NOWLOADING

選択的夫婦別姓の意見書で思ったこと

去る20日(金)の最終本会議で、「選択的夫婦別姓制度の法制化に関する意見書」が、賛成多数で可決されました。自民党だけが反対し、維新、公明、共産、堺創志会、長谷川議員の賛成での可決成立でした。

 

色々感じることがある意見書でした。

 

前議会では、同様の意見書を共産党が提出したものの、その時は維新、公明が反対し、否決され、そこから一転、今度は維新が提出し、自民以外の他の会派も提案に加わりました。

前議会のものは「導入することを求める」、今議会のものは「法制化に向けて早急な議論を始めることを要望する」ということで、若干違うのですが、後者をヨシとするのに、前者は反対というのも、違和感がありますね。「議論はいいけど、導入はダメよ」ってな話です。そもそも「議論せずに導入」なんて、ありえませんからね。

この辺は、内容よりも、党としての体裁があったんだろうと、政党無所属の私は想像しています。

 

今回はまた、「賛成したいけど、党の事情でできない」という方、逆に「反対したいけど、党で決めたからできない」という方、どちらもいらっしゃったようで、政党に所属するのも大変だなぁと思った意見書でした。

その点、無所属は気楽です。選挙は大変ですけどね。

 

さて、「色々感じた」うちの一番は、「マスコミの報じ方」です。

 

今回の意見書で、実は水面下で色々なやり取りがありました。

 

当初、維新が提案してきた意見書には、「同一戸籍・同一氏の原則を堅持しながら、旧姓使用にも一般的な法的効力を認める」という文言が入っていました。

(詳細は割愛しますが)この一文の言うところは、「選択的夫婦別姓制度」とは似て非なるもので、むしろ「否定する文言」と言っても差し支えないものです。

 

維新は、他の議会でも「選択的夫婦別姓の導入に関する意見書」を提出していますが、大阪市会では前述の文言の「ない意見書」を、大阪府議会では「ある意見書」を提出しています。

おそらくこれは、維新の府議会議員に、「(本当の意味での)選択的夫婦別姓」に猛烈に反対する議員がいて、この一文を盛り込んだのだと推測されます。「骨抜きの一文」と言っていいでしょう。

 

堺市議会で当初案にこの一文が入った経緯は存じませんが、府議会同様に拘る議員がいたのか、それとも、単純に大阪府議会の文面を参考にしただけなのか、どちらかだと思います。

ともかく、府議会では、この一文が入ったがゆえに、公明が「選択的夫婦別姓制度とは言えない」という旨の主張をし、同意見書には反対しましたし、堺市議会においても、私や、少なからぬ議員が難色を示しました。そこで維新とあれやこれやの交渉をした結果、維新が譲歩し、この一文を削除してもらうに至りました。(こちらの意を汲んでくれた維新の対応には、感謝です)

 

やたらと前置きが長くなったかもしれませんが、

 

私が色々感じた中での一番。

それは、これほどまで内容に拘って、交渉したり、賛成したり、反対したりしていても、報道では、タイトルが同じだから、同じ「選択的夫婦別姓の法制化を求める意見書」だと一括りにされてしまうことです。

それが私は残念でならないのです。

 

こちらのネット記事は、大阪市会の可決成立を報じるものです。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191025-00010299-bengocom-soci

ここには「また、大阪府議会でも自民や公明などが反対を表明していたが同日、同様の意見書を採択した」とあります。

 

先に申した通り、府議会の意見書は「同一戸籍・同一氏の原則・・・・」という一文があり、決して「同様の意見書」ではありません。同様なのはタイトルだけです。この記事だけを見ると、何やら公明が変節したかのようですが、私に言わせると、公明は筋を通した立派な対応だったと思います。

なのにこの扱いってねぇ・・・。

 

政治のニュースは、わかりづらいものです。

でも、報じる側もそれなりの勉強・努力をして、できるだけ的確な報道をしてもらわなければなりません。この意見書の報道にしても、府議会の公明に取材だけでもしていれば、「同様の意見書でないこと」くらいは分かったはずです。

こういうことが常にまかり通ってしまうと、議員自身も「中身の議論」を疎かにしてしまうかもしれませんし、場合によっては、それを見越して悪意を持って相手を攻撃することも、可能になってしまいます。

 

報道関係の方々には、丁寧な取材と、的確な報道を、よくよくお願いしたいところです。

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

意見・提案