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素直に喜べない待機児童ゼロ

堺市がようやく「待機児童ゼロ」を達成しました。(5月に発表されていますから、ずいぶんとブログを書くべき時期を逸してしまいました…)

 

私は兼ねてより、「無償化よりも全入化」と言ってきました(以前、ブログにも書きました)。

保育の無償化もいいのだけど(決して否定はしていません)、一方で待機児童がいる状況は、「タダで保育を受けられる人」と「保育を受けられない人」の間の不公平感が非常に大きく、よって「まずは全入化」、つまり待機児童ゼロが優先課題だと言ってきました。

何よりも、「保育を受けられるようにすること」は、児童福祉法における行政の責務でもあります。

 

そしてそれが実現したわけです。

達成できたこと自体は、非常によかったと思っています。

これまでの長きにわたる職員さんの努力には、素直に敬意を表したいと思います。(待機児童対策推進室O室長はじめ皆様方、おめでとうございます(^^))

 

先に少し蛇足になりますが・・、このことについて「永藤市長が子育て支援に力を入れたから!」みたいな発信、発言をされている議員さんもいますが、私は「それはちょっと・・」と思っています。

今年度増えた保育枠(944人分)ですら、永藤市長が付けた予算によるものは1/4ほどに過ぎず、残り約3/4は竹山前市長が付けた予算によるものです(それ以前は、当然、前市長の予算によるもの)。

堺市が全国に先駆けて取り入れた「特区小規模」という制度について、「永藤市長の決断」という議会での発言までありましたが・・、これを決めたのも前市長です。

だからといって私は「前市長だけの功績」というつもりもなく、現市長の功績もゼロとは言いません。長きに亘る関係者のたゆまぬ努力の成果だと思っており、その辺を捻じ曲げて政治利用するのはいかがなものか・・と思っているところです。

 

さて、話を戻します。本題です。

 

せっかく実現した「待機児童ゼロ」ですが、私にとっては素直に喜べないことが2つあります。

 

1つは、少なくとも今年度の達成は、コロナ禍による部分が大きいことです。

ご覧の通り、少子化の中でも、保育の利用申込数は右肩上がりで増えてきました。ところが、今年度は前年度比で「マイナス55人」だったのです。

マイナスになったのは、堺市では初めてではないかな・・と思うのですが、これは明らかにコロナの影響です。

 

コロナで在宅ワークが中心となり、保育の必要性がなくなった。(←この理由なら○)

コロナが心配で子どもを預けるのを見合わせて、育休を延長した。

コロナで職を失った。(←この理由は特に×)

等々、コロナの影響が様々あっての「マイナス55人」です。

 

昨年度当初の待機児童が11人で、そこから申込者が55人減っているわけですから、(厳密に言えば地域の偏りもあるから一概には言えない面もありますが)今年度に関しては、おそらく誰が市長をやっていても待機児童ゼロは達成できていたことでしょう

本来なら待機児ゼロ達成に心から拍手を送りたいところですが…、「コロナで保育需要が減ったこと」、ある意味「女性の社会進出が後退した側面があること」による達成ですから、あまり素直に喜べないのが、今の私の気持ちです。

コロナが終息し、保育需要が回復してなおゼロを維持していた時には、心から拍手を送りたいと思います。

 

2点目は、とりわけ小規模保育所で多くの空きが出て、経営に悪影響が出ていることです。

コロナによる保育需要の落ち込みによって達成した「待機児ゼロ」です。

特に先述の理由から、0~2歳の落ち込みが顕著で、その影響の多くが、0~2歳を専門に預かる小規模保育所に集中してしまっています。堺区内では、実に8割ほどの小規模保育所に空きが出ています。今まででは考えられないことです。

ただ、これは待機児童ゼロを維持しようと思えば、どうしても付きまとってくる問題です。需要と供給を、地域差もなくピッタリ合わせるなんてことは、不可能ですからね。

今後も、需要が回復すれば、園の新設・増設もあるでしょう。でもその時には、地域の需要のバラつきをできる限り考慮した、きめ細かな対応が必要です。

そして同時に、小規模保育が避けられてしまう最大の理由である「3歳児の壁」を小さくする必要があります。

小規模保育所からの優先入園や加点について、今一歩進める必要があると考えます。(※3歳児の壁=3歳でもう一度保育所を探す活動を余儀なくされること)

 

待機児童が多かった時は、とにかく保育所をガンガン作ることが大事だったわけですが(それはそれで大変だったのですが)、待機児童ゼロを達成した今からは、そのようなきめ細かな対応が求められるようになります。

また、「全入化」だけではなく、「より希望する園に」という配慮も必要で、その中では、私がこれまでも訴えてきました「兄弟の同一園への入園」というのは、最大の課題だろうと思います。これが当たり前のように実現されるべきだと、私は思っています。

 

堺市の待機児童対策は、セカンドステージに入りました。

そこではぜひ、永藤市政の手腕を期待したいところですし、私も議会で引き続き提言していくつもりです。

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

意見・提案