呆れるばかりの教育委員会の姿勢
去る23日の文教委員会で、新しく堺東に完成する「再開発マンション(旧ジョルノビル)」の件を取り上げました。
1年半前、1年前に続き、3度目です。
再開発マンションの校区を、現在の榎小学校区から熊野小学校区に移すべきではないか?
という提案を2度にわたってしたことに対し、その答えをもらうためです。
提案のポイントを簡単に言えば、
・再開発マンションは榎校区の北西の端、熊野校区に接した場所にある。
・榎小はクラス数が過密、熊野小はゆったり。
・榎小は運動場が狭小(1人あたり面積は保育所以下)、熊野小はゆったり。
・榎小は学童保育の(まともな)スペースの確保が不可能、熊野小は十分可能。
・再開発マンションから榎小への通学路は危険、熊野小へは安全。
・再開発マンションはまだ人が住んでおらず、今なら変更できる。
などなどです。
詳細は過去ブログをご覧ください。
この私の指摘に対し、1年前、永藤市長は「検討しなくてはいけない課題。教育委員会と協議する。」と答弁しました。
それから1年・・・。
その検討・協議結果を確認しようとしたわけですが、それはそれは、ツッコミどころ満載のやり取りとなりました。
すべてここに掲載したいところですが、長くなるので主だったものをピックアップします(まだ議事録ができていないため文言の差異はありますが、質疑内容の主旨はこの通りです)。
なお、「→」以降は私の心の声です。
【渕上】検討結果は?
【教育委員会】榎小のまま。変更しません。
【渕上】市長は検討結果の報告を受けたか?
【市長】議会前に受けた。
→議会で取り上げると分かって、教育委員会は慌てて市長に報告したのね。
【渕上】市長は「検討が必要」と言ったが、結果に納得しているか?
【市長】「検討が必要」と言ったのは、堺市全体の「校区のあり方」という意味で、榎小のことではない。
→今さら、そんな逃げ方あり?議事録見たら、榎小のことを(も)言うてるのん、丸わかりですけど。しかも、1年前の質疑の後に榎小に視察に行ったことも、聞いてるし。(市長の姿勢もいただけません)
【渕上】変更しない理由は?
【教育委員会】コミュニティが分断されるからです。
→再開発マンションはまだ工事現場で、誰も住んでいないんですけど、コミュニティがどこにあるの?
【渕上】仮に工事現場の校区変更が「コミュニティの分断」になるとして、それが教育にどう悪影響を及ぼすのか?
【教育委員会】地域の人たちには、見守り活動などをやってもらっています。
→答えになっていない。あの工事現場に、見守り活動してくれている人がいま住んでるの?それとも、いまやってくれている人たちがヘソ曲げてやってくれなくなるってこと?
【渕上】この一年、どのような検討を行ってきたのか?
【教育委員会】他市の先例を調査しました。
→こんな超ローカルなテーマの判断に、他市の先例なんか関係あるんか!?
【渕上】どのような先例があったのか、紹介を。
【教育委員会】先例はありませんでした。
→ないんかい!!!!!!1年間、何をしててん!!
【渕上】「コミュニティの分断」というなら、検討にあたって地域の方々や、保護者と何らかの協議をしたのか?
【教育委員会】していません。
→正直すぎるやろ!アリバイくらい作っとけや!!!!
【渕上】現在校舎を増築中だが、それでも6年後の予測では、教室数の余裕はほとんどない。児童数が2割ほど増える予測だが、支援学級は何クラス増える?
【教育委員会】今と同じ7学級です。
→これから増える児童は、みな健常児か?(見込み甘すぎない?)
【渕上】少しでも予想が上振れしたら、教室が足りなくなる。敷地が狭く、これ以上校舎を建てる余地がなく、工事するスペースもない。そうなったら、どうするのか?
【教育委員会】今ある校舎の階数を増やすなど、適切に対処します。
→積み木を載せるんちゃうねんで。工事スペースもないのに、どうやって積むの?
【教育委員会】再開発マンションは価格帯が高いので、子育て世代は少ないと考えています。(1年前の答弁)
【渕上】再開発マンションには保育所が入ると聞いているが。
【子ども青少年局】保育所が入ります。区役所へも問合せが多数入っています。
→ほんとに子育て世代が少ないマンションになるの?逆に子育て世代に人気のマンションにならないか?児童数の予測が上振れしないか?
【渕上】新しいマンションに引っ越してから、子どもを産むケースが多い。(マンション完成する)来年度以降に子どもが増えることは想定しているか?
【教育委員会】していません。児童数予測は6年先までです。(=すでに生まれている0歳の子の数で6年後の児童数を予測するが、それより先の予測はしていない)
【渕上】子ども青少年局(待機児童担当)として、この地域をどう捉えているか?
【子ども青少年局】今後も保育需要が伸びる(子どもが増える)地域と捉えています。
→教育委員会…、大丈夫か??
とまぁ、このようなやり取りが続いたわけです。
私は「校区変更をしない」という結果にも首を傾げていますが、それよりも問題なのはプロセスです。
議会で指摘をされ、市長も「検討が必要」と言ったのに、何もしていないのです。
そして、結果についてまともに説明すらできないのです。
私はこの件を突然に取り上げたのではありません。
実は3か月前の議会でも、今回のような確認をしようと思って通告し、職員と一定のやり取りをしていたのですが、結果として質問時間が足りず、今回に先送りした経緯があります。
ならば、せめてこの3か月でちゃんと答えられる準備をしておこうよ!!!
と私は思うわけです。
この件の教育委員会の対応で感じられるのは、「議会の質疑さえ、なんとかその日さえやり過ごせられたらそれでOK」という酷いものです。
議会が終われば、喉元過ぎれば何とやらで何もせず、そしてまた次の議会でその場しのぎの回答を繰り返しているのです。
私は真剣に子どもの教育環境を心配しています。榎小の過密は、今もあり、そして進行している課題です。
また、教育委員会の児童数の増加予想が上振れしたら、あるいは今後、同校区でさらなるマンション等の開発があって、さらに児童数が増えたらどうなるでしょうか。
もはや榎小学校の敷地は、校舎を増やす余地はなく、その時は「人が住んでいる場所の校区変更」をせざるを得なくなり、本当に彼らが言う「コミュニティの分断」が起こってしまうことでしょう。将来に大きなリスクをはらんだ問題なのです。
榎小の過密に困っている切実な保護者の声がある一方、いざ校区変更となれば反対する方もいたことでしょう。
教育委員会は、そのような(一部の)反対の声を恐れるあまり、子どもらの教育環境のことや将来のリスクに目をつぶり、現状維持を選んだ、何もしないことを選んだのです。「コミュニティの分断」という、(工事現場では)あるはずもない妄想を持ち出して。
典型的な事なかれ主義、問題の先送りと言えるでしょう。
情けない限りですが、この件はもはやタイムリミットが過ぎました。
年明けには入居が始まりますから、もはやそれからの変更は困難です。
私がこの件を議会で取り上げたのが1年半前。
非公式の場ですが、職員に問題意識を伝えたのが4年以上前。
あの時に対処してくれていたら・・・、と思うばかりです。
私自身も、もっと早く公式の場で取り上げていれば・・と悔やんでいます。
これから少子化に伴って小規模校が増えて、校区の再編も増えますし、それはもっと骨の折れる作業です。
このような教育委員会の姿勢では、この先が思いやられるばかりです。
堺市議会議員ふちがみ猛志