が本当に子どもの貧困対策になるだろうか」と、強い疑問を抱くようになっていました。
今回の渡辺先生からの答えは、もやもやとした疑問が晴れるような、まさに「我が意を得たり」というものでした。
念のため申し上げますが、渡辺先生は必ずしも塾代助成を否定したわけではありません。「それでは届かない部分がある」という主張です。
他にも「幼児教育の無償化」についての委員からの質問には、「日本の課題は高等教育へのアクセスの悪さであり、幼児教育は相対的に充実している」ということを論理的にお話され、これも私が前々から感じていることでありました。
今回の講演は、私が感覚的に「そうだ」と思っていたことに、論理的な根拠を与えてくれるものでもあり、大変有意義でありました。
「子どもの貧困の連鎖」は、政治の最重要課題の一つです。
今回の講演内容を活かし、堺市なりの子どもの貧困対策、学習支援を提案・実施していきたいと思います。
堺市議会議員 ふちがみ猛志