家康が示した政治家像
少し前の話ですが、7月に栃木県日光市に視察に行ってきました。
日光には色んな魅力があるのに、東照宮のイメージが強すぎて、他は知ってもらいづらい。
東照宮だけの日帰りが多く、宿泊を増やしたい。
スポットが点在しているので、ループバスの実証実験中。
などなどという話は、堺市の観光施策にも通ずる話でした。
さて、その流れで日光東照宮にも行ってきました。
東照宮の神職さんに案内していただき、大変興味深く見てまわることができました(誰がガイドするかで満足度は大幅アップ!改めて、堺観光ボランティア協会の皆さんに期待!)。
東照宮と言えば、多様な装飾が有名です。それぞれに言われがあって、「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿や、眠り猫は特に有名ですよね。
これらの装飾は、家康が目指した世界観を示しているものが多く、例えば、たくさんある「子どもたちが遊んでいる様子を描いたもの」は「平和」を象徴しているそうです。
子どもが割れた壺から出てきたこの彫刻は、壺にはまって出られなくなった子どもを、友達が壺をたたき割って助け出したという中国の逸話らしく、「モノよりも、命が一番大事」を示しているそうです。
中でも私が関心を持ったのが、家康が示した「君主像」です。(今で言えば「政治家像」ですね)
この左側で頭を拭いている人物は、中国の周公旦という政治家(知事のような立場)で、その向かって右側には、何やら周公旦に頼み事しているような人たちがいます。
これは、お風呂に入っている時に、突然やってきた領民の話を聞くために、周公旦が慌ててお風呂から出て、急いで身支度をしている様子で、「どんな時であっても民の話を聞くように」と示したものだそうです。
こちらの彫刻もそうです。(写真が見にくいのですが・・)真ん中に領主が描かれ、右端には何かを書いている民の姿、左端には太鼓を叩いている民の姿があります。間にはそれを取り次ぐ役人の姿があります。「色んな形で発せられる民の思いを、ちゃんと受け止めるように」と示したものだそうです。(人物名は聞き損じました)
江戸時代の大名たちは東照宮に参拝する度に、これらの民の声を聴くことの大事さを示した数々の彫刻が飾られた門の下をくぐり、家康の示した「君主像」を見せつけられたというわけです。
実際にこれが家康の思いだったのか、いやいや東照宮の建立に関わった天海の思いなのか、その辺はわかりませんし、実際に江戸時代の権力の座にあった人達が、どこまで「民の声を聴く」という実践ができていたかはわかりませんが、、、ともかく、このような形で示されていたことには、政治家の端くれとして感ずるものがありました。
振り返って、現代の政治家はどうでしょうか。
当時の「君主と民」の上下の関係ではなく、「代弁者と国民・市民」という横の関係、あるいは「公僕」という意味で、逆の上下関係なのかもしれませんが、「国民・市民の声聴く大事さ」は、今も昔も同じでしょう。いや、当時とは比べ物にならないくらい価値観が多様化していますから、「声を聴く大事さ」も比べものにないほどに高まっていることでしょう。
議員になって8年目。
「市民の声を聴く姿勢が不十分」というのは、様々なシーンで感じできましたが、永藤市長になってからは、「当事者不在のトップダウンの拙速な判断」が多く、それを一層強く感じています。
一昨日から8月議会の大綱質疑が始まっています。来週からは決算審査が始まります。議会質疑は私たち議員が代弁者として「市長や職員に市民の声を聴かせる場・伝える場」でもあります。全力でその務めを果たして参ります。
もちろん、私も市民の声を聴かねばならない立場です。私自身にとっての「市民の声を聴く場」でもある、市政報告座談会も全17回のうちの9回が終了。「聴かせる」「伝える」という務めの前提は、「聴く」があってこそです。引き続き、「聴く」という務めも果たしていきます。
【今後の座談会の予定】
9月5日(月) 19時 湊校区地域会館
9月12日(月)19時 神石校区地域会館
9月16日(金)19時 三宝地域会館
9月17日(土)15時半 英彰校区地域会館
9月20日(火)19時 錦西校区地域会館
9月21日(水)19時 大仙地域会館
9月27日(火)19時 いこいの森会館(市校区)
9月28日(水)19時 人権ふれあいセンター(大仙西校区)
堺市議会議員ふちがみ猛志