無責任なカジノ便乗と名ばかりの府市連携
明後日7月21日に、「大阪カジノの是非を問う住民投票の直接請求」がなされます。
これを受けて、20日以内に府議会が招集され、住民投票の要否について審議、採決がなされます。
維新が過半数を占める府議会では、否決されるものと見込まれていますが、国の認可条件に「十分な地元の合意形成」が含まれていることなどから、今後も大阪カジノについての議論は続くはずです。これらの状況については、先日の堺市での集会で、前堺市議の野村友昭さんから見事な説明がありましたが、ここでは割愛させてもらいます。
※本編と直接関係ありませんが、その集会の様子です。
さて、私がこの議論で繰り返し言い続けてきたのが、「堺市民にとって他人事ではない」ということです。
1つは、関連事業に府の財政負担が見込まれる中、私たちも府民の1人だからです。
もう1つは、永藤市長がカジノに便乗したベイエリア開発を進めようとしているからです。当然、そこには堺市の財政負担が発生します。
※堺グランドデザイン2040より。この「大阪ベイエリア」とは大阪IRの会場である「夢洲」だと、別のイラストでは明示されている。
そのような中、先日の議会で耳を疑う答弁がありました。
それは、私が「大阪カジノの想定年間来場者数2000万人」について問うた時です。
この「大阪カジノの想定来場者数2000万人」は、堺市が作ったものではなく、カジノ事業者が作り、大阪府市がその通りに計画に盛り込んだものです。
ただし、堺市もカジノ来場者をアテにして投資しようとしている以上、この「2000万人の信憑性」は、投資の可否を判断する上で、極めて重要な情報となります。
私はこの「年間2000万人」 について、極めて懐疑的に見ています。コロナ前のUSJですら、年間1460万人ですから、その1.4倍です。これを大阪カジノ(正確には大阪IR)で実現しようなど、無謀にもほどがあります。しかも、コロナ前の計画では1500万人とされていましたが、どういうわけかコロナを経て、それがボリュームアップしているのです。集客施設の1つである国際会議場が1/5にスケールダウンしているにも関わらずです。
そんな眉唾な「2000万人」を、堺市の担当部局がどう捉えているのかを質問したところ、
「私どもも、新聞報道等で周知しているというのが現状。この2000万人の根拠というのは、何に基づいているのかというのは把握していない」
「IRについては、情報がなかなか入ってこない。新聞等では出てくるけど、行政間ではなかなか入ってこない」
という答弁だったのです。
開いた口が塞がらないとは、このことです。
何かにつけて、「府市連携、府市連携」と言い続けてきた永藤市政ですが、中身を見れば、しょせんこの程度だったのです。
大阪府市からは情報すらもらえず、新聞報道頼みとは、それでよく多額の市費を「カジノの集客をアテにしたベイエリア開発」に投じようとしたものです。
受け身の姿勢を批判し、カジノの集客見込みについてちゃんと調べて報告するよう求めたところ、
「議会からご意見があったということで、大阪府・市のIRの担当部局に、情報について確認はしていきたい」
という答弁でした。
今まで、確認すらしていなかったのですね。
「府市連携」がいかに名ばかりのものなのか、よくわかるやり取りでした。
府市が発する情報の信ぴょう性については疑うこともなく、根拠を訊ねることもなく、これでは「府市連携」ではなく、単なる「府市追従」です。
ベイエリア開発そのものを完全否定するつもりはありませんが、(彼らが言うところの)財政危機宣言下で巨額の市費を投じるわけですから、責任を持って議会と市民に説明責任を果たしてもらいたいものです。
無責任な堺市当局の姿勢、いい加減な市費投入には、今後も厳しく臨んでいきます。
堺市議会議員ふちがみ猛志