柏市のいじめ対策に学ぶ
千葉県柏市への視察で、同市の「いじめ対策」を学んできました。
柏市は全国最初に、いじめ相談・通報アプリ「STOPit」を導入した自治体です。
いじめの電話相談や、Eメールでの相談窓口はあれど、いまどきの子どもは電話もメールもしない・・・、ということで多くの自治体が、相談窓口としてアプリやSNSを活用し始めており、柏市はその先駆けです。
STOPitは、匿名で相談でき、ただし、学校名と学年は相談先に伝わるというシステムで、その他にも履歴の確認などで細かな工夫がいろいろなされています。
しかし、私が関心したのは、アプリそのものではなく、その前段階の取り組みです。
アプリを作って、「とにかくアプリをダウンロードしてみて!」「どんどん相談して!通報して!」というのではなく、まず「なぜいじめを放置してはいけないか」「傍観者になるとどうなるのか」ということを、徹底的に教えます。そして、その相談や通報の「一つの手段としてアプリがある」というアプローチをするのです。
柏市の担当者は「アプリありきではない」とおっしゃったのが印象的でした。
堺市でも、SNSの相談窓口が必要との議論が続き、LINEのいじめ相談を導入しました。しかし、それがどのように子どもたちに伝えられているのか、チラシを渡すだけなのか、それとも柏市のようにしっかり授業をしているのか、恥ずかしながら私は知りませんし、議会でもそのような議論は乏しかった(なかった?)ように思います。
いじめに限った話ではないですが、いくらデジタル技術を使った相談窓口を作っても、その前後のアナログ的な部分の方が重要なのは当然です。前段階の「そもそもなぜ相談が必要か」という当事者意識の醸成と、後ろの「相談があった時の丁寧な対応」です。(窓口の直後のやり取りくらいは、AIで対応する時が早晩やってくるような気もしますが・・)
柏市からは貴重な気づきをもらいました。
千葉県は全国でいじめ通報件数が一番多いそうです。その中でも柏市が、県全体の実に1割を占めるそうです。「柏市はいじめが多い」というのではなく、これは「いじめは放置しない」ということがしっかり教育され、小さな芽のうちに相談や通報がある結果なのでしょう。
堺市でLINEの相談窓口をつくったのは、いじめ対策の前進に間違いありませんが、その前後がどうなっているのか、改めて確認していこうと思います。
堺市議会議員ふちがみ猛志