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残念な最終日③ ~維新の姿勢~

最終日の残念だったこと。第三弾。

それは「やはり」と言うか、「またか」と言うか、、、、維新の姿勢。

【まず前置き(長いですけど)】
今回の最終日、大阪維新の会堺市議会議員団は、「個人情報の流出事件に関しての特別委員会を立ち上げるべきだ」という提案をしてきました。

「極めて重要な問題だから、特別委員会を」というのが、彼らの主張です。

これだけを聞くと、非常にまっとうな意見のように思えます。
私も、この問題の重要性の認識は同じだし、おそらく全議員がそうでしょう。

しかし、維新の会を除く、すべての会派が反対しました。

なぜか?

「特別委員会」というと、何か特別な権限があるかのような印象を持たれる人も多いと思いますが、そんなことはありません。
普段から設置されている常任委員会で、「カバーしきれないこと」を取り扱うために、特別に設置するのが「特別委員会」です。

そこで、

1.個人情報流出事件は、常任委員会である「総務財政員会」の範疇であること
2.よって、すでに9月からこの事件について、同委員会で議論されていること
3.常任委員会なので、すぐにでも開催できること
4.特別委員会の設置は、委員の選出、正副委員長の選出と、動き出すまでに時間がかかること

などから、特別委員会を開く理由などなく、むしろ、すぐに総務財政委員会を動かした方が、よほどスピーディーなのです。
また、所属委員には、過去の議論の蓄積もあります。

【その議論での維新の姿勢】
議会に提案する以上、思いつきでは困ります。
しっかりと準備をして頂きたいところです。

その上で、私たちの会派の西議員と、提案会派である維新議員とのやり取りで、私がどうしても残念でならなかった維新の姿勢は、

①提案にあたり、個人情報流出事件に関する、過去の議事録を一切見ていなかったこと(そうした議論があったことが、記憶にすらもないこと)

②休憩時間に、会派としてリカバリーしなかったこと

③百条委員会との整合性が取れないこと

です。

西議員は、「過去の議事録を確認したか」「その論点整理をしてほしい」と、しつこく求めました。

この様子をネット配信などでご覧になられた方は、「西議員はいじわるだなあ」「入り口論じゃないか」と思われたかもしれません。

西議員が本当に問いたかったのは、議事録を見たかどうかでなく、「なぜ総務財政委員会じゃダメなのか」「あえて特別委員会を立ち上げる理由は何か」です。
前述したように、総務財政委員会を使った方が、よほどスピーディーなのです。

ですから、「過去の総務財政委員会での議論(議事録)で、何が足りないのかを示してほしい。そこで議論できない論点は何なのか。その延長線上(総務財政員会)で議論してはいけないのか。」と尋ねようとしたのです。

そこで帰ってきたのが、「議事録を見ていない。議論されたことすら記憶にない。」だったので、こちらはガックリです。その先の議論ができず、「時間をとるから、議事録を見たうえで、それを示してほしい」と。
それに彼らは、「この問題が重要だから、特別委員会を」と繰り返すばかりでした。
完全な論点ずらしです。真摯な答弁とは言えません。

こちらも「重要だという認識は同じ」と繰り返し述べ、「だからこそ総務財政委員会」と考えているのに、これでは全く説明になっていないのです。

また、「重要だ」という認識だったら、過去に議論があったことすら知らないのは、なぜでしょうか。
少なくとも、私は、自分の所属する委員会で「最近、誰がどんなテーマの議論をしたか」くらいは覚えています。まして、自分が「重要だ」と思うものなら、内容も覚えています。
「維新の議員は、委員会で居眠りや内職でもしていたのか」なんて冷やかされても、仕方ないでしょう。

さらに、百歩譲って「記憶にない」として、「重要だ」という認識のもと議会に提案する以上、それに関して「過去にどんな議論があったのか」を確認するのは当然です。

彼らは繰り返し、「問題が大きくなったのは、68万人の流出が明らかになった12月から」と主張しました。要するに、9月の議事録は重要でない、見ていなくとも問題ないとの開き直りです。
これもおかしな話で、私たちの会派の山口議員は、9月の時点で「68万人の流出の危険性」について、しっかり議論をし、追及しているのです。私たちは、この問題が発覚した9月の時点で、重要だという認識のもと、ちゃんと議論していたのです。(ちなみに維新の会は、この時点で「重要だ」という認識がなかったのか、9月には一切取り上げず)
彼らなりに、「重要になったのは、68万人の流出が確定してから」だったとしても、その重要問題の出発点に目を向けるのは、これもまた当然です。

提案を受ける側の私たちですら、当日の朝、この提案があることを知らされ、少ない時間の中で、過去の議事録を確認しました。
堺市議会の議事録は簡単に検索できます。
せめてそこに「個人情報」とキーワードを打ち込んで、検索するくらいは、してほしかったものです。

ちなみに、以前、職員の政治活動を制限する条例を、維新が提案してきたときも、過去の議事録を用意していなかったことが、「提案会派としてその姿勢は」と批判されました。
本当に懲りない人たちです。

二つ目に、休憩中の会派の姿勢を問いたいと思います。

この時の質疑は、

「議事録を確認して、論点整理してほしい」との西議員の申し出を受け、そのための時間として、15分の休憩が取られました。
議会再開後、維新池田議員の答えは「15分なので、なめるように読んだだけ。論点整理までできない」でした。

詳細は割愛しますが、その後、しばしの議論の後、池田議員の「黙れ!」という暴言により、議会が紛糾し、3、40分ほどの休憩に入ります。

そして、さらにその休憩が終わり、再開された議会でも、議事録の論点整理について、池田議員は同じ回答を繰り返しました。
池田議員をかばうわけではないですが、暴言による紛糾を収束させるため、池田議員は二度目の休憩の際には、議会運営委員会での対応に追われ、議事録どころではなかっただろうと思います。

では、維新の残りの議員は何をしていたのでしょうか。
少なくとも、議会運営委員会委員と、議長以外の10人ほどの議員が、3、40分ほどの休憩を取っていたはずです。
全員で対応すれば、議事録の確認、論点整理くらいできたのではないでしょうか。

それが、長い休憩をはさんでも、まったく同じ回答に、正直がっくりきました。

先に述べたように、維新の突然の提案により、私たちは当日朝から対応に追われました。
反対する以上は、こちらもしっかりと理論武装して反論せねばなりません。
文案を作成したり、質問事項をまとめたり、そのために過去の議事録を確認したり。
代表で質問に立つ西議員一人では、その作業は物理的・時間的に不可能ですから、私や木畑議員が、それをサポートし、作業しました。

議案の提出には、提案会派全員の署名がなされているのです。
署名をした面々には、「この提案を通すために、全員でがんばろう!」という思いはあったのでしょうか。
まさか、池田議員(と、何度か質問に答えた黒田議員と伊豆丸議員)以外は、他人事だったのでしょうか。
少なくとも、私には、会派としてのやる気を感じることができませんでした。非常に残念でした。

最後に、百条委員会との整合性です。

維新の会は、個人情報流出事件について、「重要だから特別委員会を!」と訴えました。
一方で、同じ維新の小林よしか議員の政務活動費の不正使用問題では、百条委員会の設置に反対しました。
政務活動費の不正使用問題は、彼らにとって「重要でない」のでしょうか???

【そもそも、なぜこんな提案をしたのか】
おそらく、同日に可決された百条委員会のイメージを、薄めたかったのでしょう。
私はそう感じています。

百条委員会の可決のニュースは、維新にとっては痛い話です。

そこで、個人情報流出に絡んだ話で騒いだのでしょう。(※)
そして、特別委員会の提案が否決されたら、「維新以外はこの問題の解決に非協力的だ!」と批判したかったのでしょう。
そうすることで、世間の目が、百条委員会の可決に集中することを避けたかったのでしょう。

現に、一昨日(議会最終日の前日)、松井知事が百条委員会について質問する記者に対し、「そんなことよりお前、明日、堺の市議会、シャンシャンでやるらしい。役所ぐるみで反省の色なし。ほんまにおかしい。そっちの取材してください。」と述べています。

政治的意図を提案があったことは、ここからも類推できます。

直前に、上からの指示でやらされた提案だったから、たいした準備ができなかったのでしょう。
「自分たちで、この提案を通すんだ」という姿勢が示せなかったのでしょう。

(※)騒ぐこと自体は問題ではありません。騒ぐにたる重要事件ですから。問題はその意図です。なお、私たちは、総務財政員会の速やかな開催を求め、それが実施されました。

大阪維新の会堺市議会議員団の、議会への姿勢を批判するブログを書くのは、これで二度目です。( 過去ブログ 議会に臨む姿勢 )

私と彼らは、意見や立場の違いはありますが、お互いに議会人です。
その矜持のもと、是々非々で意見をぶつかり合わせたいものです。
彼らもそう思っていることを信じています。

堺市議会議員  ふちがみ猛志

意見・提案