本末転倒の保育士不足解消策
私は以前、長女を1年間幼稚園に通わせていた。
いわゆる「年中さん」の年から、妻が事務所を手伝うようになったため、保育所に切り替えた。
保育所にして「よかった!」と思うことがいくつかある。
親としては、送り迎えの度に「子どもの様子をこの目で見れること」。
政治家としては、「保育の現場を見ることができること」だと思う。
幼稚園の時は、家の近くでバスに乗せて、帰りもバス。
たまに参観日や運動会はあるけれど、日常はなかなかわからない。
「保育の現場」でつくづく思うのは、保育士さんの仕事が本当に大変だということ。
心身ともに大変な仕事で、責任も重大。
そこで最近問題になっている、保育士不足。
厚生労働省は、保育士不足を解消するため、教員や幼稚園教諭でも保育できるように、規制緩和をするとか。
なんたることか。
そもそも、保育士不足は、保育士有資格者不足ではない。
資格はあるけど、待遇の悪さと、重労働から、それが敬遠されているだけのこと。
仮に教員や幼稚園教諭でもアリにしてしまったら、保育士という資格の価値が下がってしまい、さらなる待遇の悪化にもつながりかねない。
そして、無資格者の率が高くなればなるほど、当然それは、保育の質の低下として、子どもたちに跳ね返ってくる。
厚労省の役人は、保育の現場に行ったことがあるのだろうか。
「小児科医が不足しているから、歯科医でも診れることにしましょう」なんて話があったら、どうだろうか。
当然ありえない話で、それは専門職である保育士についても、同じだと思う。
大事な子どもの命を預かる仕事。
根本的解決は、待遇改善を置いて他にはない。
4000億円の予算があれば、すべての保育士の年収を100万円アップさせられる。
そうすれば、保育士不足は一瞬で解決するだろう。
すでに保育士として勤めている方の二倍の、潜在保育士(有資格だが、保育士として働いていない)がいるのだから。
まあ、そんな財源、すぐに出せるとは思えないけど、軽減税率をやめたら、出せるよね。
最後に、教育評論家・尾木ママのひとこと。
「保育は専門職!『子守ではない!』」
私もそう思う。毎日それを実感している。
堺市議会議員 ふちがみ猛志