報酬が削減されてよかったこと
5月28日の堺市議会本会議で、堺市長の報酬を、従来の「規定の30%減」から、削減幅を15%増やし、「規定の45%減×6か月」とする条例改正案が可決しました。
また、これに先立つ5月18日の本会議では、議員報酬についても「15%削減×6か月」が決定しています。
議員一人あたり、おおよそ70万円の削減です。これに、年度内の公務としての国内視察を見送りによる予算削減を加え、合計5000万円の予算を捻出することとなりました。
私はもともと、政治家が報酬削減の幅を競い合うような、昨今の風潮には否定的です。
政治家はそのようなものではなく、政策の中身、活動の中身で競い合うべきでありますし、報酬削減が進めば、「活動しない議員(≒活動費の持ち出しがなく報酬の大半が手元に残る議員)」「経済的に裕福な議員」「兼業している片手間議員」が、相対的に有利になり、人材の質の低下に繋がりかねないからです。このことは、過去にも何度かブログに書いてきました。
それでも、今回の決定がよかったと思うのは、一つは、コロナ予算全体から見ればわずかですが、予算確保に寄与できたことです。当然のことです。
そしてもう一つは、報酬議論に区切りをつけて、前向きな議論に集中できることです。(個人的には、これがほぼすべてです)
コロナの問題が大きくなり、経済的な打撃が深刻になり始めたあたりから、「政治家は報酬が補償されているから、庶民の気持ちがわからない」といった的外れな批判や、「国会議員の報酬をタダにすればいい」というような暴論まで、様々な意見が聞かれるようになりました。また、「市民1人10万円の給付金を、それぞれの議員が受け取るかどうか、受け取るなら何に使うのか」といった、市民の幸福には関係のないような話題まで、メディアで取り上げられるようになりました。
堺市議会でも、このような議論が沸き起こるのは、容易に想像できるものでした。
そうした中、早期に「15%削減×6か月」で全議員が合意し、議会が本格化する前に議員の報酬や、個人的なお金の使い方の議論に区切りをつけられたことは、大変よかったと思っています。
コロナ禍でやらなければならいこと、議論しなければならないことが山積しています。
市長は自身の給与削減の条例改正の提案理由説明で、削減の目的は「(コロナ禍において)市民の安心安全を守る決意と覚悟の姿勢を示すため」としました。
しかし、どうなんでしょうか?
報酬を削減すれば、「市民の安心安全を守る決意と覚悟」を示したことになるんでしょうか。決意や覚悟は、打ち出す政策で示すものではないでしょうか。私たち議員は政策提言や、政策チェックで、そして市長をはじめ行政の皆さんは、政策の実行によってです。
私にとって報酬の削減は、単なる予算確保であり、前向きな議論の環境整備のためのもの。
その上で、市民の安心安全を守るための、建設的な議論を情熱を持って進めていく。
そして、決意と覚悟を皆さんに示していく、そんな議会にしたいと思っています。
堺市議会議員ふちがみ猛志