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気球は本当に飛ぶのか

こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。

 

今議会で堺市が取り組む「古墳を見渡せる気球」について質疑し、その様子が夕方の情報番組でも取り上げられました。

放送はごく短い時間だったので、私の真意が伝わったかどうか定かでありませんし、またご覧になっていない方の方が多いだろうと思います。

 

感心を持たれている方も多いテーマなので、ここでブログにまとめてみたいと思います。

 

私は気球推進派

まず、私はこの気球事業を推進する立場です。

 

「古墳を空から見たい」と言うのは、多くの市民、観光客が思うところであり、実現できれば堺の観光の目玉になるだろうと、私は思っています。

 

「タワーや観覧車を作ればいい」という意見もありますが、古墳周辺の景観に影響を与える建造物を新設すると、世界遺産登録が抹消になる可能性があります(ドイツで抹消になった事例があります)。一方、気球は常設ではないので、その心配がありません。

 

また、広大な古墳を見渡すには少なくとも100m以上の高さが必要で、そのような建造物は費用の面からも現実的ではありません。

 

私は2019年10月に韓国の世界遺産である水原華城(スウォンファソン)に行き、実際に「城を見渡せる気球」に乗ってきました。景色が素晴らしいのはもちろんのこと、気球はアトラクション的な楽しさもあり、私はその魅力を実感しました。

※韓国の水原華城の気球

 

ちなみに水原では上空からの夜景を楽しむカップルも多いそうです。

漆黒の古墳と堺東の夜景の対比、なかなか良さそうじゃないですか?

 

「観光よりも」という声

気球事業を否定するご意見としては、「観光よりも福祉を」といったものが多いと感じます。

私もその気持ちは理解できますし、現にコロナ禍が始まったその最初の予算編成においては、「いったん気球はストップして、コロナ対策を」と、私は訴えました。推進派の私ですが、当時としては当然の主張だったと今でも思っています。(ただし、永藤市長はストップしませんでしたが)

 

コロナ禍も落ち着き、観光需要が非常に高まっている中、堺市はその需要を取り込めずにいます。行政が観光ばかりに傾注してはなりませんが、運営そのものは事業者の負担によるものです。現時点の市の負担は、発着場の整備の2700万円です。私は「堺の観光の目玉を作ること」「市民が古墳の魅力を体感できること」という目的を考えれば、十分に許容できる範囲だと思っています。

※運営事業者のホームページより

 

なぜ気球は止まっているのか

永藤市長は2019年の就任直後に気球事業を公表しました(竹山前市長の頃から水面下では検討が進んでいましたが)

 

その後、事業者が選定され、発着場が整備されたものの、肝心のヘリウムガスが世界的な需要拡大により、なかなか入手ができず、ずいぶんとスケジュールが遅れます。

ようやくガスが調達できて、大仙公園に気球が姿を現したのが、2023年春。しかし、想像もしなかったガス漏れにより気球は運行することもなく、姿を消したのです。

※朝日新聞ニュース「ヘリウムガスが抜けて運航延期へ」

https://www.asahi.com/sp/articles/ASR586444R58PPTB002.html

 

さらにガス漏れの原因を調査する中で、気球メーカーが廃業。まさに踏んだり蹴ったりです。

 

その後、世界的にも実績のあるフランスの気球メーカーに切り替えて、再び事業は進めることが示されます。しかし、時間が経っても、いまだにその進捗が見えてはこず・・・

 

「なぜ止まっているのか?」

今議会で私は問いました。そして理由が明らかになりました。

 

運営事業者が資金調達できないためです。

 

金融機関が融資するだろか

気球の新調とガスの調達には、3億円近い資金が必要です。

 

前回のガス漏れ事故の原因が今一つはっきりしないままに、メーカーに逃げられてしまっているような状態です。そのような状況で、改めて融資してくれる金融機関などあるでしょうか。

 

堺市の担当者は、運営事業者に同行して金融機関をまわっているそうですが、堺市が保証してくれるわけでもなく、そんなことくらいで融資してくれたら世話ありません。

堺市は「運営事業者が返済可能」という前提で金融機関に同行しているわけです。「だったら、堺市が出しなよ」というのが、金融機関の本音ではないでしょうか。

 

そうです。もはや、堺市が出せばいいのです。いや、「出すしかない」のです。いったん。あくまで「いったん」です。

 

できないならば事業中止を

運行事業者からの回収計画を立てた上で、堺市が「いったん」資金を拠出し、早期の運行開始につなげるべきだと、私は思っています。

運営事業者自体は、全国でいくつものキャンプ場やスキー場を運営しているアウトドア企業で、決してこの気球だけで儲けようとしているわけではありません。むしろ、堺市での気球事業で経験を積み、他への展開を狙っているようです。

 

「短期的な儲けよりも、まずは早く経験を積みたい」のだとすれば、比較的、回収計画も立てやすいはずです。

 

すべてをお金で返してもらうのではなく、「堺市民は無料」など、一部が現物であってもいいと思います。どのみち堺市は、「子どもの無料招待」に一定の負担をするつもりだったのですから。

 

一方、もしそれができないのであれば、とっとと事業をやめるべきだと私は思っています。堺市が出さないのならば実現の見込みは非常に薄く、そのような事業に、延々と職員の労力を割くわけにはいきません。2700万円の発着場整備費は、極めて残念ですが「損切り」です。

 

繰り返しますが、私はこの事業に期待し、推進する立場です。

なので、第一の選択肢が「堺市が『いったん』約3億円を拠出して、早期に事業を進める」です。そして、それがダメなら第二に「すぐやめる」です。

「できないことを延々と待ち、延々と職員の労力をかける」というのが、最悪の選択肢だと思っています。

 

市長は肚をくくれるのか

もちろん、その約3億円は「いったん」であっても拠出するわけで、100%回収できる保証はありません。回収できなければ、非難は免れないでしょう。

また、「やめる」となったら、これまでの労力と2700万円がパーですから、それもまた非難されるのは間違いありません。

 

でも、そこも含めて、肚をくくるのがリーダーの仕事です。

 

市長が早く決断しないと、万博期間に間に合いません。

 

私は万博が成功するとは思っていませんが、それでも大阪への観光客がそれなりに増えるのは間違いないでしょう。気球事業の効果を最大化し、堺に観光客を呼び込むチャンスではあります。

もちろん、気球の運行は安全第一でスケジュールありきではいけませんが、だからこそ、今すぐにでも決断し、気球とガスを早期に調達し、早期に試験運行(訓練)を始めないと、万博期間中の営業運行は難しいでしょう(今すぐ決断しても、4月の開幕には間に合わないと思います)

 

市長は、決断を迫る私に「強い思いで臨んでいる」としながらも、結局は運営事業者に対して「側面的にサポート」としか言えず、期待が膨らむことはありませんでした。

果たして、気球が膨らむのはいつになるのでしょうか。そんな日は来るのでしょうか。

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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