給食無償化の本音とナゾ理論
こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。
時間がずいぶん経ってしまいました。すでに5・6月議会の真っただ中ですが、2・3月議会の「印象的だった出来事」、アスマイル、資源の持ち去りに続く、最終回第三弾「小学校給食費の段階的無償化」です。
段階的に進める無償化
小学校給食費の無償化自体は、教育関連には本来もっと優先すべき課題(教員の質・量の問題など)があると思うものの、いつかやるべき課題だとは思っていますので、「是」としたいと思います。
しかし、今回の議会でそれがすんなりと進まず、私も含め、批判的な意見が出たのはなぜか。
それは、無償化が「段階的」であり、それも「低学年から始める」からです。
堺市は無償化対象を、令和7年度は「1、2年」、令和8年度は3、4年を加えて「1~4年」、そして令和9年度に「全学年」にすると表明しました。
これの何が問題だったのか。
低学年から始めることの課題
5、6年が対象になるのが2年先となりますと、今年度5年、6年の保護者はすでに卒業してしまっており、無償化の恩恵をまったく受けられないわけです。
一方、高学年からの段階的な無償化にすれば、現在の5年、6年の保護者はすぐに恩恵を受けられますし、低学年の保護者も先々に恩恵を受けられます。つまり、現時点での「全学年の保護者」が政策の恩恵を受けられるのです。
公平性の観点から「高学年から」にすべきであるのは明らかで、私だけでなく、公明党の議員も同様の主張をしていました。
低学年から始めるナゾ理論
そのような当然の「公平性」という主張に対する教育委員会の反論が、なんと「低学年の方が、経済的負担感が強い」というものでした。だから、低学年から無償化するのだと言うのです。
低学年の方が、経済的負担感が強い!!!???
これは教育委員会の出した、家計における教育費の負担を示したものです。
たしかに1年生はランドセルや小学校の備品購入費用などが掛かります。
しかし、2年生は全学年を通じて最も負担が小さくなりますし、
一方、高学年にもなれば、塾などの習い事も増え、負担が増します。
このほかに、教育委員会は高学年になれば、高年齢の保護者が増え、所得も高くなる、、、という理屈も披露しましたが、、、、
そもそも支出で示したのは教育費のみで、高学年にもなれば、食費がかさみますし、携帯電話を持つ子も増えるでしょう。家計全体での支出は、明らかに高学年の方が多いはずです。
子どもが大きくなればなるほど、経済的負担感も大きくなる。
これが、ごくごく一般的な市民感覚ではないでしょうか。
低学年から始める本音
「低学年から」にした最大の理由は、「予算が少なくて済むから」だったと私は見ています。いや、「最大の」ではなく、「唯一の理由」ではないかとすら思っています。
5、6年生は、1、2年生よりも児童数が多いですし、給食代の単価も高く(量が多いので)、無償化する際の年間予算は、5、6年生が6.8億円で、1、2年生の5.9億円よりも9000万円多く必要となります。
教育委員会は、このことも「低学年から」の理由の一つだと認めてはいます。
これに加えて市民感覚からかけ離れた「低学年の方が、経済的負担感が強い」などというナゾ理論を持ち出したわけですが、結局のところは、「予算を少なく」というドケチ根性こそが本音であろうと思います。
「施策の公平性」「市民ニーズ(=高学年ほど経済的負担感が強く、支援が必要)」という大きな目的の前では、9000万円の予算の差など、取るに足らないものだと私は思います。
そもそもなぜ突然に決まったか
永藤市長は、給食代の無償化には慎重な立場を取っていました。
今回の予算案が示されたのは1月のこと。その直前の12月の議会ですら、無償化に慎重な答弁がなされています。
なぜ、急に考えが変わったのか?
それは12月下旬に、石破総理が小学校給食費の無償化に取り組む意向を示したからです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241230/k10014682481000.html
※NHKニュースより
国はおそらく令和8年度、遅くとも9年度には無償化に踏み切るでしょう。そうなれば、必要な予算は国が持つことになるはずです。
堺市は今、無償化に踏み切っても、堺市の負担になるのはせいぜい1、2年。だったら、先に初めて市長の実績に・・・。
というのが実態だろうと思います。
「国の動きを見て、先んじる」ということは、何も悪いことではありません。
ただ、そうするならば、「段階的」などという中途半端なことをするのではなく、思い切って「全学年」を一気に無償化すればいいのに、と私は思います。どのみち国負担になるんですから。
どこを切り取っても、「ドケチ」にたどり着いてしまう、今回の小学校給食費の無償化議論でした。
堺市議会議員ふちがみ猛志
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