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百条委員会 ~公人たる自覚~

2月10日、百条委員会が開催され、12日の維新・小林よしか議員の証人尋問の際の、運営ルールなどが議論された。

 

最も議論が白熱したのが、「証人尋問を公開するか、否か」。

 

百条委員会は、それ以前に作成した申し合わせにより、メディアによる録音・録画に加え、インターネット中継を認める、フルオープンを原則としている。これは、堺市議会本会議や、その他の委員会(議会運営委員会以外)にも共通している。

しかし、「証人が出席する場合」は、「証人の意見を聴いた上で委員会に諮る」ことになっている。

 

そこで、証人となる小林よしか議員の意見を聴いたところ、その答えは、「録音・録画・インターネット中継を禁止されたい」という、非公開を求めるものだった。

 

委員会での議論も、それを受けて、大阪維新の会と、公明党が非公開を主張した。双方のトーンはやや違っていたが、公明党は「証人が話しやすい環境作り」に主眼を置き、大阪維新の会はそれに加えて、プライバシー、証人の人権といったものを理由に挙げた。

 

これには、正直、首を傾げざるをえなかった。

 

もちろん、申し合わせの文面自体は、非公開もありうべしなのだが、それはあくまでも、あらゆる証人がいることを想定してのこと。公人もいれば、私人もいる。調査対象の当事者もいれば、直接ではない関係者もいる。場合によっては、被害者のような立場の方もいるかもしれない。

 

一方で、小林議員は、公人中の公人、議員であり、かつ、この事件の一番の当事者ではないか。

 

ことさら、自身の人権、プライバシーを全面に、非公開を主張する彼女と、仲間の維新の会の面々には、「公人たる自覚はあるのか」と問いたい。

 

 

私は当然、「公開」を主張したわけであるが、その理由を述べたい。

 

まず、主な論点は、以下の三点。

 

①プライバシー等の人権面への配慮

②話しやすい環境作り

③公益性

 

端的に言えば、①+②に対して、③が上回るなら公開、下回るなら非公開と言っても言いだろう。

当然、その判断においては、証人の属性が極めて重要なのは、言うまでもない。

そしてまた、百条委員会は国会の証人喚問の地方版であるから、国会での運用状況が重要な指標となる。

 

そこで、私が挙げた理由は、以下の通り。

 

1.1998年の議院証言法改正の経緯

1998年以前、国会の証人喚問の公開レベルは、「静止画+録音」であった。しかし、公益性の観点から、録画が可能となった。証人喚問での「『静止画+録音』では不十分」との、法改正の経緯は十分に踏まえる必要がある。つまり、「静止画+録音」以下の公開レベルは、考えられない。

 

2.1998年の議院証言法改正の主旨

1998年6月18日の参議院本会議において、同法改正の主旨について、「証人に対する尋問中の撮影を許可できるようにし、あわせて証人が『公務員以外の者であるときは』、その人権の保護に特に配慮しなければならない」と説明され、その上で、全会一致で可決されている。つまり、証人喚問において、公務員である証人の人権の保護については、必ずしも重大な配慮を求めていないのである。しかも、それが選挙で選ばれた議員であるならば、さらにその配慮が小さなものになるのは、言うまでもない。それが法改正の主旨である。

 

3.1998年の議院証言法改正以降の実績

衆議院で10名、参議院で7名の証人喚問が行われているが、そのすべてにおいて、録音・録画が許可されている。元・公務員も公務員として扱うならば、17名中、「公務員以外」は13名となる。しかもうち2名は、録音・録画を拒絶する意見を出している。それでも、すべて録音・録画が許可されているのだ(2010年以降はインターネット中継も)。「人権の保護に特に配慮」とされた私人が、やめてほしいと言ったにも関わらず、録音・録画が許可されたというのは、証人喚問における公益性という視点が、それほどに重いということである。証人が公人であるならば、なおさら重いのである。

 

 

もちろん、「話しやすい環境作り」も重要であるが、小林議員はこれまで、議会で常にインターネット中継の中で質疑し、本件についてもその環境下で答弁してきたのである。それが、百条委員会になった途端、「非公開でないと話せない」というのは、筋が通らない(まして彼女は、元テレビレポーターであり、カメラには慣れたものではないか)。

 

「刑事訴追を理由とする証言拒否が増える」との意見もあった。百条委員会で証言拒否できるのは、「その証言によひ刑事訴追される恐れがあるとき」であって、そこに「公開か、非公開か」は全く関係ない。これはまったく法を理解していない主張である。(非公開だったら、官憲に気づかれず、訴追される恐れがなくなる?そんなバカなことがあるわけない)

 

「誤解に基づく中傷を招く」とも主張してきた。ならばなおさらインターネット中継し、ありのままの姿を残すことこそが、誤解を無くす手段ではないか。

 

 

 

私たちは選挙で選ばれた、公人中の公人である。

 

 

維新・井関議員は「公人である前に私人」だとして非公開を訴えたが、逆である。

私たちは、「私人である前に公人」なのだ。

 

 

もちろん、私にも、小林議員にも人権はあるのだが、総理であれ、地方議員であれ、公金を扱う立場にあり、そこに不正の疑いがあれば、そのことに関して、重い説明責任を負うのだ。公の場における一挙手一投足は、市民の厳しい目に晒されなければならないのだ。

 

そのことを分かっていなかったのか、それとも分かった上で、あくまで不祥事を隠していきたいのか。

都合の悪い時になれば、「私人」だと言って、説明責任と、市民の目から逃げようというのか。

 

 

 

明日はいよいよ、証人尋問。

ソレイユ堺、自民党、共産党、長谷川議員の賛成により、完全公開での証人尋問となる。

 

 

小林よしか議員には、公人たる自覚を持って、しっかりと真実を述べてもらいたいものだ。

 

 

 

 

堺市議会議員 ふちがみ猛志

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