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堺市でまたもアスベスト問題

少し前のニュースになりますが、堺市の小学校4校の体育館の天井裏で、吹き付けアスベストが見つかり、うち2校では天井板の欠損も見つかり、これまで長期間に亘って児童に曝露リスクがあった可能性が指摘されました。

※リンク先のニュースより転載

Yahooニュース「大阪・堺市の小学校で児童らが日常的にアスベスト吸入か 市長会見で説明せず」

https://news.yahoo.co.jp/articles/ea2df997d555315be6e4aebf309bf8657ad82a0e

 

アスベスト問題と言えば、これまで堺市議会では長谷川俊英議員が熱心に取り組まれてきたテーマです。

ただ、今回は現場が「学校」ということもあり、今年度、文教委員会の委員長を務める立場として、担当課からヒアリングを行いました。(報道までされているのに、こちらから声をかけないと何も言って来ないのもどうかと思いますがね)

 

この問題については、おそらくスペシャリストである長谷川議員が文教委員会に来られて(所属はされていないので、委員外議員として)細かに質問されるでしょうから、私は大枠で気になったことだけ、ここに記しておきます。

 

それは次の2点です。

 

①スピード感ゼロ、強い縦割り意識

「いつ、誰が、この情報(アスベストが見つかったこと)を知ったのか」と担当課に問うたところ、以下のように返答がありました。

 

1.7月上旬: 4校でアスベストが見つかり、課長級まで情報共有。この時点では「報告義務のないもの」と認識する。

2.8月末: 議会で建設局所管の建物でアスベストが見つかった問題が取り上げられた様子を見て、教育委員会の担当課長は部長、教育次長に報告する。

3.9月10日: 教育長と、環境局環境保全部に報告する。

4.9月11日: 市長に報告する。

5.9月16日: 4校の校長を訪問の上、報告する。また、翌日からの空気中の濃度測定の実施と、結果が出るまでの間、当該施設の利用停止を求める

6.9月17~20日: 空気中の濃度測定を実施し、安全上問題ないと確認する。

7.9月27日: 公表

 

ご覧の通り1~2の間が一番長く時間がかかっているのですが、(庇うわけではないですが)「報告義務がない」と認識していたわけですから、自ずとそうなってしまうでしょう。

問題は、2から3までが長いことです。

「これはまずいかも」という認識で、部長、教育次長に報告がなされ(2)、いわばここで「組織的対応」に切り替わったわけです。ならばここで一気に、教育長、市長、学校現場へ展開されてしかるべきだと思いますが、それには10日以上の時間を要します。

この点について確認すると、「過去の事例や、法的にどうかといった点を調べてから報告することにした」というわけです。

いや、だとするならば、教育長や市長よりも先に連絡すべきところがあります。

それは、環境局環境保全部環境共生課と環境対策課です。この両課には、「アスベスト対策担当者」がまたがって配置されております。

 

アスベスト問題は、学校関連に留まらず、堺市が所有するありとあらゆる(古い)公共施設でおこりうる問題です。だから教育委員会だけでなく、建設局、建築都市局、子ども青少年局(保育施設等)、文化観光局(文化施設等)・・・と、関連しうる部局も多岐に亘ります。選挙管理委員会ですらも、古い施設を所管していたりします。

しかし、それぞれの部局で、すべての担当者がアスベスト関連の法令を精緻に把握するのは困難ですから、横ぐしとなる専門部隊を作っているのです。

 

教育委員会は局長級(教育次長)まで話を上げたのち、自前であれこれ調査するのに10日を要し、そこから全庁的に情報を展開しています。

よりスピーディーに処理、判断するための専門部隊が前述の組織のはずです。こうした横ぐしの専門部隊を利用せず、(素人とは申しませんが)専門ではない職員がせっせと10日もかけて作業していたとは、ちょっと驚きです。何のための専門部隊でしょうか

問題を大きくしたくなかったのか、縦割りの中で自前の組織を守りたかったのか、そこのところはよくわかりませんが、環境保全部の専門部隊にすぐに相談していれば、もっと早くことが進んだのだろうと思います。

ちなみに、公表された9月27日。8・9月の議会の常任委員会が9月24日(金)に終わり、そこから土日を挟んだ次の月曜日です。議会で追及されないよう、委員会が終わるのを待っていたのかな・・と勘ぐってしまうのは、私だけでしょうか。

 

 

②子どもの安全を最優先に考えていない

私がより大きな問題だと感じたのは、教育委員会でありながら、子どもの安全が最優先されていないことです。

 

上記の通り、この問題が現場の校長先生に伝わったのは9月16日です。ここで、問題を報告した上で、翌17~20日から「空気中の濃度測定」を実施することを伝え、該当施設の使用を停止することを求め、そのように実施(停止)されています。

「空気中の濃度測定」をするのは、健康被害の可能性を確認するためです。そして、結果が出るまで施設の使用を停止したのは、測定の邪魔にならないようにという理由もありますが、測定結果が出るまで健康被害の可能性を否定できなかったからです(と担当課は私に応えています)。

 

であるならば。

施設の利用停止について、わざわざ9月16日に校長のところに訪問して説明する前に、その方針が決定した時点で、なぜすぐに電話などで学校現場に伝えなかったのでしょうか

 

訪問したのは9月16日です。

「空気中の濃度測定を実施すること」、「健康被害の可能性を否定できない間は施設の利用を停止すること」、この2つが決定したのは、校長を訪問する9月16日より前のことです。

担当者に確認したら「前日か、それより前」と言葉を濁していましたが、少なくとも当日ではないようです。

「健康被害が否定できない」というのであれば、子どもの安全を最優先に考えて、『一刻も早く』利用停止にすべきであって、呑気に訪問して説明などしている場合ではありません。「説明はあとで丁寧にするから、まずは停止を」と電話連絡すべきです。

 

「訪問してから説明する方が丁寧」と思ったのかもしれませんが、もしそうだとしたら、それはしょせん、教育委員会職員と校長という大人同士の建前の話であって、「子どもの安全最優先」とはほど遠いものです。

これは、学校現場に子どもを預ける保護者としても残念でなりません。

ひょっとすると、校長先生もそのようにお感じになったのではないでしょうか。

 

 

残念ながら(?)、私は今年度文教委員会の委員長の職にあり、この問題に限らずですが、委員会で質疑をすることができません。中立の立場ですからね。

ただ、度重なる堺市のアスベスト問題において、またも子どもたちに影響が出かねない事態となり、しかも上記のような「子どもの安全最優先」ではない対応が見られたのです。

 

非公式の場でのヒアリングは引き続き行いたいと思いますが、委員会においては、委員長席からそのやり取りを注意深く見守りたいと思います。

 

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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