ドラマに見るアメリカ社会
最近、アメリカの人気ドラマ「THIS IS US」にハマっています。
すでにシーズン5に突入しているヒューマンドラマです。
双子の男女と、同じ日に生まれて養子に迎えられた黒人の男の子の、合わせて3人の子どもが白人夫婦のもとで育てられ、36歳となった今、仕事や子育て、3人のそれぞれの関係に苦闘します。子どもの頃の両親との出来事、さらにその両親の過去、時に3人の未来が交錯しながら、ストーリーが展開され、子どもの頃の小さな出来事がいかに人生に影響を及ぼすか、そんなところが緻密に作り上げられています。
家族愛や、兄弟の絆といったありふれたテーマに加え、
養子縁組
人種差別
アルコール依存症
ドラッグ
過食症・拒食症
パニック症候群
認知症
性的マイノリティ
といった、日本のドラマで取り上げる機会が決して多くはない、わりと重いテーマが絡んできます。
私の議員の目線でこのドラマを観て驚いたのが、依存症患者の自助団体や、セラピーが当たり前のように出てくることです。
(※ネタバレ注意)
36歳の3人のうち、1人がアルコール依存症、もう1人は過食症、もう1人はパニック症候群を抱えています。
そして、それぞれが当たり前のように自助団体(断酒会)等に通ったり、セラピーを受けたりしています。過食症の女性に至っては、過食症を含む肥満の方の自助団体に通うシーンもあります。「そんな自助団体があるのか!」って感じですよね。
こういうのを見ると、日本における自助団体、あるいは、セラピーやカウンセリングとは、ずいぶんと違うのだろうなぁと思ってしまいます。(日本に比べれば)当たり前のように社会に浸透し、受け入れられているのでしょうね。
私は議員として、断酒会(アルコール依存症の自助団体)の皆さんとお付き合いがありますが、その認知度がどうかというと、決して高くはないと感じています。だから現に、依存症の方でも断酒会の存在を知らず、出会えないままに苦しんでいる方が大勢いらっしゃるわけです。人気ドラマで取り上げられている、ましてや主人公が通っているなんてことは、私は聞いたことがありません。
アメリカで『実際に』精神疾患について、どれだけオープンに語れる状況なのかは存じませんが、少なくとも日本よりはずっと受け皿が整備され、かつ、受け皿の存在が認知されているのだろうと思います。
日本でも精神疾患の患者が400万人を超えています。
これはあくまでも医療を受けている方の数であって、医療に至らずに苦しんでいる方、予備軍といえる方、自助団体やセラピー、カウンセリングの力を必要としている方は、その何倍もいることでしょう。実に身近な問題です。
なのに、社会全体としては、まだまだ目が向けられていないように思います。
テレビやドラマの影響力はすごいですからね。
依存症等の精神疾患だけでなく、
養子縁組のことや、性的マイノリティのことなど、
社会問題をテーマにしたドラマなんかが、日本でももっと増えないものですかね。
そんなことを思いながら、「THIS IS US」、おすすめさせてもらいます!
(※ネタバレ再注意)
ちなみに、個人的には、主人公の3人のうちの1人、黒人のランダルが市議会議員に立候補するあたりが、「わかるー」って感じのことが多く、秀逸です。
堺市議会議員ふちがみ猛志