NOWLOADING

ある日突然報酬が2/3に

もし、皆さんがある日、突然報酬を2/3されたらどうしますか?

 

おそらく多くの人が「そんな会社では働けない」と、会社を辞めてしまうことでしょう。

2/3になっても十分生活はできるから」とか、「お金ではなくやりがいで仕事を選んでる」と言って、変わらず仕事を続ける人もいるかもしれませんが、少なくとも、それを決定した雇用主のことを、信用できなくなるのではないでしょうか。

「自分は大事にされていない」「自分の仕事はそんな価値しかないんだ」とがっかりし、きっとやる気も落ちてしまうことでしょう。

 

そんなことが現実に起こったのが、堺市の教育現場です。

 

外国籍、外国ルーツで日本語が不自由な子のための、日本語指導員の報酬(謝礼金)が、来年度から(実質)2/3に減らされることになりました。

これまでは、2時間で5500円(交通費込み)だった謝礼金を、3時間で5500円(〃)に変更することになったのです。

 

日本語指導員の仕事は、大きく分けて2通り。主にその子を通常の授業とは別室で、「①日本語を教える」という仕事と、通常の授業の中で「②母語で通訳をしてサポートする」という仕事があります。

例えば、国語の授業は難しいから、その時間は授業から抜けて①を利用する。あるいは、理科の実験は参加させてあげたいけど、専門用語も出てくるので②を利用する。あるいは、体育の時間だから、何もなしで普通に参加させる。と言った具体に、現場は柔軟にこの制度を使っています。

 

もともとの謝礼金が高いと感じるか、安いと感じるかは人それぞれでしょうが、かなりの語学力(それも主に英語以外の、いわゆるマイナー言語)が求められますから、私は決して高いとは思いませんし、現場の都合に合わせた柔軟な勤務形態のため、月額ではそれほどの収入にはなりません。「よくやってくださってるなぁ」というのが、正直な感想です。

何より問題は、もともとが高いか安いかではなく、これまでもらっていた報酬が「突然に2/3にされた」ということです。

 

教育は人です。

 

人を大事にしない教育現場には未来はありません。

他人に大事にされていない人が、他人を大事にできるでしょうか。

 

堺の課題のある子どもたちのために頑張ってこられた指導員の方々を大事にせず、このような扱いをしておいて、それでも教育委員会は、指導員さんたちに「子どもを大事にして」と求めるのでしょうか。

 

今回の件で、「堺ではもう教えられない」とおっしゃる指導員さんもいるようです。(当然です)

 

来日して間もなく、日本語が不自由な子どもは、友達もなかなかできず、担任とも意思疎通ができず、母語で会話ができる日本語指導員さんが唯一の心の支え・・・、という例もあることでしょう。

こうしたことで、その支えを失う子がいたとすれば、本当に残念なことです。

 

指導員さんの中には、ボランティア精神で「お金ではない」という方が大勢いらっしゃいます。しかし、雇う側がそれに甘えて、安易に報酬を切り下げるようなことは、あってはなりませんし、そんな働き手をリスクペクトしない姿勢は、指導員さんのボランティア精神をも萎えさせてしまうことでしょう

 

今回の決定は極めて残念であり、文教委員会で批判し、速やかな見直しを求めました

 

国では、これから外国人市民が増えていくことを想定し、昨年6月に「日本語教育の推進に関する法律」が制定されました。

外国人市民が、日本語を早期に修得し、日本社会に馴染んでいけるのかどうかは、日本社会全体の活力にも大きく関わるものです。

また同法21条では、日本語指導にあたる人材の処遇改善が求められています

そんな法令にも背を向けたのが、今回の堺市教育委員会の対応です。

 

今年度、堺市教育委員会は、小学生の英語力向上(流暢な英語)を目指し、オンライン英会話の試験導入を決めました。約400万円の予算です(全校実施すれば1.5億円ほど)。

奇しくもそれは、日本語指導員さんの理不尽な報酬削減で浮く予算と、おおむね同規模です。

 

流暢な英語以前に、日本語すらおぼつかない児童・生徒がいます。

公教育として、まず真っ先に目を向けるべき子どもは、果たしてどんな子でしょうか

 

そんな課題のある子に対して、画面越しではなく、触れ合いながら指導してくださっている方がいます。

まず大事にすべき教育人材は、誰なのでしょうか

 

堺市教育委員会は公教育の役割を見失い、迷走し始めてはいないでしょうか。

本件に限らず、ここのところ垣間見えるそんな姿勢に対し、今後も、公教育の役割を問うていきたいと思います。

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

意見・提案