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特別委員会の意義と不要論

こんにちは。堺市議会議員のふちがみ猛志です。

 

先週金曜日、「孤独孤立社会対策調査特別委員会」が開催されました。

 

「孤独・孤立」に関係する健康福祉局、市民人権局、子ども青少年局、教育委員会の各局から、今ある堺市の孤独孤立対策の事業について説明を受け、多くの委員が活発に質問をしました。

今日はこの「特別委員会」について書きたいと思います。

 

常任委員会と特別委員会

48人の議員全員が集まって、堺市政の全般について議論する本会議場での大綱質疑(等)とは別に、堺市議会には6つの常任委員会があります。

「分野ごとに細かく議論する場」で、48人の議員が8人ずつ、6つに分かれて議論しています。

年4回の議会定例会で毎回開催され、長年にわたって市民人権、産業環境、建設、文教、総務財政、健康福祉の6つが常設されています(ゆえに常任委員会です)。私は今年度、文教委員会に所属しています。

 

一方、その時々で設置するのが特別委員会です。

その時に集中的に議論すべき旬なテーマや、上記の常任委員会では議論しづらい複数の委員会に跨るようなテーマを取り上げます。

 

たとえば冒頭の「孤独孤立社会対策調査特別委員会」は、コロナ禍で孤独・孤立が深刻化し、自殺や引きこもり、不登校、虐待などが増加していること。今年度、国で孤独孤立対策推進法が成立し、自治体としてもそれを受けての対策が急がれること。さらには多くの部局に跨るテーマであり、それらが連携した対応が必要であること。

こうしたことを設置の背景としており、まさに特別委員会にピッタリのテーマだと言えます。

他にも「新たな危機に立ち向かうまちづくり調査特別委員会」と「人口減少対策調査特別委員会」が設置されています。前者は災害だけでなく、感染症対策や、食糧危機等も想定しています。後者は…、説明不要ですよね。

 

過去には世界遺産登録を推進する特別委員会などもありました。

 

特別委員会の意義

私はこの特別委員会を大変意義深いものだと思っています。

 

常任委員会は(一般的に)議会定例会の会期中に開催されるので、本会議での質疑、予算や決算、その定例会に当局から出された議案の審査などもあり、どうしても慌ただしくなります。

 

一方、特別委員会は定例会の閉会中に行われますし、当局からの提出議案があるわけでもないので、じっくり準備をし、中長期的な課題に取り組むこともできます。そしてもちろん、複数の常任委員会に跨るテーマも取り上げやすいのです。

 

一つ事例を挙げるならば、昨年度(R4)の「育ちと学び応援施策調査特別委員会」でのこと。

私は翌年度(R5)に施行される子ども基本法(←旬なテーマ)について取り上げました。

この法律(および、すでに30年近く前に批准された子ども権利条約)が求めている「子どもの意見表明権」が、堺市の事務執行において保障されているのか、子ども青少年局、健康福祉局、教育委員会(←常任委員会の枠を超えた複数部局)に対し、具体的に確認しました。

 

結果、それが必ずしも保障されていないことが明らかになり、各事務執行において子どもの権利が保障されているか確認するよう、子ども青少年局が『全庁に』要請するに至りました。

https://fuchigami.info/%e5%ad%90%e3%81%a9%e3%82%82%e3%81%ae%e6%a8%a9%e5%88%a9%e3%81%af%e5%ae%88%e3%82%89%e3%82%8c%e3%81%a6%e3%81%84%e3%82%8b%e3%81%ae%e3%81%8b/

※質疑後に書いたブログ

 

手前味噌ですが、特別委員会ならではのいい質疑ができたと思っています。

 

なお、この事例に限らず、また私に限らず、少なからぬ議員が特別委員会だからこその取り組みや質疑をし、成果を挙げてこられました。

 

特別委員会不要論

さて、そんな特別委員会ですが、昨年度に急に降って湧いたのが「特別委員会不要論」でした。

 

毎年度の最初の議会定例会(5月議会)で、特別委員会の設置やその年度のテーマについて話し合われます。

長年、堺市議会では4つの特別委員会を立ち上げ、議長・副議長を除く46人の議員が分かれて所属するのが慣例でした(少なくとも私が議員になってからはそうでした)

それが昨年度になって、大阪維新の会が「特別委員会は不要」「設置する必要はない」「廃止すべき」との主張を始めたのでした。

 

他の会派は「必要だ」との主張でしたが、最大会派の意向を無視するわけにもいかず、結果的に1つ減らして3つにし、30人の議員が分かれて所属することで折り合いました。

 

そして今年度。

不要論を声高に主張されていた議員が落選していなくなったせいか、昨年度よりはトーンダウンした感もありましたが、維新の会として不要・廃止論を維持。

結果的に、「さらに減らす」ことは免れたものの、昨年度と同様の「3特別委員会で30人の議員が所属」となったのでした。

 

なぜ廃止を求めるのか

そもそも、特別委員会を不要とする理由は何でしょうか。

考えうる理由は以下の4つです。

 

1.議会事務局の負担を減らしたい

あまり理由を述べずに「不要」「無駄」「常任委員会だけでいい」を繰り返していた彼(ら)でしたが、「議会事務局の負担軽減」とだけはハッキリ述べていました。

委員会が減れば、その運営を担う議会事務局は楽になるわけですが・・・、そもそも議会事務局の仕事は「議会の議論が闊達になるようサポートすること」ですから、「議会事務局の負担を減らすために、議会の議論の場を減らす」というのは、本末転倒が過ぎると私は思います。

 

2.永藤市政が追及される機会を減らしたい

政治的には十分にありえる話ですが、市長本人に出席を要請することはほとんどありませんし、そもそも議会は行政のチェック機関ですからね。そんなバカげた理由(本音)ではないと信じています。

 

3.単に自分の仕事を減らしたい

同じ議員としてこれだけはあってほしくないのですが、ごく一部の人には本音としてこれがありそうで怖いところです・・。特別委員会がなくなれば、現に公務の日数が減るわけですからね。これは次項をご参照ください。

 

4.国会での議論を参考にした

実は国会でも特別委員会の削減が進んでおり、維新が主導しているので、「地方議会でも」と考えたのかもしれません。国会では「設置だけされて活動しない休眠状態」の特別委員会がある一方で、活動していないのに委員長に「日額6千円の手当」が支払われるということが、たびたび問題視されてきました(なので国会での不要論は当然だろうと思います)

※国会の特別委員会の削減に関するニュース(ABCニュースより)

https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000283289.html

 

しかし、堺市議会の特別委員会はちゃんと活動していますし、月額2万円の委員長手当も今はストップしています(ちなみに個人的には、責任と報酬は連動すべきであり、これくらいの額は妥当だと思っていますが)

なので、国会の特別委員会に見られる問題は存在せず、それに倣って「特別委員会は不要」だとする論調には、かなり無理があります。

 

結論として、堺市議会において不要論を後押しするような納得いく理由は、聞いたことがありませんし、思いつきません

 

報酬を減らすが仕事も減らす?

確実に言えるのは、「特別委員会がなくなると、その分、公務が減る」ということです。

慣例でいえば、例年、どの特別委員会も最低3日は活動してきました(準備的な会合を除く)

たいてい、当局に質問できる日があり、そこでちゃんと質問しようと思えば、準備に数日はかかります。

 

※ただし、そこで質問できる権利を放棄してしまう議員が少なくないことは、以前にもブログにしました。(「議会の質問は権利であり義務」↓↓↓)

https://fuchigami.info/%e8%ad%b0%e4%bc%9a%e3%81%ae%e8%b3%aa%e5%95%8f%e3%81%af%e6%a8%a9%e5%88%a9%e3%81%a7%e3%81%82%e3%82%8a%e7%be%a9%e5%8b%99/

 

私の感覚で言えば、特別委員会がなくなれば、年間で1週間くらいの仕事量が減ります。その浮いた1週間で別の仕事をすればいいのかもしれませんが、公務(議員としての公式の仕事)と政務(政治家個人としての仕事)を一緒にはできませんからね。

 

報酬の削減を盛んに求める人たちが、仕事量の削減にも熱心だというのは、「なんだかなあ」と思ってしまいます。

 

私はかねてより、(単純な)報酬削減には否定的で、「報酬に見合った仕事をすればよい」と思い、誇りを持って仕事をしてきました。公務を減らしたいなどと思ったことは一度もありません。

 

やるからには有意義な場に

あれこれと書きましたが、少なくとも今年度に関しては、全会派が一致して「設置する」と決めたわけです。

 

設置に関して様々な意見があるのは先述の通りですが、「する」と決めたからには、委員全員で有意義な場にしたいものです。

 

私は今年度、冒頭の「孤独孤立社会対策調査特別委員会」の委員長を拝命しています。

公正中立の委員長の立場なので、自分で質問ができないのが歯がゆいところですが、委員の皆さんが積極的に質問や発言をしやすい場、またいい学びを得られる場を作れるよう、頑張りたいと思います。有意義な場にする責任者が、委員長です。

※委員長の私と、副委員長の上田議員(公明)

 

そして委員の皆さんに「設置してよかったやん」と実感していただき、来年度には「設置か、廃止・削減か」を議論しなくていいようになれば・・とも思っています。

 

 

 

堺市議会議員ふちがみ猛志

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