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公立幼稚園の存在意義とは

先日、三国丘校区で市政報告会を開催しましたら、参加者との意見交換では、地域の三国丘幼稚園にも話が及びました。三国丘幼稚園は、今後、堺市で4園だけ残る公立幼稚園のうちの1園です。

「公立の幼稚園なんているのか???」

という意見も散見される昨今ですが、参加された方からは、同園の「公立」としての意義を訴える、前向きなご意見が出ました。

 

それを聴き、私は先日の堺市民間保育園連盟(のうちの堺区の園長先生方)と堺区選出議員との意見交換会での、ある園長先生の言葉を思い出しました。

 

グレーゾーンも含め、障がいを持ったお子さんは増えている。

その子らへのよりよい療育の必要性もよくわかっている。

しかし、どのように療育すればよいかわからない。

※療育とは、障がいのある子の自立支援です。(念のため)

 

というものでした。そして、

 

療育について勉強したくてもその余裕がない。

とおっしゃられました。

 

やはり公立幼稚園の役割は重要だ。

これが、それを聴いた私の結論でした。

 

私が考える公立幼稚園の役割とは、大きくは、公立幼稚園自体が「(とりわけ)障がいを持ったお子さんの確実な受け皿となること」、そして「幼児教育・保育、さらには療育の市域での底上げを先導すること」です。

 

保育園(子ども園含む)と違い幼稚園は、園と保護者の個別契約ですから、障がいを持ったお子さんが行き場を失うリスクが否定できません(障がい児の受け入れに積極的な私立園もあるとは思いますが、自治体が私立園の枠を確約できるものではありません)。だから、前者です。

 

昨今は、共働きの割合が高くなっていますが、それは障がい児の家庭も同じです。そのため、障がい児が公立、民間を問わず、保育園、こども園に通うケースも増えています。保育園・こども園の保育時間は幼稚園よりも長く、教育・保育の研修にあてる時間は、物理的にもどうしても短くなります。専門性の高い療育は、尚更です。だから、後者です。

 

私も8年間、民間のこども園で子どもがお世話になりました(先生方には大変感謝しています)。

その時に、同じ園の保護者から私が相談を受ける機会が多かったのが、療育についてでした。障がい児の保護者の方が、園よりもむしろ療育に対する知識(制度面も含め)を持っているケースもしばしばで、保育のプロである先生方にとっても、療育は難しい領域なんだということを痛切に感じてきました。

 

そこで公立幼稚園が、先進的な研究実践を積み重ね、そこで得たノウハウを私立幼稚園、公立こども園、民間の保育園・こども園に広める役割を果たせないだろうかと思ったのです。

すでにこのような取り組みは、公立幼稚園に幼稚園教諭、保育士に集まってもらっての「公開保育」という形で実施されています。参加者からは大変高い評価を得ていると聞いています。

 

しかし、「この日にこの時間に集まって」と言われても、参加自体が難しい園も少なくないようです。

だからこそ、公立幼稚園の側から、各地の園に出向いての支援を実施できないものかと思うのです。

 

そのためには、まずは「人」です。

公立幼稚園の幼稚園教諭の配置数は、日常の保育をまわすだけで手一杯で、とてもあちらこちらに出向く余裕はありません。公立幼稚園の存在目的に照らして、ぜひ各園の幼稚園教諭を増員してほしいと思います。(今後、廃園になる園があるため、堺市全体で幼稚園教諭を増やさずとも、配置転換によってそれは実現できます)

 

そしてもう1つはハード、つまりは「園舎」です。

長い間、堺市ではすべての公立幼稚園が廃園予定でしたので(4園存置に方針転換された)、その間に園舎は更新されず、ずいぶんと老朽化しています。三国丘幼稚園の園舎は築60年超。平屋のコの字の園舎で、空き教室も多く、土地の利活用の面でも大変非効率です。

私はよりよい幼児教育の実践のためにも、土地の効率的な利用の観点からも、あるいは環境負荷の低減のためにも(ゼロエネルギービルに)、園舎を早急に建て替えるべきだと考え、議会でも訴え続けています。新しい園舎は、園児確保にも繋がります。先進的な研究実践は、一定の園児数があってこそですからね。

園舎の更新にはお金がかかりますが、園舎を2階建てにするなどして、余剰地を生むことができますし、それを売却すれば建設費に充てることもできます。また、今なら隣接する市有地が空き地になっており、ここに園舎を移転させることで、日常の保育に影響を与えずに建て替えを進めることもできます。

もはや、やらない理由が見当たりません。

少し話は横道に逸れたかもしれませんが、、、

 

ともかく、堺市のすべての子に質の高い幼児教育・保育が、そして障がい児には質の高い療育が提供されるように、公立幼稚園の役割に期待したいし、公立幼稚園がそれを果たせるよう、私も応援していく所存です。

それを改めて決意した、三国丘校区での市政報告会、そして過日の保育園の園長先生方との意見交換会でした。

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

意見・提案