被虐待乳児の受け入れ施設が堺に
堺市で今年度から始まった、児童養護施設の乳児棟を視察しました。
虐待や親との死別などで家庭で暮らせなかった子どものための施設として、0~2歳の子どもについては、乳児院があります。
堺市の対象乳児は、泉大津市にある「いずみ乳児院」に措置されることが多いのですが、昨今の虐待事案の増加を受け、「堺市にも乳児院を」との声が、かねてより上がっていました。
ところが、その必要性があるにも関わらず、近年、厚生労働省が「施設よりも家庭優先」を強く打ち出すようになり、施設の新設を原則認めなくなってしまったため、堺市が打ち出した苦肉の策(?)が、「児童養護施設に、乳児専用棟を設置する」というものだったのです。
前置きが長くなりましたが、こうして初めて、堺市で虐待された乳児を受け入れられる「施設」が誕生したのでした。
やはり現場に行くと、色々と課題認識が深まるものです。聞こえなかった声が聞こえるものです。
児童養護施設(乳児棟)もスタッフの多くは保育士で、その保育士確保に困っているのは、保育所と同じなのに、保育士確保のための施策で、児童養護施設には適用されていないものがあること。
退所後の支援については、あらゆる社会的養護の施設の共通課題と言えますが、国の施策が非常に使い勝手が悪いこと。
社会的養護の現場では、家庭的な小舎制が強く推進されていますが、絶対的にそれがいいとも限らないこと。(デメリットもあること)
などなど。
色々とわかりましたので、そのあたりを、これからの議会で取り上げていきたいと思います。
それにしてもつくづく思うのは、虐待された子のための施設など、「社会的養護」の分野に声を上げる政治家が少ないことです。保育所などに比べ、まだまだ政治・行政のサポートが不十分に思えます(保育所も十分と言えませんが)。
なぜ声を上げる政治家が少ないのがなぜかと言えば、この分野の当事者の大人が少なく、政治に声が届きにくいからです。
声が届かないならら届かないなりに、政治家の側が現場に足を運び、声を拾っていく。そんな姿勢が必要なんであろうと思います。
堺市議会議員ふちがみ猛志