就労支援協会の不祥事について
私が6月の議会で取り上げた外郭団体「就労支援協会」が管理する「市営浴場ほてい温泉」での不祥事について、職員の処分が発表され、それが報道されるに至りました。
処分の内容については、私自身、就労支援協会からも、協会を所管する産業振興局からも、当該浴場を所管する健康福祉局からも、今なお詳細を聞かされておりません。(産業振興局から「処分を発表する」との一報をもらっただけです。議会で問うた人間に何の説明もないあたり、この問題に対する協会と当局のいい加減な姿勢を感じてなりません。)
よって、処分に関しては報道で知った範囲で、私の所感をこのブログを書かせてもらいます。
まず、この件をまったくご存じない方もいることでしょうから、不祥事の内容について、下記の報道内容をご確認ください。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f6c90a3d028bdc7178fc28374bb9cd5854af2e4a/images/000
…とリンクを貼ってみましたが、この記事の内容は、私が議会で取り上げ、問題視した内容の『全部』ではありませんので、報道にない部分を補足説明します。
次の画像が、議会で「まとめ」として作成したものです。
【報道された不祥事の内容】
まず、3月以降に発覚した不祥事は画像にある、
①公共施設(市営浴場「ほてい温泉」)内での複数従業員による常習的喫煙
②タイムカードの不正打刻
③ボイラー室・事務室等での勤務時間中の宴会
に加えて、「④家庭用ゲーム機を持ち込んでの勤務時間中のプレイ」です(これも議会で取り上げています)。
【私が指摘した不祥事】
報道されている「不祥事内容」は概ね以上であり、つまりは記者会見ではそれしか公表していないのでしょうし、それしか処分対象になっていないのではないかと思われます。
しかし、画像にもある通り、上記の「報道された不祥事」の前後にあった問題も、私は重要なものとして指摘しています。
とりわけ、①~③の「前」にある、
A.令和2年の「勤務中の常習的飲酒の発覚、戒告処分」
B.本年1月の「従業員の喫煙を疑う利用者からの苦情」
がポイントです。
Aでは、処分された人物が、そのすぐあとに責任ある立場に昇格し、①~③の不祥事の中心人物になっています。昇格後にも、ろくな指導がなかったようです。
加えて、この飲酒問題については、就労支援協会は堺市に報告すらしていません。(これを議会で問うたところ、「報告したと思っていた」と、子どものような言い訳をしています。おそらく隠ぺいしていたのでしょう。)
Bでは、就労支援協会はろくに現場調査をせず、ほてい温泉の場長の「喫煙していない」というウソの報告を信じ込み(信じたかったのでしょう)、堺市にもそのように報告しています。
Aはほてい温泉の現場の体質改善のチャンス、Bは今回の不祥事を自ら見つけるチャンスだったわけですが、それらを逸するばかりか、逆にAでは「不祥事の人物の昇格」によって、現場のぬるま湯体質をさらに悪化させ、さらなる不祥事を誘発してしまったと私は捉えています。私が不祥事を指摘することがなければ、Bの「ウソを信じ込んだこと」も、今ごろ更なる不祥事の誘発原因となっていたことでしょう。
遡れば、数年前に「入浴料の着服」事件もありました。不祥事歴のある現場だったのです。
加えて言えば、就労支援協会は、就労困難者の訓練の場です。現場でトラブルや不祥事が起こる蓋然性はそもそも高いはずで、協会には現場に足しげく通い、就労者をサポートする責務があります。にも拘わらず、そのサポートを怠り、「就労支援の場」どころか、「不祥事の温床」にしてしまった罪は、現場ではなく、むしろ就労支援協会にあると、私は考えています。
なぜそれほどまでに就労支援協会は怠慢だったのか、ぬるま湯体質だったのか、それがこの不祥事の本質的な問題だと思っています。
【公表された処分に対する所感】
■処分の軽重について
8名の従業員の処分は、添付画像の通りです。
最大で「停職5日」ですが、皆さんはどうお感じになるでしょうか。
もしも同じ指定管理の公共施設である市立体育館で、同じような不祥事があった場合、たとえば指定管理者である民間事業者のコナミスポーツさんなら、ミズノさんなら、果たしてどれくらいの処分をしただろうか・・。などと想像すると、やはり「軽い」という感覚が否めません。
タイムカードの不正打刻なんて、「詐欺行為」ですからね。
この「停職5日」となった2人のうち、1人は過去に飲酒問題で戒告処分になった人物です。果たして「2度目」であることは考慮はされたのでしょうか。また、懲罰委員会にはその旨の報告がされていたのでしょうか。
もう1人は、本年1月の市民からの苦情に対し、協会に「喫煙していない」とウソの報告をした当時の場長です。「処分理由」にそのことの記載がありませんが、考慮はされたのでしょうか。また、懲罰委員会にはこの「ウソの報告」は報告されていたのでしょうか。
この時、喫煙しているという真実が報告されていれば、このような大ごとにはならず、「協会の名誉・信用失墜」も、これほどではなかったはずなんですが。
これらの処分の妥当性は、有識者も含めた懲罰委員会で審査したそうです。ただ、その懲罰委員会も、協会が作った処分案と、協会からの情報を元に審査していますから、処分案が甘くて、かつそれに見合った情報しか出していなければ、審査結果もそうならざるを得ないと思います。
■処分の範囲について
処分されたのはほとんどが現場のスタッフであり、唯一例外が協会の事務局長(No.3)に対する口頭厳重注意です。
ということは、その上の代表理事(No.1)、専務理事(No.2)はお咎めナシということでしょうか?
私は先述した通り、今回の不祥事は、現場の個人(の集まり)によって偶発的に起こったものとは思っていません。協会の「現場へのサポートの欠如」や「市への報告連絡相談の怠慢」、そして、人事における判断ミスなどが重なって起こったものです。
何度も言いますが、就労支援という特性上、現場よりも、協会の「支援が適切にできていなかったこと」の責任が問われるべきだと思っています。
ましてや、協会には過去の飲酒問題を報告しなかったという事実があります。たらればですが、もしこれがなされていれば、堺市も協会や現場への指導監督を強化していたでしょうし、このような不祥事を防げていたかもしれません。
そのような状況がありながら、協会本部は「1名が口頭厳重注意」のみとは、聞いて呆れます。記者会見に出たのも、そのNo.3である事務局長でした。No.1、2には他人事なのでしょうか?
いやいや、そうではない。と私は信じたいと思います。市からは「再発防止に向けた改善計画書の提出」が求められているようですが、そうした作業に合わせて、何らかの姿勢を示して頂きたいものです。
■協会の体質について
今回の報道を見ていると、やはり協会の体質には、期待よりも不信感が募ってしまいます。
細かい話をしますが、
朝日新聞デジタルの記事では、「(職場内に)アルコールの持ち込みはなかった」との記載がありますが、私は「アルコール持ち込みの証拠となる写真」を協会に提供しています。
毎日新聞には「退勤時間30~40分前に退勤」とありますが、私は「1時間、あるいはそれ以上前に退勤した証拠となる動画」を協会に提供しています。
どちらにしても、今回の不祥事の重さに大きな変化があるわけではないものの、これまでの経緯からしても、「協会は、できるだけ小さく見せようとして公表しているのではないか」と、私には思えてしまうのです。
もしそうだとすると、これから作られる「再発防止に向けた改善計画」にも、期待はできないでしょう。私の誤解だといいのですが。
■今後について
言うまでもないことですが、私がこれを取り上げた目的は、現場の職員を罰することではありません。
就労支援協会を、堺市内のすべての就労困難者のための「真の支援の場」とすることです。
そのためには、ここで膿を出し切る必要があります。果たして、現時点でそれが出し切れたと言えるでしょうか。
今回の問題を取り上げた私のもとには、引き続き(真偽不明なものも含め)様々な情報が寄せられています。今回の件が「氷山の一角に過ぎないのではないか」「今もって協会は反省していないのではないか」と思えるものもあります。
このような質疑はお互いに気持ちのいいものでありませんので、議会で取り上げるというショック療法ではなく、就労支援協会の自浄作用と、所管局の指導監督によって、体質改善が図られることを強く願っています。もしそれができなようであれば、今一度、いや、二度でも三度でも取り上げ、市民やメディアの力を借りてでも、改善を目指さねばならないでしょう。なぜなら、就労支援協会の「就労困難者の支援」というミッションは、絶対的に必要なものであり、正常に機能させねばならないからです。頑張ります。
■補足
本件不祥事のネットニュースなどに付いているコメントを見ていますと、人権上問題のあるコメントが一部に見受けられます。残念なことです。
私はこの問題を「特殊な問題」「就労支援協会の固有の問題」とは捉えていません。
ある条件が揃ってしまえば、他の外郭団体でも起こりうる問題だと思っています。協会の「改善計画」において、その点が解消されるよう願っています。
堺市議会議員ふちがみ猛志