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役所のトイレに見る男女格差

先日、朝の駅立ちをしている最中に、市役所でお勤めだという女性に声を掛けられました。

役所のトイレに関するご意見でした。

実は、前々から私も気になっていたテーマだったので、この際、議員として取り組めないものか考えることにしました。そして、少なくとも将来に向けては、これを解消していけないものかと思っています。

 

それはトイレにおける男女格差です。

 

役所のトイレの現状

堺市役所は高層館には1フロアに1か所(そこに男女各1ずつ)、本館には各フロア東西に2か所のトイレがあります。それに加え、本館には車イスでも入りやすい「みんなのトイレ」もあります。

 

本館の1階は区役所の市民窓口になっていることもあり、トイレがかなり大きいのですが、それ以外のフロアは、ほとんど作りが同じです。(あと、議場のある本館11階も、西側のトイレが小さくなっており、他のフロアと作りが違います)

 

これからする話は、本館1階と11階以外の「大半のフロアのトイレ」のことです。

 

それぞれ1か所あたり、男女の便器の数がこのようになっています。

 

男子トイレ…小便器3、大便器2(合計5)

女子トイレ…2

 

となっています。

 

あれ・・・?って思いませんか。

 

市役所に勤める職員は、正職員と任期付き職員を合わせると男53:女47で、ほぼ同数です。

なのに便器の数は、男5:女2です。100にすると、71:29ですね。うーん。

計測したことはありませんが、一般的に女性の方がトイレに時間がかかるはずです。おそらく同じ便器の数でも女性の方が混みやすいでしょうに、まして便器の数が少ないとなると・・。

 

お昼休みには女子トイレに列ができてしまう。

 

これが冒頭の女性の訴えでした。

 

平等と公平

「平等」と「公平」はどう違うのか。

これに関して、有名なイラストがあります。

みんなに同じ台を用意するのが平等(EQUALITY)。

特性に応じて台を用意するのが公平(EQUITY)。

 

後者は「結果の平等」と言えるのかもしれません。

 

さて、それを男女のトイレに置き換えるとどうなるのでしょうか。

 

仮にその施設の男女比が半々だった場合、トイレを設計するにあたり、考え方は三つあると思います。

 

①トイレの面積を同じにする

②トイレの便器の数を同じにする

③トイレに要する時間を考慮し、待ち時間(回転率)が同程度になるように便器の数を調整する(つまり、女子トイレの便器の数を多めにする)

 

平等(EQUALITY)にあたるのは②でしょう。(①だと考える人もいるかもしれません)

公平(EQUITY)にあたるのは③です。

 

では、あらためて役所の現状に戻ります。

 

平等にすらなっていない役所のトイレ

これが本館の東側トイレの見取り図です。

あれ・・・?男子トイレの方が広くない???

 

男女比がほぼ同じなのに、便器の数が同じでないどころか、そもそも男子トイレの方が広く設計されているのです。そりゃ、便器の数が圧倒的に多くなってしまうわけで。

 

「公平」どころか、そもそも「平等」でもないんですよね。

 

人権推進に取り組む行政として・・・、なんて話までせずとも、多くの労働者を抱える事業所として、いかがなものなんでしょうか。

 

なぜ、今のような割り振りになったのか

「どうして?」と当局に問い合わせてみましたが、今の庁舎を設計したのが20年以上前のことだからか、現時点で回答はもらえていません。

 

今とは男女比が違って、男性の割合が多かったのかもしれませんが、さすがに「5:2」なんてことはないでしょう。先に書いた「②男女比と便器の数を同じにする」には始めからなっていなかったのでしょうし、まして「③トイレに要する時間を考慮し、便器の数を設定する」という意識は全くなかったことでしょう。

 

なお、数年前に作られた三国ヶ丘庁舎は、若干ですが女子トイレの方が広く作られていますが、それでも男性が5(小3、大2)、女性が4だそうです。本館・高層館よりはずいぶん配慮されたようですが、それでも「便器の数が半々」にはなっていないのです。

※三国ヶ丘庁舎のトイレの見取り図

 

では、どうするか

今の市役所のトイレの男女比が歪なのは先述の通りで、それによって女性に大なり小なりの不都合が生じているのも間違いないでしょう。

 

とはいえ、今から役所のトイレを大改修して、②や③の状態にするのは物理的に困難です。会議室の間仕切りを変更するのとは訳が違いますからね。配管を変えたりの大工事です。

 

たとえば、いくつかのフロアの男子トイレをそのまま全部女子トイレに変更・改修してしまって、フロアごとではなく、「庁舎全体で男女比のバランスを取る」という考えもあるかもしれません。ただ、それとてかなりの改修費用がかかります。あまり現実的ではなさそうです。

駅前で私に声をかけてくれた女性職員も、工事による変更が困難であることは理解してくれていました。

 

ならばせめて、このトイレにおける男女格差を認識した上で、おそらくトイレが一番混み合うであろうお昼休みを、全職員一斉ではなく分散取得にするなど、ソフト面での対応を検討すべきではないかと思います。(なお、昼休みの分散については、堺東の飲食店の混雑回避ならびに地元飲食店の利用促進という効果があると思います)

 

また堺市は今後も、新しい施設や学校の校舎の建設、公衆トイレ、公園のトイレの設置など、トイレを作る機会はいくらでもあるわけです。その際に最低限②、できれば③の発想を持ってもらうよう求めていきます。

 

優遇と不公平に慣れた結果?

先日、妻と娘と新歌舞伎座に同級生がプロデュースした演劇を鑑賞しに行きました。

※娘の顔は隠しときましょうかね😌

 

演劇の前半と後半の間の休憩時間にはドドッとトイレが混むのは当然で、男女トイレとも長蛇の列ができましたが、さすがは新歌舞伎座でした。

ものすごい数の女子トイレの便器数、かつスタッフの的確な案内だったそうで、それほど待つこともなく、妻が座席に戻った時間は私とあまり変わりませんでした。おそらく③の考え方で便器の数を決めているんでしょうね(知らんけど・笑)

 

そうして、トイレに同じくらいの時間を要した私(男)と妻(女)でしたが、私はトイレに並んだことにストレスを感じる一方で、妻は「あっという間だった」と至って平気でした。

 

この差はやはり、日頃から「並ばずにトイレに行くことができる」ことの多い男性と、「往々にして並ばなければならない」ことの多い女性との差なのでしょうね。

 

施設にもよりますが、堺市役所がそうであるように、たとえば商業施設や文化施設、飲食店、サービスエリア、学校などなど、特にひと昔前に作られたところは、私が言うところの③はおろか、②の観点すら考慮されておらず、結果として女性は男性と比べ、人生を通じて「往々にしてトイレに並ばなければならない」ことに慣らされてきたのでしょう。

一方で男性は、(あまり)並ばなくてよい」という優遇に慣れてしまった結果ではないでしょうか

 

このトイレ格差をどの程度のものとして捉えるかはそれぞれでしょうが、男性にとって便利に、あるいは男性の目線で作られた社会の、一つの例なんだろうと私は感じています。

大げさでしょうか?

一事が万事だと、私は思ったりします。皆さんはどう思われますか?

 

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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