熊本地震の経験に学ぶ
熊本に視察に行ってきました。
目的は、熊本地震を経ての防災への取り組みについて学ぶためです。
対応してくださったのは、熊本県危機管理防災企画監の有浦さん。
熊本県では平成26年に現在の防災センターを整備し、元自衛官である同氏を招聘、防災体制の構築に「自衛隊方式」を導入したそうです。
そして、熊本県地震の際にも同氏が陣頭指揮にあたったのです。
さすがは修羅場を乗り越えた方のお話、非常に示唆に富むものであり、説得力がありました。
たくさんの学びがありましたが、中でも印象に残ったのが以下の2点です。
一つ目が、即断即決には、アナログ的な可視化が大事だということです。
防災センターの様々な設備(道具?)を拝見しましたが、例えばこのホワイトボード。
災害発生時に、次々の入る情報を書き込むのですが、一般的にはこれが一杯になるとデジカメで撮影したりするのですが、熊本県ではビニールシートが三分割して何枚も貼られており、ページのようにぺらぺらとめくっていけるのです。
また、被害状況の把握も、紙に一覧にするのではなく、地図に付箋紙でぺたぺたと貼っていくのです。こうすると地理的にどこに集中しているのかなどが一目瞭然です。
こうした小さな工夫が、判断がを一分一秒単位で早め、人の命を左右することになるのかもしれません。
二つ目が、「避難所では住民を被害者扱いしない」ということです。「自治の住民として扱う」というのです。
住民にも様々な能力を持った方がいます。
調理師には避難所の調理担当を、看護師には衛生担当を、保育士には子どものケアを、というふうに。
そうして、行政職員が行政職員にしかできない仕事に専念するのです。それが復旧・復興を早めることにも繋がります。
当然、それぞれの被災者に、それぞれの被災状況、心身の疲労状況が違いますから、誰でも働かせるというわけにはいきませんが、少なくとも「お客様意識」ではなく、「自治の意識」を持つことが大事です。それらは、日常の災害に強いまちづくりにも通ずるものがあると思います。
他、学びの多い視察でした。
私自身も今回の経験を踏まえ、堺の防災センターの準備状況などを確認したいと思いますし、こうした経験を積まれた方にもぜひ堺市にもおいで頂いて、ご指導頂ければと思ったところです。
大雨が続く今週、防災について深く考える1週間となっています。
堺市議会議員 ふちがみ猛志