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沢尻エリカさんについて保護司として議員として

俳優の沢尻エリカさんが禁止薬物を所持していたとして逮捕されたニュースが、連日メディアを賑わせています。

※JIJI.COMより

 

毎日、彼女が出演していたドラマが撮り直しになるとか、被害額が何億円になるだとか、そのような報道で溢れています。(以下リンク先は一例です)

https://jisin.jp/entertainment/entertainment-news/1797613/

 

それを目にする度、私が議員として、あるいは保護司として活動している立場から、何とも言えない重たい気持ちになります。

 

沢尻エリカさんは、犯罪者かもしれませんが、ほぼ間違いなく、患者でもあるはずです。「ドラッグ依存症」という病気の患者です。

また、犯罪だとしても、それは「被害者なき犯罪」と言われるものです。

 

私はこれまで、議員として断酒会など、依存症から脱却するための自助団体の皆さんとお付き合いをしてきました。そして、そこで「依存症は病気であること」「治療すれば改善すること」「治療には社会や周囲の理解が大事であること」「病気に至る様々な事情があること」を学びました。

これは、アルコール依存症だけでなく、ギャンブル依存症や、ドラッグ依存症も同じです。

 

違法ドラッグを使用したことそのものを庇うつもりはありませんが、犯罪者として叩いたり、依存症に陥ったキワモノ扱いするのではなく、依存症患者として包摂することが大事です。この視点がなければ、彼女を依存症から脱却させること(=再犯防止)は難しいでしょう。一人ひとりのドラッグ依存症患者の立ち直りなくして、社会へのドラッグの蔓延を防ぐことはできません

 

もう一つ。私は保護司として、再犯防止には「働ける環境」が大事だと学んできました。保護司で一番苦労するのは、出所者の働き口を確保することです。

しかし、今、彼女の周辺で起こっていることは、彼女を、彼女の働きの場から、徹底して締め出していくことです。

もちろん、芸能界はイメージが大事でしょうから、さすがにCMへの起用などは難しくなるでしょうし、ある程度は仕方ありません。ただ、ドラマを撮り直したり、過去の作品の公開を停止したりする必要性が、本当にあるのでしょうか?今回の件で、彼女の出演作品の「作品としての価値」が下がったりするのでしょうか?

中には「犯罪者の出ている作品など見たくない」という方もいるかもしれませんが、そもそも見たくない人は見なければいいわけだし、そんな方は少数派で、大半の人は「気にしない」だろうし、「応援する気持ちで見る」「野次馬的に見る」という人だっているでしょう。

少数のクレームを気にするあまりの過剰な反応だと思えてなりません。

「被害、被害」と言いますが、放送局が自らその被害を拡大させているようにすら思います。

 

犯罪者としてのバッシング、どんどん膨らませられる『被害』、撮り直しなどによる同業者への影響の拡大、、、、

 

といった今の流れは、

 

犯罪からの更生を目指す者の働き口を奪い

依存症からの脱却を目指す患者を精神的に追い込み

更生と治療を一層難しくさせることとなります。

 

「有名人だからいくらでも叩かれていい」なんてはずはありません。

 

すでにとてつもない社会的制裁を受けていますし、法的な裁きも遠からず受けることになるのでしょう。

 

依存症患者に対してはもちろんのこと、失敗をしてしまった人に対しても、もっと寛容で、立ち直りを皆で応援できる社会になってほしいと、議員として、保護司として、切にそう思っています。

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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