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投票の代筆の矛盾

先日、投票の代筆に関するニュースがありました。

 

障害者が投票の際に、気心の知れたヘルパーに代筆を頼もうとしたところ、「投票所の職員による代筆」しか認められなかったというものです。

 

【投票代筆する人「選ばせて」 記入困難な男性、再び断念】

 

 

そんな折、先日お見舞いに行ったALS(筋萎縮性側索硬化症)の知人から、投票の代筆に関する話を聞きました。

 

その知人は、入居している施設が投票所登録をしておらず、ご自身も要介護5で外出がままならないので、「郵便投票」の手続きをし、また手が不自由なので代筆をしようとしたそうです。

 

そこで私は、代筆に関する制度の矛盾が二つあることを知りました。

 

 

一つ目は、投票所では代筆者は職員に限られますが(上記のニュース)、郵便投票では代筆者に制限がないことです。

 

そもそも前者の制限は、不正投票を防止するのが目的と思われますが、密室で行われる郵便投票に比べ、投票所には職員の目もあります。

わざわざ職員が代筆せずとも、同行した代筆者(家族やヘルパー)が「投票者の意を汲んだ人間であること」を確認し、代筆後に職員が(書いた面を見ずに)投票用紙を投票者に見せて、「意に沿った投票であること」を確認すればいいのです。それで十分に不正は防止できます。

 

オープンな投票所ですら職員以外の代筆が認められないならば、郵便投票の代筆が「誰でもOK」なのは明らかにおかしく、その場合も職員が出張して代筆する必要があるでしょう。

 

もちろん私は、そうではなく、「投票所においても、郵便投票と同様に『誰でもOK』とすべき」と思っています。

 

 

二つ目の矛盾は、投票所においては自己申告で、極端に言えば「腱鞘炎で手が痛いから」という理由でも代筆が認められるのに対して(ただし先述のように職員の代筆となる)、郵便投票では「手や目の障害1級」が必要だということです。

 

私の知人は、手の障害が「2級」でした。しかし、進行性のALSですから、あっという間に手が動かくなりました。

その時点で、障害認定を取り直し「1級」をもらっておけばよかったのですが、呼吸器官等のその他の部分が1級に認定されていますから、差し迫った必要がなければすぐにはしないものです。

だいたい公職選挙法なんて細かく確認しませんし、ほとんど身動きが取れず、手がまったく動かないALS患者の自分が、「代筆が認められない」なんて思いもしなかったのです。

結局彼は「手の障害が2級だから」と代筆が認められず、投票できなかったのです。

 

 

この点に関しては、一つ目とは逆に、郵便投票における代筆の基準が厳しすぎるのです。

障害の等級も大事ですが、現に動かせるかどうかで判断すべきです。

 

 

有権者であれば誰でも「投票できる」ということは、言うまでもなく民主主義の根幹にかかわるものです。

到底、不正に繋がるとは考えづらいことにまで不正防止のための規制を設け、「投票できない人」を作ってしまったり、「投票の秘密」を侵してしまっては、本末転倒です。

 

 

わずか1票、されど1票。

 

「貴重な1票を無駄にせずに!」と有権者に呼びかけるならば、そもそもの公職選挙法も改めなければならないところがたくさんあります。

 

他にも、公職選挙法は矛盾だらけです。

公職選挙法こそが、政治と市民の遠ざける、最大の原因なのかもしれません。

 

 

 

 

堺市議会議員  ふちがみ猛志

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