日本がもし713人の村だったら
2001年だったと思います。
「世界がもし100人の村だったら」という本が大ブームになりました(もともとはネットに流れたお話がブームとなり、書籍化されたのだったと記憶しています)。
男女や、人種、宗教だけでなく、貧困、識字率、性的指向など、世界の人口比率を「100人の村」という、実感できる単位に置き換えることで、マイノリティの存在や、格差の問題を可視化した本です。9.11テロの影響もあって、大変話題となりました。私も当時購入し、大変心に響いた本でした。
さて、私は、この本が世界全体を「100人の村」で表現したように、議会が社会全体の写し鏡であったならどうだろうか、と思うことがあります。
男女比が半々で、
高齢者も、中年層も、若年層も万遍なくいて、
障がい者もいて、
自営業者がいれば、サラリーマンや公務員経験者もいて、
なんなら無職が長かった人もいたり。
議会がその社会の写し鏡であるかのように、「社会の人口構成が、議会の議員構成に」なっていたならば、政治にもっと様々な視点が入り、多様性のある社会、「誰一人取り残さない」持続的な未来を作る、大きな力になるように思います。
言うまでもないことですが、議会・政治には一定の専門性と、何より情熱が必要ですから、「社会の写し鏡」であれば「誰でもいい」というわけでは、決してありません。社会の写し鏡ともなる多様な人たちが、それぞれに強い情熱を持ち、政治に取り組む必要な準備をして、議会を構成してくれれば、という話です。
そういう意味で、今回の参議院議員選挙は、大変興味深いものです。
一番わかりやすいのは男女比です。
「政治分野における男女共同参画推進法」が施行されて、最初の国政選挙です。
多くの党がこの法の趣旨を踏まえ、女性候補を増やしています。
全公認候補のうちの女性の割合は、共産党が55%、立憲民主党が45%と、ほぼ半数です。(すごい!)
国民民主党、日本維新の会も30%を超えており、この水準もかつては考えられなかったレベルだと思います。(政権与党の自民党が15%、公明党が8%というのは残念ですが)
この他、障がいを持った方や、性的少数者の方など、様々な立場の方が出馬され、話題となっています。
でも、これが当然なんだと思います。
マイノリティと言われる方々もこの社会で暮らし、その社会の様々なルールや、仕組みを作るのが議会なのですから。
当事者がいなくてどうするの?って話です。
国会議員の議席数は713です。(衆参合わせ)
では、「日本がもし713人の村だったら」、どうなるでしょうか?
女性は366人です。(R1.6総務省人口推計より)
障がい者は53人です。(H30厚労省推計より)
性的少数者の正確なデータは持ち合わせていませんが、13人に1人とも言われたり(ならば、55人)、調査によっては3%程度(ならば、21人)とも言われています。
いずれの数字に比べても、現在の国会議員の構成は、これらよりはるかに小さいものになっています。
現職の女性国会議員は100人足らずで、比率はG20諸国で最下位です。もっと多くあるべきでしょう。
障がい者も性的少数者は比べるべくもないでしょう。(※性的少数者や、精神障がいに関しては、カミングアウトできていない議員が、実際にはいらっしゃるだろうと思われます)
社会は多様化している!
議会ももっと多様でいい!(でもそうなっていない)
と私は思います。
そんな中、今回の参院選は今までよりずいぶん多様で、個性豊かな候補者が多い気がします。
社会に当たり前に存在している人たちが、議会でも当たり前に存在している。そうあってほしいものです。
この「多様」が日本社会の当たり前であり、議会の当たり前ともなるよう、この参院選がそのきっかけとなることを願います。
だからこそ、有権者の皆さんには、候補者一人ひとりの個性に、もっと目を向けてほしいと思います。
決して「誰がやっても一緒」ではありませんから!
せっかく17日もある参院選です。
じっくり見つめて、じっくり選んでみてください。
堺市議会議員 ふちがみ猛志