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子どもの意見表明権と議員の個性

こんにちは。堺市議会議員(堺区)のふちがみ猛志です。

 

3日間の大綱質疑が終わりました。

統一地方選・市長選を挟んでの半年ぶりの本会議での本格論戦で、興味深いやり取りがありましたので、そのことについて書こうと思います。

 

それは「子どもの意見表明権の取り組みの広がり」についてです。

前回の「議員定数削減についての私の考え」にもつながる話でして、多少口幅ったい記載もありますが、お許しいただき、ご覧ください。

 

子どもの意見表明権とは

日本が1994年に批准した「子どもの権利条約」には、「子どもが自分自身に関係することについて、自由に意見を表すことができる権利がある」と規定されています。

そして大人たちにはその声を聴き、子どもの年齢に応じてそれに配慮しなければならないとされています。

 

子どもの意見表明権は、子どもの権利条約における最も特徴的かつ重要な権利であり、当然ながら(我が国が批准していますので)堺市におけるあらゆる事務において、これが尊重されなければなりません。

私はこの権利について、ずいぶん前から議会で度々取り上げてきました。

 

大綱質疑で取り上げられた話

今回の大綱では、これに関連した堺市の取り組みについて自民党の信貴議員、維新の会の青谷議員が取り上げました。

 

その取り組みとは、今後の質の高い保育を実践していく前段階として、実際に5歳の園児に意見を聴いたというものでした。また、聴取する担当者(専門家)が事前に保育に入り、園児たちと遊んで心を和ませたりもしたそうです。

「子どもの意見表明権」を尊重した素晴らしい取り組みです。

 

私の記憶の限り、複数の議員が同じ定例会の大綱質疑で「子どもの意見表明権」を取り上げたのはこれが初めてだと思います。加えて言えば、「(子どもの)意見の代弁」を意味する「アドボカシー」という言葉、これを議会で発した議員は、私以外では青谷議員が初めてでした(※会議録で確認できた範囲、かつ「子どもの権利におけるアドボカシー」という点では)

 

私自身が何度も取り上げてきた「子どもの意見表明権」や「アドボカシー」について、他議員が、それも複数の議員が取り上げたことを、私はすごくうれしく思っています。

 

きっかけを作ることができた自負

お二人の議員が取り上げたきっかけは、堺市が先述のような素晴らしい取り組みをしたからだと思います。

そして、堺市がそのような素晴らしい取り組みをしたのは、私がしつこく「子どもの意見表明権」を呪文のように唱え続け、時に「子どもの意見表明権が守られていない!」と指摘をしてきたからだと思っています。少なくとも、そのきっかけの重要な一つであることは、自信を持って言えます。

 

特に「アドボカシー」を取り上げ始めたころは、市の担当職員も関心が薄く、「必要ある?」って感じでしたが、今年はその予算もつきましたし、また私以外の議員が取り上げることにもなり、一歩一歩着実に堺市行政と議会の中で広がっていることを実感しています。

 

私という議員がいなければ、この状態に至るのに、少なくともあと1、2年かかったと思います。そして、いつかこのような取り組みがもっと広がり、堺市で「子どもの意見表明権の尊重」が定着した時、私は「議会において大きな役割を果たせた」と胸を張れるだろうと思います。

 

※もちろん、私以外にも、今回取り上げた信貴議員、青谷議員もその役割を果たしたお一人と言えるでしょうし、議員以外でも職員や民間でもたくさんの方々が、この権利の定着のために取り組まれ、大きな役割を果たしていらっしゃいます。

 

私だけではない議員の個性と実績

さて、私と「子どもの意見表明権」について書きましたが、何も「私ってすごいでしょ」と言いたいわけではありません。

 

このような事例は決して少なくないのです

 

たとえば、同じ会派の西哲史議員。

「自転車のまちづくり」は今や堺市の主要な政策テーマの一つとなり、私も含め少なからぬ議員が関心を持ち、全国的にも先進的な取り組みがなされています。が、それは自転車好きの西議員が、自転車のまちづくりをについて他の議員があまり関心を持たなかった頃から粘り強く訴えてきた、その結果でもあります。彼という議員がいければ、堺市の「自転車のまちづくり」は数年遅れていたことでしょう。

 

同様に、堺市の「ジェンダーの取り組み」で言えば、自民党の山口典子議員がそうですね。彼女という議員がいなければ、堺市の多くの取り組みが存在していなかったことでしょう。

 

堺市は平成31年に同姓パートナーシップ制度を創設しましたが、共産党の森田議員がいなければ、あと1、2年は遅れていたことでしょう。

 

このような事例は、政党や会派に限らず、枚挙にいとまがありません。

〇〇議員がいなければ、△△は実現しなかっただろう。遅れていただろう。議論されることすらなかっただろう・・・。などなど。

 

これは私や彼・彼女らの「能力」というより、「個性」があったからこそだと思っています。

 

定数を減らすことは個性を減らすこと

48人の議員には、48通りの「個性」があります(もちろん、その「個性」が弱々しく、議会活動に活かせていない場合もありますが)

 

そして48人の議員を41人に減らした場合、確実に7つの「個性」がなくなります

 

中には、「減らした7人分の質問時間を残る41人に割り振れば、議会のチェック機能は保たれる」かのように考える人もいるでしょう。

質問時間の総数も大事ですが、私はこの「個性の減少」がより大きな問題だと思っています。「視点」や「目線」と置き換えてもいいかもしれません。

 

もしも堺市の議員定数を60に増やせば、今はない12の個性が堺市議会に加わりますし、きっとその12の個性が、今の48人が気づかない、あるいは関心のない政策分野・課題に光を充て、堺市に新たな恩恵をもたらしてくれることでしょう。

※かといって、60に増やすことは現実的に難しいと前のブログで述べました。

https://fuchigami.info/%e8%ad%b0%e5%93%a1%e5%ae%9a%e6%95%b0%e5%89%8a%e6%b8%9b%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6%e3%81%ae%e7%a7%81%e3%81%ae%e8%80%83%e3%81%88/

 

一方、41人に定数削減をした場合、「失われた7人分の個性が見つけていたはずの課題」は、ほかの41人に気づかれることもなく、眠りつづけてしまうかもしれません。他の議会で「議員定数を減らしたけど何も困っていない」など宣う議員がたまにいますが、それは大きな勘違いなのです。

 

私、ふちがみの個性

「子どもの意見表明権に強い関心がある」は、私の個性の一つだろうと思います。

 

他にも、「堺区生まれ堺区育ち」「海外を長く放浪していた」「大学で法を学んだ」「エレクトロニクスの商社で働いていた」「3人の子どもを育てている」「子どもが不登校である」「保護司をしている」「里親をしている」などなども私の個性でしょうし、いずれの個性も議会質疑で大なり小なり活かされています。

※そんな私の「個性」はこちらからどうぞ。

https://fuchigami.info/profile/

 

 

 

そんなものは他にもいくらでもありますし、私だけの個性もあれば、他の議員と重なっているものもあるでしょう。

そして、他の議員にも、その議員にしかない「個性」があります。

 

多様な価値観があふれる現代社会では、やはり多様な「個性」が光る地方議会であるべきです。他の議員の個性にも目を向け、尊重しながらも、自分の活動を磨いていきたいと思っています。

そして「やっぱり定数削減はあかんよね」と、子どもの意見表明権の取り組みの広がりと、自分自身の個性を見つめつつ、そう思ったのでした。

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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