有権者の意識
小渕経産大臣の政治資金が問題となっている。
後援会旅行で、実際に参加者が支払った会費(旅行代)を上回る内容(観劇等)を提供していた、というもの。
利益供与、場合によっては、買収。
これは、ここ何年かで問題とされてきた、政治資金問題とは、根本的に異なる。
政治資金で関係ないものを買っていた。
政務活動費を不正に受け取っていた。
もちろん、良くない。
でも、良くないと思えば、最悪、選挙で落としてしまえばいい。
しかし、利益供与や買収は、選挙そのものを歪めてしまう行為。
「最悪、選挙で落としてしまえば」という、最後の砦がなくなってしまう。
だから、罪深さの質が違う。
大臣どころか議員辞職、公民権停止も視野に入る大問題なのである。
※同じ小渕大臣の件でも、身内のブティックでの購入や、下仁田ネギの件と、観劇の件はまったく異質で切り分けるべき
さて、そんな大問題でつくづく思うのは、有権者の意識。
だいたい、一万円ほどの参加費で、群馬から東京を往復して、超一流の観劇を楽しんで、あれやこれやも加わって、「おかしくないか?」って、参加者は思わなかったんだろうか?
政治家を応援すればお金や手間暇がかかる。
もしくは逆に、
政治家を応援すれば(直接的に)得をする。
どっちか???
私は当然前者が一般的で、後者ではないと思う。
政治家は本来、政治によって町や国をよくして、それによって間接的に、長期的に、支援者にお返しすることしかできない。
政治家に関わって、お金や食事や観劇で、いい思いをしようという考えがそもそも間違い。
しかし、とりわけ地方にいくと、そういう考えがいまだに根付いている。
私も石川県で国会議員秘書をした時、
会費二千円ほどの会合に、その倍以上の料理を提供し、「そうでないと人が来てくれない」と言っている地方議員がいた。
また、私が仕えていた国会議員はそういうことが嫌いで、決してしなかったのだが、そうしたら「ろくな料理が出ない」と非難されたものだ。
この人たちは何のために政治に関わってるんだ!?
と思ったものだ。
今回の小渕経産大臣の件。
おそらく、昔から、父親の代からの恒例の後援会旅行だったんだろう。
「小渕さんの会はお得よ」
なんて言いながら、後援会幹部は人集めをしていたのだろう。
数千万円に及ぶ事務所負担、いくらなんでも本人が知らないはずはないだろう。
直接的に知らなくとも、会費がわずか一万円そこそこであること、旅行がそれに比べあまりに豪華であることはわかるわけで、気づきかなかったはずがない。
でも、「今までがそうだから」「支援者が楽しみにしてる」「今さら適正な会費にしたら、支援者が離れる」、そんな気持ちで事務所全体が、なあなあになっていたんだろうと想像する。
この問題は、小渕経産大臣の責任だけでなく、いまだに、特に地方で根付いている、そんな有権者の意識が問われているのだと思う。
ふちがみ猛志