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大風呂敷のアスマイルとリーダーの責任

こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。

 

一年で一番大事な予算議会(2・3月)が終わり、私自身の議員10周年の集いも終わり、ようやく一息つけたので、ブログの更新ももうちょっとスピードアップしていきます。

 

まず、予算議会で印象的だったことから、ぼちぼち書こうと思います。

 

一つ目は何といっても「アスマイル」です。

 

再議で強行したアスマイル

「アスマイル」とは、歩数等の健康情報を記録・管理し、歩数や健康イベントへの参加等に応じてポイントをもらえる健康増進アプリです。

※アスマイルの画面

 

それ自体は、利用者の健康増進につながりうるでしょうから、何ら否定するものではありません。

 

問題は、これが大阪府の事業であって、大阪府民である私たちは、すでにそれを利用することができるのに、あえて堺市が追加料金を負担していることです。

 

3年前、堺市が追加負担を初めてしようとした時、議会では厳しい意見が相次ぎ、議会はこの予算をいったん削減(過半数が削減に賛成)しましたが、永藤市長は再議に付し、削減案を封殺してしまったのでした。

 

再議とは、市長が議会の決定に不服がある時に、審議のやり直しを求める制度です。

通常、過半数(1/2以上)で議会の意思は決定しますが、再議に付された議案を再可決するには2/3以上の賛成が必要となります。言い換えれば、1/3の反対で議案を葬り去れるのです。

堺市議会では、「市長の言うことなら何でも賛成」という状態の維新が、議席の1/3以上を占めていますから、永藤市長からすると再議し放題です。

ただ、いくら地方自治法で決められた制度とは言え、私はこの再議の使い方は本来の主旨に反していると思いますし(下記の過去ブログ参照)、そもそも議会の決定を覆すものですから、安易な行使は議会(=民意)を軽視したものだと言えるでしょう。

 

※過去ブログ「アスマイルと主旨を逸脱した再議」

https://fuchigami.info/%e3%82%a2%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%82%a4%e3%83%ab%e3%81%a8%e4%b8%bb%e6%97%a8%e3%82%92%e9%80%b8%e8%84%b1%e3%81%97%e3%81%9f%e5%86%8d%e8%ad%b0/

 

3年前の約束はどうなった

さて、そのアスマイルについて、再議のすったもんだから3年が経ち、そろそろ状況を確認すべきだろうと議会で取り上げたのですが、、、、

 

まあ、惨憺たる有様でした。

 

市長自身の答弁も含め、当局が3年前に主張した「アスマイルに堺市が追加負担するメリット」は主に3点でした。

 

1.堺市民限定の特典を付与でき、登録者の増加に繋げられる

2.堺市民向けの情報発信やアンケート(情報収集)が実施できる

3.利用している堺市民の健康データを入手でき、分析して、新たな施策に活かせる

 

しかし、結果はというと、

 

1.登録者の増加について

ターゲットとする60歳以上の1年目こそ、倍増したものの、その後は低迷し、今年度末の目標2.5万人の達成は絶望的です。また何より、アクティブユーザー(週1以上の利用者)の割合が低下し、人数は当初とほぼ同じまま

登録だけして利用されていないのなら、それは健康増進に繋がるはずがありません。

 

2.情報発信とアンケートについて

堺市民向けの情報発信は月に2回、アンケートは年4回まで実施可能だったのに、実際になされたのは、いずれもその半分以下。しかも、その限られた情報発信の半分以上がシステムの不具合の連絡だというのです(健康増進に関する発信ではない)

登録者数の増加と違い、担当課の努力次第で何とでもなるものなのに、「やる気がない」と言われても仕方がないでしょう。

 

3.データ分析と施策への展開

アスマイルのデータを活用した新しい施策は何一つない。当局は素直にそれを認めました。

そもそも膨大なデータをもらっても、堺市にはそれを専門的に分析する部署などありません。おおよそデータを眺めるだけになるのは想像できたことですし、実際にそのようになってしまったわけです。

 

私の質疑の中でこれらが一つひとつ明らかになるたび、委員会室では呆れたようなため息と失笑が、次々と起こったのでした。

 

うまくいく根拠は示せぬまま再議

再議までして強行したアスマイルだったのに、この3年間の取り組みが、3年前の主張とはまったく違うものだったと明らかになり、この度の予算議会で、改めてアスマイルの予算は議会の過半数の支持を得て削減されました。

しかし、永藤市長はまたしても再議。そして「議会の1/3以上」という維新の数の力を頼りに、再びアスマイルの予算を復活させたのでした。

 

3年前と同じ光景のようでしたが、まったく違うものが2つありました。

 

1つは、維新の会が削減を提案した我々に質疑すらなく、また削減に反対する理由を討論で述べることもなかったこと。議論しても勝ち目がなかったからでしょう。

2つ目は、当局自身も「うまくいく」という根拠を何一つ示せなかったこと。3年前には具体的にメリットを強調したものの、今回はそれもできず(そりゃ、そうです)、何ら説得力はありませんでした。

 

永藤市長の本音がどこにあるのかはわかりませんが、失敗を認めたくないというプライドと、大阪府の事業には意地でもお金を出したいという隷属意識だけは、見てとることができました。

 

維新の議員も怒るべき

ニュータウンに住んでいる人に特化したサービスをアウトリーチで提供できる

 

これは3年前の議論で、アスマイルの削減を求めた公明党議員に対して、維新の会の議員が主張した時の言葉です。これ以外にも、アスマイルのメリットを当局に倣って列挙し続けました。しかし、実際はそのようなことができていなかったのは先述の通りです。

 

この質疑の中で、維新の会の議員はアスマイルの素晴らしさを主張すると共に、アスマイルの削減を主張する議員を、「能力不足」「勉強不足」とまで言って小馬鹿にして罵りました。

 

果たして、勉強不足だったのはどちらでしょう?

いや、勉強不足とは言いません。いま振り返ると、維新の会の議員は当局の意見を素直に聞きすぎたのでしょう。そして現実が見えなくなっていたのでしょう。そんな都合のいい話があるわけもないのに。さらには、市長を守らねばと必死になりすぎていたのでしょう。

 

今回の一連のやり取りの中で、維新の会は、削減に反対するのだとしても(アスマイルを支持するのだとしても)当局に対してガツンと言うべきだったと思います。3年前に当局の主張を鵜のみにして、一緒になって大見えを切って恥をかいたわけですから。

 

こんな状況になっても何一つ文句すら言わず、粛々と当局の側の立場で採決してくれる最大会派。これほど「議会のチェック機能」と相反する勢力、当局にとって有難い存在もないことでしょう。

 

このような存在こそが、役所の緊張感を失わせ、今回のような体たらくを招いたのだと私は思っています。今回の件を機会に、維新さんには改めて議会の機能とは何たるかを見つめ直してほしいと思います。

気の毒なのは職員たち

市長の再議に冷ややかな目を向けている職員も数多くいます。「恥の上塗り」だと言う声すらあります。

 

この事態の責任は、もちろん担当職員にもあります。

 

しかし、この件はそもそも3年前に大風呂敷を広げ過ぎたことが原因です。永藤市長や、当時の副市長、局長に、できもしないことをやれるかのように主張され、その後の担当職員は苦労されたことでしょう。いや、諦めの気持ちになっていたのかもしれません。

 

市長がまた再議をしたことで、1年後にまた厳しいチェックが待っています(私たちはしなければなりません)。3年間でできなかったことを、次の1年でできる保証など何もなく、無理やりにでも実績を作ろうとすれば(実績があるように見せようとすれば)、職員には大変な労力がかかることでしょう。

市長のプライドのために、不必要な労力と予算が消費されかねません

失敗は素直に認め、広げ過ぎた大風呂敷は速やかに畳む。

それがリーダーの責任だと私は思うのです。

 

永藤市長がそうした姿を見せたことは、今の今まで一度もありません。

 

もはや裸の王様であり、職員の心はますます永藤市長から離れていくことでしょう。残念なことです。

余談

最後に余談です。

私はこの件について、最新号の議会活動報告に掲載しましたところ、担当の部長より2つのクレーム(?)をもらいました。

1つは、大阪府から提供を受けた健康データを破棄したことについて、私が「やる気なし」と表現したこと。

府との取り決めに基づいて破棄をしたのであって、「やる気がなくて破棄したのではない」というのです。

ただ、このアスマイルの取り組み全体を通じて「やる気なし」だったのは間違いありません。加えて言えば、やる気があればデータを破棄するまでに何らかの成果を得るべくもっと努力したことでしょう。また、「過去のデータを再度取得できる」旨の答弁が今回の議会でもなされています。この間にそれをせず、「破棄したまま」だったことは、やはりやる気が問われても仕方がないでしょう。

 

「破棄=やる気なし」という表現だったのは、少々はしょりすぎで、その点はお詫びします。ただ、大筋で「やる気なし」だったことは、改めて主張しておきたいと思います。

 

2つ目のクレームは、担当局長を表現したこのイラストについて、

「うちの局長はもっと若々しい!」というものです(完全に余談です(笑)

リアリティを出すために、無料イラストから、なんとか似たものを探そうとしたのですが、いいのが見当たらず、これが限界でした。また、私なりに「せめて」と、オリジナル画像の横幅を狭めてスリムにし、少しでも似せようと努力はさせてもらいました。その結果がこれでした。

担当局長にお詫びすると共に、同氏はもっと若々しく、エネルギッシュであることを申し添えておきます。

どれくらい似ているか(似ていないか)気になる読者の方には、議会のインターネット録画中継で確認していただけることをご案内し、このブログを締めたいと思います。

 

※堺市議会インターネット中継

のアスマイル質疑は令和7年3月5日の予算審査特別委員会第二分科会でご覧になれます。

https://www.kensakusystem.jp/sakai-vod/index.html

 

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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