堺区のど真ん中に図書館を
阪堺電車の大小路電停のそばに、堺消防署があります。堺警察のとなりで、堺区の方なら、皆さんご存じだと思います。
この堺消防署が、老朽化により令和6年に出島に移転することとなりました。
この跡地利用について、議会活動報告新年号に、私の考えを掲載したところ、思った以上に反応が多かったので、ブログで詳しくご説明しようと思います。
まず、堺消防署の場所がこちらです!
堺区のど真ん中で、堺東駅・堺駅(赤丸)という東西の拠点を結ぶ大小路(赤矢印)と、大道筋(&阪堺電車(青矢印))の交差点のそばにあります。堺区の南北、東西交通の要のような場所です(オレンジの星印)。
さて、そんな堺消防署の跡地利用について、私が一番言いたいことは・・、
あっさり売却なんてやめてや!
まちづくりの拠点として活用してや!
ということです。
気づけば、売却されてマンションが建っていた・・・なんてことに、してほしくないのです。
そうすれば、小金は入るでしょうが、それは一時的なものでしかありません。
そこで私は、その活用方法の『一つの案』として、「堺区図書館はどうか?」と思っています。
■堺区には区図書館がない
堺市の7つの区のうち、唯一「区図書館」がないのは、堺区だけです。
中央図書館がその代わりになっているわけですが、中央図書館は堺区の端の大仙公園のそばにあり、交通の便も悪く、区の図書館の役割(=日常使いの図書館)を果たしているとは思えません。あまりに便が悪いので、電車で東区の図書館に通っている堺区民も大勢います。
堺市駅には分館がありますが、これも堺区と北区の境界付近です。
人権ふれあいセンターや、青少年センターにも図書室はありますが、「室」であって、蔵書数が一桁違います。また、読書席もほとんどなく、昨今の図書館に求められる「滞在」機能はなきに等しいレベルです。
そもそも、堺市が文化都市を自称しておきながら、その中心市街地に図書館がないというのは、いかがなものでしょうか?
■図書館は賑わいづくりにも資する施設
昨今、図書館の持つ集客力に注目が集まっています。
残念ながら堺市の図書館は、全国的に見て「先進的な図書館」とは言い難いものですが、それでも、「堺市の公共施設の年間集客数」のランキングでは、実に4つの図書館が、トップ10にランクインしています。
区の図書館でも年間30万人近い来館者はザラで、全国に目をやれば、年間100万人以上を集める図書館も珍しくはありません。(神奈川県大和市の図書館を核にした複合施設「シリウス」などは、年間300万人!!)
中心市街地に図書館を設置することは、中心市街地の賑わいづくりにも資することでしょう。
■堺消防署跡地で広さはどうか?
堺消防署の跡地の面積、建ぺい率を考慮すれば、建物面積900㎡強で7階建ての建物が建てられます。(堺区以外の)6つの区の図書館は1500~2500㎡程度、堺市駅にある分館が500㎡台です。3フロアほどを使えば(900㎡強×3)、十分に立派な区図書館ができるでしょう。
仮にワンフロアを子ども図書室にでもしたらどうでしょうか?
中央図書館の子ども図書室が、たしか200㎡ほどだったと思います。900㎡もあれば、堺で最大の子ども図書室になりますし、遊び場や、子育て相談、託児などを兼ね備えた、充実したものとなるはずです。
子育てのまちを目指す堺の、シンボリックな施設にもなるのではないでしょうか。
■阪堺電車の経営再建にも繋がる
阪堺電車添いに、こうした集客拠点を作ることは、阪堺電車の経営再建にも資することでしょう。
堺市は、阪堺電車の経営再建のため、毎年5億円の補助金を支出しており、来年度でその期限がやってきます。これを今後継続するのか、そうではないのかが、来年度の大きな議論となるはずです。ただ、これまでのように「お金を出すか、出さないか」「出すならいくら出すか」だけではなく、「周辺に賑わいをつくる」という視点も大事ではないでしょうか。
西区の浜寺や石津も、図書館空白エリアです。堺区も含め、阪堺電車沿線には図書館がないのです。堺消防署跡地に図書館が来て、年間数十万人の来館者のうちの一部でも阪堺電車を利用したなら、その効果は決して小さくはないと思います(堺区間の年間乗降者数は230万人)。
子ども図書室が充実した図書館なら、特に子連れ利用者が多いはずで、子連れならばなおのこと、電車利用に繋がるはずです。
■まちづくりの視点から
私は、大小路と大道筋が「歩いて楽しい道」になればいいと思っています。
特に大小路は、堺東駅から堺駅まで1.7㎞、歩けない距離ではありません。この道の中間地点あたりに集客拠点があれば、もっとこの道を歩く人が増えるはずです。
大小路の歩道は幅広く、並木道もきれいです。ここを歩く人、特に子連れで歩く人が増えれば、オープンカフェ(警察の許可は必要)をはじめ、オシャレなお店の出店も増えるのではないかと期待します。想像するだけで、楽しいまちになりそうじゃないですか?
「大小路を堺のシャンゼリゼ通りに」というのが、私の一つの夢です。
■中央図書館の建て替え議論にも影響
大仙公園にある中央図書館も、老朽化から、建て替え時期が迫っています。しかし、建て替え議論がなかなか進まないのは、「建設候補地」があまり見当たらないからです。
あまり見当たらないのは、「堺区限定」でそれを探しているからです。
なぜ「堺区限定」かと言えば、堺区には区の図書館がないからです。
堺区図書館を設置することで、中央図書館を堺区に限定することなく、例えば中百舌鳥など、幅広い候補地から検討することができるようになります。起業家にターゲットを置いた産業振興センターとの複合図書館なんて、おもしろいのではないでしょうか。
個人的には、そうだとしても大阪女子大跡地(堺区)が最適だと思っています。しかし、女子大跡地は、同じく建て替え時期が迫る博物館や、古墳を見渡せる気球、新規設置の議論もある美術館や公文書館など、いくつかの土地利用案(議会での議論)があります。仮に、女子大跡地に中央図書館を持ってくるにしても、中心市街地に区の図書館があれば、ずいぶんと機能を絞り込み、博物館や公文書館など、他の施設との併設も検討しやすくなるはずです。
以上のことから、私は「堺消防署の跡地に堺区図書館を」と提案しています。
ただ、繰り返しますがこれは「一つの案」です。
公有資産をどんどん縮小して、現金化していくような風潮がありますが、ここはまちづくりにとっても大事な、「堺区のど真ん中」です。図書館であれ、何であれ、安易に手放すことなく、まち全体に好影響をもたらす重要な拠点として活用してもらいたいものです。
その議論が深まることを期待して、ブログに記しておきます。
堺市議会議員ふちがみ猛志