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想像力の欠如と、政治の多様性

同い年のシングルマザーと話をする機会があった。

普段の生活が大変なことはもとより、離婚にかかわる大変さ、
その中での市役所への不満など色々聞かされた。

聞くと、小1のお子さんがいて、のびのびルーム(学童保育)を利用しているとのこと。
仕事はフルタイムで朝8時過ぎに始業。
学校がない夏休みは、一人で留守番させるわけにもいかず、朝からのびのびルームを利用している。

そして、案の定、のびのびルームが、
夏休みは8:30、春・冬休みは9:00スタートというのに大変困っていた。

私が議会・委員会で繰り返し取り上げ(また他の議員も取り上げた)、
来年度から8時に前倒しされる可能性が高くなったことを伝えると、
本当に喜んでくれた。

なんでも、やむにやまれず、子どもを学校の前まで送り、正門前で、
8:30まで待たせていたそうだ。
まだ小学校一年生。
じっと待ち続け、お漏らしをしてしまったこともあったとか。

親としては、生活のためそうせざるを得ず、本当につらいことだったろう。

実は、こうしたことは、過去にも他の方から聞いたことがあった。
少なからぬ、パパやママがこうせざるをえない状況にあるのだろう。

前倒しができそうで、本当によかったわけだけど、それにしても、
なぜこれまでに改善できなかったのだろうか。
そのことが気になって、仕方がない。

今回の文教員会で、気になるやり取りがあった。

3年後に、堺東のジョルノビルに、図書コーナーがオープンすることになっている。
カウンターだけが設置され、そこで図書を予約したり、予約したものを受け取ったり、
返却したりすることができるもので、朝9:00からオープンすることになっている。

それに対して、

「堺東駅の通勤客の利用を考えるなら、8:00オープンにすべき」
という意見が議員から出て、市長がそれに
「ご指摘の通り。教育委員会に検討させる。」
という、極めて前向きの答弁を行った。
市長がここまでいうのだから、教育委員会内でもコンセンサスが取れているはず。

私は、このこと自体は適切な判断だと思う。

しかしながら、オープン前の図書コーナーは、こんなにあっさりと問題に気付き、
あっさりと是正に向けて進むのに、どうして学童保育の開始時間の問題は、
長い年月にわたって、なかなか改善されなかったのだろう。

私は、ひとえに「想像力の欠如」だと思う。

図書コーナーは、堺東にできるわけだし、市役所で務める職員にとっても
極めて想像がしやすい。
図書館を普段利用している職員、「図書コーナーができたら利用しよう」と
思っている職員も多いはず。
「9:00じゃ、出勤前の時間に間に合わないよ」と自分の立場でわかる。

一方でのびのびルームの、長期休暇中のオープン時間。

教育委員会で、決定権のある職員の大半が男性で、年齢層も高い。
小学校低学年の子供がいて、それも共働きの家庭は少ないように思われる。
図書コーナーに比べて、あまりピンとこなかったのではないだろうか。

おそらくそれは多くの議員にとってもそうで、議事録を見る限り、
昨年度までにそれを取り上げた議員は、極めて少なかった。

極論すれば、

本を借りなくとも、仕事には行ける。
子どもを預けないと、仕事には行けない。

図書コーナーの時間の前倒しより、
のびのびルームの時間の前倒しの方が、
よほど重要性が高いと思う。

困る人の数は、のびのびルームの方が少ないかもしれないけど、
それで困っている人は、子どもであり、シングルの方であり、
本来、行政が手を差し伸べるべき人たち。

私自身も、世代が近いし、たまたまそれで困っている人の声を聞く機会が
何度かあったから、非常に想像が容易だった。
しかし、ひょっとすると、高齢者の課題や、自分とは境遇の違う人の課題において、
想像力が欠如し、解決の必要性を感じられていなかったり、それ自体を
スルーしてしまっていることがあるかもしれない。

だから、自戒の念を込めて書くけれど、
議員も、市役所の職員も、自分を当事者に置き換えて想像する、
その想像力が、本当に大事。
「市民目線」とはまさに、その想像力のことだと思う。

職員のみなさんには、それを強く求めたいし、
私自身も常に意識したいと思う。

 

そして、同時に、

その想像力にも限界があるわけで、、

 

ゆえに、多様な人が政治に参画してほしいと、心から思う。

 

 

 

 

 

 

 

堺市議会議員  ふちがみ猛志

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