NOWLOADING

公務員を除外する愚行

大阪市がコロナ対策の独自支援として、未就学児(0~5歳児)のいる家庭に、児童1人あたり5万円を支給するそうです。

コロナ禍で生活困窮者が増える中、そうなる可能性の高い層に、こうして直接的な支援をすることは、私は歓迎すべきことだと思っています。

 

ただし!

 

気になること・・・、というか、真実ならば「愚行だ」と断ぜざるを得ないことがあります。

 

それは、その支給対象から公務員を除外する(らしい)ことです。

「公務員はコロナ禍でも収入が減っていないんだから、支給は必要ないでしょ!」という方もいると思いますし、心情としては『多少』理解できます。

しかし、それでも私が「愚行だ」と思う理由は以下の通りです。

 

①収入が減っていないのは、公務員だけではない

コロナ禍で収入が減っていしまっている人はたくさんいますが、公務員であれば収入が減りはしないでしょう。

でも、民間で減っていない人もたくさんいます。

 

②収入が減っている公務員世帯もある

夫婦のどちらかが公務員でもう一方が民間企業であれば、特にそれが飲食店や観光業などの、コロナの影響の大きい業種であれば・・、「公務員世帯」であっても、収入が減っている世帯はいくらでもあります。

 

③ならば職業ではなく収入で判断すべき

そもそも公務員を除外しようとする理由は「収入が減っていないから」であろうと思います。しかし現実は①②の通りです。ならば、職業ではなく、「世帯収入が減っているかどうか」で判断するべきではないでしょうか。

 

④「職業で」というなら職業差別では?

それでも「世帯収入ではなく職業で判断する!」と言うならば、それは職業差別であって、憲法14条(法の下の平等)違反の可能性が高いと言わざるを得ません。

 

⑤コロナ禍で奮闘する公務員に何たる仕打ちか

たとえ収入が減っていなくとも、多くの公務員が大変な環境で頑張っています。保健所の職員や、公立保育所の保育士など、感染リスクと戦っている人もいます。市民の命を守るため、頑張っています。①~④で示したように、収入ではなく職業で除外するならば、職員のモチベーションを著しく下げることでしょうし、それは組織の長として、あってはならないことです。

 

手間暇がかかりすぎる

そもそも、この除外の措置は合理的ではありません。

大阪市が5万円を支給する0~5歳児を抽出するのは、住民基本台帳からだと推測されますが、そのデータに「親の職業」は含まれていないのです。それどころか、市が持つあらゆるデータに、「市民の職業」なんてものはないはずです。

強いて言えば、保育所の入所の際には「両親の職業」を就業証明と共に市に提出しますが、これはあくまでも保育所利用者のみです。

どうやって、親の職業を確認するつもりでしょうか。大阪市の職員情報と照合するんでしょうか。しかし、公務員は大阪市職員だけではありません。大阪市在住の堺市職員も、国家公務員も、府県の職員もいるはずですが、そのデータは大阪市にはありません。

市民に申請書を送って、職業を自己申告してもらうことは可能ですが…、その真偽をどうやって確認するのか。就業証明を出してもらうとしても、公務員&民間企業という夫婦の場合に、民間の側の就業証明だけ出して、一方が公務員であることを伏せられてしまえば、簡単には確認しようがないと思います。

 

 

以上のことから、私は「未就学児のいる家庭に5万円」は評価するものの、そこから「公務員を除外」することは、「愚行だ」と断ぜざるを得ません

 

そろそろ、このような安易な公務員叩きはもうやめにしませんかね。

世間に「恵まれている」と思われがちな層をバッシングして、それ以外の層の留飲を下げる。

それは誤解と偏見を増長させ、社会を分断するだけです。

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

意見・提案