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橋下改革をぶち壊す維新の水道料金値下げ案

堺市長選挙の争点として急浮上してきた(維新がさせてきた)のが「水道料金」の問題です。

選挙公報や、各種のビラにも大々的に「維新なら値下げができる」という主旨のことが書かれ、各地での街頭演説でも、その主張が非常に多くを占めるようになっています。

 

 

 

そして、その値下げの手段として、彼らが主張しているのが、「大阪市から水を買う」というものなのです。

 

 

これには私も仰天しました。

これまでの大阪府の水道行政に関する経緯や、現状、今後の方向性を全く無視した、暴論としか言いようがありません。

 

 

もしこれを進めるならば、間違いなく、「当初」橋下徹氏が「改革の一丁目一番地」として進めようとした、そして竹山おさみ市長も進めてきた大阪府内の水道行政の大改革への道は、一気に崩壊することでしょう。

 

順を追って、①府内の水道事業の構造、②改革の方向性、③今回の維新の主張を説明していきます。

 

 

 

①府内の水道事業の構造

 

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水道事業は大きく分けると、「取水・浄水事業」と、各家庭や事業所への「給水事業」に分かれます。

 

大阪府内においては、古くから大阪市が独自に域内の「取水・浄水」と「給水」を一貫して担ってきました。

一方で、府内の他市町村はと言えば、浄水には大規模な施設が必要ですし、何よりも、豊富な水源がなくてはなりませんから、大阪府が淀川で取水・浄水し、各市町村に水を卸売りしてきたのです(一部、河川や地下水を取水している自治体もあり)。

 

今は、この大阪府の「取水・浄水事業」は、当時の橋下知事の肝いりで、42市町村で構成する「大阪広域水道企業団」に継承されています。後述する「取水・浄水事業の大阪市との統合」のためです。この企業団は、現在は堺市の市長が、企業長を務めています。

 

 

 

ここで確認してもらいたいのは、大阪市の水道料金が安いのは、「水源である淀川に近いこと」「自前で浄水できること」「大阪市は古くから整備がなされたので投資の負担が少ないこと」によるもので、維新政治によるものではないということです。

 

 

 

②改革の方向性

まず、最初に挙げられるのが、大阪市と大阪広域水道事業団(かつての大阪府)との、「取水・浄水事業」の統合です。

 

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守口市の淀川沿いに並ぶ、大阪市と大阪府の庭窪浄水場は「二重行政の象徴」とも言われました。人口減少の中、大阪市と大阪府の浄水場のキャパシティに余裕が出ていることもあり、取水・浄水の統合が実現すれば、経営の効率化が図られ、水道料金の大幅な値下げが実現する可能性があります。

 

この統合に関しては、幾度となく交渉が続けられてきました。詳細は割愛しますが、橋下市長時代に、統合の条件が大阪市にとって有利な方向に複数回譲歩させられ、都度、竹山市長(大阪広域水道企業団企業長)が、41市町村と調整し、都度それに合意してきたものの、橋下市長が大阪市議会を説得することができず、宙に浮いた状況になっています。

 

 

堺市および、企業団としては、早期に大阪市が交渉のテーブルに戻ってくることを望んでいますが、大阪市では、当初の改革とは全く違う「民営化」の方向に向かいつつあり、混迷の度合いを強めています

 

 

これと並行して進められているのが、企業団と各市町村の給水事業の統合です。

 

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しかし、これは各市町村の給水事業の規模や、技術レベル、財務レベルなどが全く違うため、「一気に統合」は困難かつ、メリットに乏しく、段階的に進められる予定です。(一部の自治体は統合済み)

 

ただ、前述の取水・浄水の統合と比べると、これで給水設備を削減できるわけではありませんから、水道料金の値下げに繋がる程度は、限定的と言えるでしょう。

 

何より、「取水・浄水の統合」こそ、目指すべき改革なのです。

 

 

 

③今回の維新の主張

今回の堺市長選挙で、突然に維新が主張し始めたのが、「水道料金の安い大阪市から水を買う」というものです。

 

1.大阪市から堺市に大規模な水道管を敷設する必要があり、膨大な費用がかかる。(水道料金に跳ね返る)

 

2.大阪市から買ったところで、水源(淀川)との物理的な距離が縮まるわけではない。

 

ということから、値下げに繋がるものではありません。

 

それどころか、大幅なコスト削減を期待できる「取水・浄水事業の統合」への道を、完全に絶ってしまいかねないのです

 

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大阪市から水を買うということは、大阪広域水道企業団から、堺市が離脱するということです。

 

すでに大阪市が、企業団との取水・浄水事業の統合に距離を置き、民営化を検討している状況です。ここで、これまで大阪市との統合の交渉の先頭に立ってきた堺市長=企業団企業長が、そこから離脱することの政治的意味が、どれほどのことか、維新の皆さんはわかっているのでしょうか。

 

当然、42市町村の給水事業の企業団への統合(【水道事業の統合②】)も、とん挫することでしょう。

 

 

 

企業団での合議を通じて現在の堺市は、経営努力やそれに伴う卸売価格の値下げ(=水道料金の値下げ)にも関与しています。

一方で、大阪市の事業に対して、堺市はまったく口を挟める立場にありません。維新が検討している民営化が実現してしまうと、さらに浄水事業者が遠い存在になってしまいます。値上げをされても文句が言えないわけです。

 

大阪府(企業団)と、大阪市の取水・浄水事業への道を完全に閉ざし、大阪市(場合によっては民間事業者)に取水・浄水事業を丸投げしてしまう暴挙が、許されるはずがありません。

橋下改革の象徴を否定するかのごとき維新の提案を、維新議員、維新支持者の皆さん、何より橋下氏はどのように感じているのでしょうか。

 

また、「大阪市の水(浄水のキャパ)が余っているので大阪市から買う」と言いますが、そんなことをすれば、今度は堺市という大口顧客を失った企業団の水が余ってしまいます。当然、そのしわ寄せは、堺市が去った後の41市町村にのしかかってくることでしょう。

企業団の企業長である堺市が、そんな無責任なことをしていいのでしょうか。

 

 

こうしたその場しのぎの思い付きのような提案に惑わされず、堺市民が冷静な判断をされることを期待しています。

竹山おさみはこれからも、粘り強く、水道事業の統合を目指し、その改革の果実を必ず市民・府民の皆様にお届けいたします。

 

もちろん、私もその一助になっていく所存です。

 

 

 

 

 

堺市議会議員  ふちがみ猛志

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