子どもの意見は誰のため?
こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。
私が取り上げ続けているテーマの一つに「子どもの意見を聴くこと」があります。
今日はそのことで多少なりとも前進を感じたので、ブログに書きたいと思います。
子どもの意見表明権とは
自分に関わることを、自分の知らないところで決めないでほしい。
自分の意見も聴いてほしい。
というのは、大人も子どもも同じことです。
子どもの権利条約において、
子どもは自分に関係することについて、自由に意見を表すことができ、その意見は子どもの発達具合に応じて十分に考慮されなければならない。
とされています。
この考え方は、子ども基本法にも示されており、堺市行政もこの「子どもの意見表明権」を保障しなければならない立場にあります。
また、「子どもの意見を聴く、取り入れる」というのは、何も「子どもの権利だから」というだけでなく、行政の施策をよりよいものにするために重要です。
例えば、企業においても、女性の積極登用が進んでいるのは、何も「女性の権利を守るため」ではなく、商品開発やサービスの提供、企業経営に女性目線を取り入れることでよりよくするためです。
大人よりも長くこのまちで暮らすであろう「子ども」の意見を施策に取り入れることが、誰もが暮らしやすいまちにつながるのは、当然ではないでしょうか。
新しく変わる子ども計画
堺市の子ども施策、子育て支援施策の方向性を示したのが「子ども計画」で、令和7年度でそれが改定されます(※これまでは「子ども・子育て総合プラン」だったので、行政的には「子ども計画」の新規策定ですが、実質的に「改定」なのでそのように記載します)。
この1年間、子ども・子育て会議ではその改定に向けた議論が続いてきました。
大学教授などの有識者や、保育園や子育て広場などの「子どものいる現場」で活躍されている方々などが参画した審議会です。堺市議会議員からは1名、私が委員をさせてもらっています。
今回の改定版で大々的に謳われているのが前述の「子どもの意見表明権」です。
子ども基本法の制定後の最初の改定となるので当然です。
そして私はその議論の中で、具体的にどうやって子どもの意見表明権を保障していくのか提言してきました。
先日、ブログで紹介した「子ども・子育て会議の委員に、子ども・若者を加える」というのもその一つです。(実現しそうです!↓↓↓)
通常、このような計画が策定される際は、素案ができた段階でホームページなどを通じて市民の意見を募集しますが(パブリックコメント)、今回の子ども計画の策定では、素案の『子ども版』を作成し、小中学校に配布の上で子どもの意見を求めました。これは堺市においては画期的なことです(子どもの権利条例のある他市ではよく見られますが)。
しかし、そこでも私は不十分な点を指摘し、改善を求めました。
子どもの意見に対する回答が「ホームページ上」だったからです。
紙を配って集めた意見なら、紙で配って回答するのが当然です。そうすれば、意見しなかった子や興味のない子にも、「子どもが意見できること」「大人がちゃんと返してくれること」を知ってもらうことができます。
子どもの意見表明権は、単に「意見が言える手段を作る」だけでは不十分です。当事者である子どもたちに「言えることを知ってもらうこと」が大事です。多くの子どもたちはそんな権利の存在を知らず、「どうせ言っても無駄だ」と思っているでしょうから。
大人も子どもも、意識を変えていく必要があります。
広がりつつある意識
そんな中、「役所の意識も変わりつつある」と感じる話がありました。
堺市基本計画(市政運営全般の根幹となる計画)も改定の作業中なのですが、私が子ども子育て会議で確認したところ、「改定にあたり、市内の中学校でワークショップを開いて、子どもの意見を集めた」と言うのです。素晴らしい取り組みです。
このような発想・取り組みが、子ども施策を所管する子ども青少年局だけでなく、他の部局(この場合は市長公室政策企画部)に広がっていることを、「子どもの意見表明権」を議会で取り上げ続けてきた議員として、大変嬉しく思いました。ぜひ他の部局も見習ってほしいものです。
ただ、欲を言えば、「行政側が選んだ特定の学校でやるだけ」で終わるのはちょっと物足りません。選んでもらえなかった学校の生徒には、結局その機会がないわけですから。
川崎市は、市が設置している子ども会議に、基本計画(案)を付議して意見を求めるそうです。子ども会議は設置されてから20年以上が経過し、全小中学生に配布される「教育だよりかわさき」を通じて、子ども会議はその存在が広く認知されています。そして、子ども会議の委員になりたければ、小学4年生以上であれば誰でも手を挙げられるのです。
政策企画部にはもうひと工夫、より広範な子どもに参画してもらえるように取り組んでもらえたらと思います。必要に応じて、子ども青少年局や教育委員会を利用してほしいと思います。
意識変革はまだまだ道半ば
この意識の変革は、むしろ「不十分」「道半ば」と感じる部分の方が多いのが現実です。
同じタイミングで改定がなされる「社会的養育推進プラン」。
こちらは「子ども計画」と同じ子ども青少年局が所管しているにも関わらず、改定において子どもの意見を反映させる意思が見受けられません。「子ども版」は作成されていないばかりか、大人が読んでもピンとこない専門用語が散見されます。
子ども青少年局の外に出れば、なおさらです。
これは「計画の改定」に限った話ではありません。
たとえば、学校と保護者のトラブル解決において、
たとえば、学校の校舎の建て替えで、
たとえば、公園の遊具の選定で、
たとえば、、、、、
子どもの意見を聴いているでしょうか。聴こうとしているでしょうか。
今回の子ども計画の取り組み項目に「庁内の意識醸成」が挙げられています。ぜひ子ども青少年局に取り組みに期待したいと思います。
議会の意識も変わらねば
今回の子ども子育て会議で、具体的に修正をお願いしたものがもう一つありました。
それは、子ども計画の「子ども版」にある、「わたしたちはどうやって意見を伝えるの?」という項目です。
ここには「インターネット」「役所で働く人が聴く」「会議への参加」「パブリックコメント」と4つの方法が書かれていますが・・・、
なぜ「議会」「議員」には触れられていないのでしょう??
子どもは一票を投じられませんが、「議員に話を聞いてもらい、議会で代弁してもらう」のは可能であり、その記載を求めたのです。
堺市議会基本条例には、その活動原則として「市民の多様な意見の把握」「市の政策への適切な反映」「市民に対するわかりやすい説明」が明記されています。
ここで言う「市民」には、「有権者だけ」ではなく、「子ども」が含まれるのは当然です。
子どもの意見表明権を保障する手段として、「議員による代弁」は、少なくとも堺市においては法的根拠があるのです。
子どもたちに議会の存在を知ってもらうこと、市民と議会と行政の関係性を理解してもらうことは、今後、社会の担い手として成長してもらう上でも極めて重要です。主権者教育ってやつですね。
子どもの意見をちゃんと聴く姿勢があるか、権利主体として認めているか。
私たち議員も、それを問われることになるのです。
印象的だった会長のコメント
子どもの意見なんて、どうせ聞いたって、たいしたものが出てこないでしょ?
と思われる方もいると思います。
たしかに、今回の子どもへのパブリックコメントを見ても、いかにも子どもらしい意見が大半です。「夏休みをもっと増やしてほしい」とか。
そのことについて、子ども子育て会議の会長が発したコメントが印象的でした。
「子どもの意見の、その背景を知ることが大事だ」というものでした。
なぜ夏休みをもっと増やしてほしいのか?
普段の学校が退屈すぎる?
夏休みの宿題が多すぎて、やれる日数がない?
保護者が忙しくて遊びに連れて行ってもらっていない?
子どもの率直な意見には、子どもを取り巻く社会環境・家庭環境に起因する、何らかの事情や課題があるのでしょう。そこにまで大人たちが思いを巡らせ、改善しようとできたならば、このまちは子どもたちにとってずいぶんと住みやすいものになることでしょう。
自戒の念も込め、私も大人の一人として、子どもの意見にしっかり耳を傾けたいと思います。
まずは我が子から・・と思いますが、これが一番難しいんですよね(汗)。
堺市議会議員ふちがみ猛志
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