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誤解に基づく賛意

大阪都構想の是非は、今回の堺市議会議員選挙の争点ではない。

すでに堺市においては、堺市長選挙で民意が示されているし、今回の住民投票には関係しないしわけだし。

しかし、新聞紙面などで「町の声」を見ていると、突っ込まざるを得なくなるようなことが多々あり、ブログに書いてみることとする。

まずはこちらの「大阪市民の意見」。

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賛成に近い立場の方の「理由」が、ことごとく現実と違っているではないか!!!

■中央区 主婦(69) 賛成
消費税増税などで負担が増え生活は楽ではない。住民税の減税などにつながるならうれしい。


つながりません。
住民税の税率は基本的に全国一律です。
一部、国が定めた税率以下にしている自治体(名古屋市など)もごく一部ありますが、首長の政治判断の色合いが強く、「都構想だから」という話ではありません。
そもそも、4000億円と言われた財政効果はわずか1億円で、一方で600億円以上の初期投資があり、減税の原資がないことは明らかです。

■西淀川区 主婦(38) どちらかといえば賛成
二重行政の解消で効果を出して、税金を保育所の増設に使ってほしい。待機児童もまだたくさんいる。


二重行政の解消効果は1億円、逆に初期投資が600億円以上必要です。
その効果によって保育所を増設することは不可能です。
しかし一方で、都構想と関係なく、保育所の増設は政策判断で可能です。
むしろ、①初期投資が必要ない、②大阪府に財源を奪われない(奪う大阪府は保育所増設にはタッチしない)、③財政が劣悪な大阪府と一緒にならない、という「現状の大阪市」の方が、よほど保育所増設は期待できるでしょう。

■西成区 主婦(41) どちらかといえば賛成
「都」になることで街のイメージも上がり、住みたい人や進出したい企業も増えるのではないか


「都」にはなりません。少なくとも今回の住民投票では。
また、誤解を恐れずに言うならば、東京の山谷は、「都」であっても山谷です。
同様に、西成が仮に「都」になっても、西成のイメージが変わるわけではありません。
変えるための取り組みはあってしかるべきですが、それと住所の先頭に「都」がつくことは関係ありません。

■東住吉区 喫茶店経営(67) どちらかと言えば賛成
税金を懸命に払っているのに、財政難なんて納得できない。行政の無駄を解消してほしい。


その「行政の無駄」が、都構想で解消できるのが年間1億円であり、一方で600億円以上の初期投資がいるのです。それこそが、「行政の無駄」です。
そもそも、大阪市以上に財政難の大阪府と、大阪市が一緒になるのが、大阪都構想です。

私がここで言いたいのは、大阪都構想の否定ではなく、賛成の理由が「誤解に基づくもの」ということ。

「大規模開発がバンバンできるから!」なんて、賛成理由であれば、私はとやかく言いません。

私は、バブルを彷彿とさせる大規模開発は望まないが、たしかにそれは大阪都構想によって起こりうることであり、それを望む人には都構想賛成の理由になりうるもの。
ただし、上記で紹介した理由は、現実とは違う。

こういった理由でもって多くの方が賛成し、大阪都構想が決定したならば、それは賛成した市民にとっても、不幸な結果になるはず。

とにもかくにも、大阪都構想は「説明不足」というよりは、「説明が間違っている」と言う方が正しいのだろう。
あるいは「説明が間違っていたことがわかってきたのに、放置している」といったところか。

私は堺市政を目指す者だが、将来的にも無関係というわけではない。

賛成派、反対派問わず、説明の「量」よりも、説明の「質」を高めることをお願いせずにはいられない。

  ふちがみ猛志

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