公的空間における展示と中年男性の喫煙下着姿
えーーーっと。
「このイラストを公的空間で展示するのはいかがなものだろうか」というブログを書きます。
「このイラスト」とは「中年男性の喫煙下着姿」であり、この後、文中に掲載します。
ですから、このブログの主旨からも、事前に申し上げておきます。
見たくない人は、この時点で読み進めるのをおやめください。
では、始めます。
堺市はシティプロモーションにゴルゴ13を積極的に活用しています。
多くの人に愛され、ギネスにも認定されている長寿漫画であり、何より、作者である故さいとうたかをさんが堺市ご出身だからです。
先日、フェニーチェ堺で開催されたゴルゴ展にも行ってきて、その出来栄えの素晴らしさ、職員の熱意には大いに感心し、ツイッターでも発信させてもらいました。
さて、そんなゴルゴ13のシティプロモーションで気になったのが、市役所高層館21階展望ロビーに貼り出されていた、このイラストです。
ゴルゴ13ファンなら多くの人が知る、コミック1巻の最初のシーンです。
ギネス認定の長寿漫画の最初のシーンであり、ファンにとっては最も印象的なシーンかもしれません。
先に申し上げておきたいのは、私はこの作品をリスペクトしていますし、ファンがこのシーンを愛する気持ちもわかりますし、表現の自由を阻害する気は一切ありません。
私が問題視しているのは、
【誰が?】公共団体が
【何を?】(あえて!)喫煙下着姿のイラストを
【どこに?】誰の目にも触れる展望ロビーに
展示したことです。
喫煙している姿を美化することは、喫煙を誘発する可能性があるとされ、業界の自主規制も進む中、受動喫煙防止や未成年の喫煙防止に取り組む『行政が』、『あえてこの喫煙のイラストを』選ぶ必要があったのでしょうか。
広告などでの性的描写が社会的にも議論になる中、セーフシティプログラムに取り組み、すべての人にとって安心で快適なまちを目指してきた『堺市が』、『あえてこの下着姿のイラストを』選ぶ必要があったのでしょうか。
当たり前のことですが、あらゆる市民の文化芸術活動、その表現の自由は尊重されねばなりませんし、このイラストそのものには、何の罪もありません。偉大な作品の偉大なワンシーンとも言えるでしょう。
しかし、ゴルゴ13ファンにとってはそうであっても、まったくゴルゴ13を知らない人からすれば、ただの「中年男性の喫煙下着姿」でしょう。そう捉える人も少なくないはずです。(デューク東郷は年齢不詳なので、中年とは限りませんが)
他にも、ゴルゴ13の魅力を伝えられるイラストは、他にいくらでもあります。
また、仮にこのイラストを活用するにしても、おおよそゴルゴファンしか来ないゴルゴ展の中で展示すればよく、なぜ、不特定多数の人が行き交い、目に触れやすい『展望ロビーに』展示したのでしょうか。
たとえば、ミケランジェロのダビデ像は、性器がリアルに表現されています。(さすがにトリミングしておきます)
これは美術館で見れば、素晴らしい美術作品です。美術館に来る人は、美術作品として見に来ていますからね。
しかし、いくら世界的、歴史的に偉大な彫刻とはいえ、いきなりこれが市役所ロビーで展示されたとしたら、やはり不快に感じる人がいるのではないでしょうか。
現在開催中で人気を博している、中之島美術館のモディリアーニ展だって、街頭広告では、裸婦の絵画をそのまま使わず、乳房の部分はトリミングして使っています。
公的空間での展示はそういうものです。
ただ、私自身も、この疑問を持った当初は「考えすぎかなあ」という気にもなりました。
そこで人事課の職員と話す機会があったので、訊いてみました。
「このイラストのポスターを、女性のいる職場に貼ったらどうなるか?」と。
彼は「セクハラにあたる可能性がある」と答えました。
また、健康医療関連の職員と話す機会があったので、聞いてみました。
「市長から『このポスターを市内各所に』と要請あった時、医師会に協力を仰げるか?『クリニックに貼って』とお願いできるか?」と。
彼は「絶対できません」と答えました。
「禁煙外来にケンカを売るようなものだ」と。
市役所の展望ロビーです。
女性や子どもも来ます。
禁煙で悩んでいる人も来ます。
職場やクリニックに貼れないものが、「展望ロビーではOK!」なはずがありません。
「そんなことを言い出すとキリがない!」という人もいるかもしれません。
しかし、堺市は、セーフシティプログラムにおいても、喫煙対策におていも、その「主体」なのです。せめて、自身が推し進めている施策に関連することについては、もっと高い感度を持つべきだと思います。
奇しくも、同じタイミングで市役所1階ロビーでは、同じく『堺市主催で』、「世界禁煙デー」のパネル展が開催されていました。
皮肉としか言いようがありません。
この展示を決定するにあたっては、多くの職員が関わっていたはずです。
果たして、誰一人として疑問に思う職員はいなかったのでしょうか。
あるいは、疑問に思ってもそれを口でできる雰囲気ではなかったのでしょうか。
そのどちらであったとしても、あまり褒められた話ではありません。
公的空間の展示や、広報の作成には、「多様な市民がいる」「多様な感じ方がある」ということをしっかりと意識してほしいですし、それでも「感度」は人それぞれですから、感じた誰かが「これってよくないかも」と言いやすい、そんな職場づくりを進めてほしいものです。
ちなみにツイッターでポジティブに発信しているところを見る限り、市長はその「感度」を持ち合わせてはいなかったようです。
なお、このイラストについては私の指摘の後、展望ロビーの『誰でも見える場所』から、展示パネルの向こう側に移すという連絡がありましたが…、私よりもはるかに高い感度をお持ちの方もいらっしゃるようです。
そこは「最大公約数」を求めるように、「誰もが不快に思わない公的空間」を作れるよう、できる限りの努力をすべきだと思います。
堺市議会議員ふちがみ猛志