上司だった時の私
育児をしていて大変な時は、「子どもが体調不良の時」よりも、むしろ「パートナーが体調不良の時」ではなかろうか。
本日、妻が高熱を出した(いましがた、インフルエンザと判明)。
朝の駅立ちはお手伝いの方が来るし(子どもたちもまだ寝てるし)、また、夜のタウンミーティングは告知済みなので(子守の応援ももらえたので)、決行。
一方、日中は、0歳の次男の面倒を見なければならず、本日の日中の予定をキャンセルし、仕事はお休みとなった(公務はもともとなかった)。
そういうわけで、子育て中のパートナーの体調不良は、もう一方の仕事への影響も大きく、何かと大変。
さて、そこでタイトルに戻る。
こういう時にいつも思い出すのが、サラリーマン時代、それも辞めるまでの約2年間、管理職になった時のこと。
私には当時、二児の子育て中の部下がいて、一方で私にはまだ子どもがいなかった。
そんな彼は、子育てにからんで会社を休むこともしばしばあり、「妻が体調不良なので」ということもあった。
有給休暇は労働者の権利だから、上司だった私は「ダメ」と言ったことは一度もなかったし、「理解のある上司でありたい」と思っていたから、表面上は快くOKしていた(つもり)。
しかしながら、「妻が…」と言われた時には、内心では、「そんなんで休む必要あるの?大人でしょ?」と思っていたことを、よく覚えている。
いま思えば、まったくの想像力の欠如であり、恥ずかしい限りだ。
そんな心の内が、表情や態度に出てはいなかったろうか、と思えてならない。
いや、きっと出ていただろうし、部下だった彼には、休みづらい空気を作っていたかもしれないし、申し訳なく思う。
この手のことは、理屈で分かっているのと、実際に経験してみて感覚で分かっているのとでは、だいぶ違うのだと思う。
もちろん、パートナーの体調の程度や、子どもの年齢や人数、性格、あるいは親族を含む家庭環境によっても、大変さは千差万別。
それをつくづく感じる、子育て真っ最中の今日この頃。
男性の育児参加は、女性の社会での活躍と表裏一体。
そして、その男性の育児参加を阻んでいるのが、本人のやる気よりも、むしろ「職場を始めとする社会の無理解」だと言われている。
特に「俺の時代は」と思いがちな、子育てを妻に任せていた(子育てをしてこなかった)、中高年男性の上司が、無理解になりやすいと言われている。
若い(当時)私ですら、同年代の部下に対して上記の通りだったわけだから、中高年男性は推して知るべしである(もちろんそうでない人もたくさんいる)。
だから、いま大事なのは、イクメンではなく、イクボス。
育児を始めとする、部下のプライベートに理解を示し、自身もプライベートを満喫する上司。
例えば男性の育休取得について、新人の男性会社員にアンケートを取ると、「いつか子どもができたら育休を取ってみたい」という人が、半数を超えるらしい。
しかし、実際に取るのは、2.3%。
この大きなギャップは、イクボスの存在で大きく改善されることだろう。
上司だった時の私は、決してイクボスではなかったのだけど、そんな反省も含めて、イクボスが増えていく環境づくりに、議員としても、個人としても関わっていきたいと思う。
育児の大変さを、身に沁みて感じるからこそ、その当事者の感覚を大事にして。
堺市議会議員 ふちがみ猛志