議会対応は役所業務の大前提
コロナ禍で、関連するご要望を市民の皆さんからたくさん頂いています。
それなりに対応させてもらえるケースもあれば、本来は議会で取り上げなければならないような、重い課題もあります。しかしそんな時、こんなお返事せねばならないことがあります。
「この件は、議会では取り上げられないことになっています」
すると要望に来られた方々は一様に驚き、「なぜ!!??」という反応をされます。市民の最大の関心事とも言える、コロナ関連のことこそ議会で議論すべきとお考えなのでしょう。よくわかります。
実は、コロナ禍発生以降の約2年に亘り、議会では「コロナ対応で多忙極める部署」への質疑を、申し合わせにより見合わせています。具体的には、保健所や感染症対策課などで、休校・休園が急増した今議会では、学校総務課や幼保運営課も追加で対象となっています。
また、コロナ前に比べ、質疑の持ち時間も2/3に減らしています。
極端な話ですが、これは「津波が押し寄せている時に議会を開くのか?」「大火事の消火活動をしている消防職員を議会に呼ぶのか?」なんて話と(程度は違えど)一緒で、「いくら議会と言えど、市民の命や財産に差し迫った危機がある場合は、当然、議会対応よりも優先される」ということです。
そして、この2年間のコロナ禍は、まさに災害のようなもので、その対応を「議会対応よりも優先すべきもの」と、議会自身が判断してきたわけです。
この2年間の議会の判断については、私自身、思うところがないわけではありませんが、その時々の議長も苦渋の決断をされてきたはずですし、とやかく言うつもりはありません。
ただ、市長サイドも議会もこの状況に慣れてはいけない、と思うのです。
あくまでもこの措置は、緊急避難なのですから。(もちろん、誰もそれに慣れてしまってはいない、と私は信じています。)
そもそも、なぜ市長や、市職員が公金を扱い、公権力を行使できるのか?
それは議会のチェックを受けているからです。議会がチェックしようと思えば、チェックできる状況にあるからです。
話は違うのですが、最近、私の娘に携帯電話を持たせることにしました。それにあたり、親としては「こういう使い方をしてはいけない」と条件を付けています。そして、「見せなさいと言われたら見せるように」という約束をしています。実際に、子どもの携帯の中身を見るかどうかはさておき、「要求があればいつでも見せる」というのが、娘の適正使用を担保しているわけです。
議会のチェックも似たようなものではないかと思います。
ですから、「〇〇については質疑できない」という状態は、その業務の公正性を揺るがすものだと、私は思っています。(緊急避難的措置はやむを得ず、これまではそうだったわけですが)
議会対応は、役所側にとって「余裕があればやる」というものでは決してありません。
極端に言えば、ありとあらゆる業務の「大前提」にあるものです。
また、いくらコロナで大変だからとは言え、「議会対応できる体制を整えることも市長の責務」なのです。
この間、議会がそうやって配慮して、制約を加えざるを得なかったのは、裏を返せば、市長がその責務を果たしてこれなかったということです。残念ながら…、事情が事情とは言え…です。
組織改正というものは、都度都度行っているものの、やはり年度途中での大規模な改正は難しいものです。だから、年度変わりを迎えるこのタイミングで、「コロナ関連部署でも議会対応できるような体制構築を」と、大綱質疑で市長に求めました。
コロナ禍発生から2年、20ある政令市で、今もなおこれほどの配慮をしているのは堺市議会だけであるということ。
コロナ関連部署の時間外勤務は大幅に増えているものの、役所全体ではそれほど増えていないということ(つまり、全体でカバーできるということ)。
そのようなことを示しながら、市長の見解を問いました。そして、
「通常の議会対応に戻すことが望ましい」
という、ごくごく当たり前の認識を確認させてもらました。
もちろん実際にできるかどうかは、第6波がどのように終息するか、第7波がくるかどうか、またその大きさによっても変わってくるかもしれません。
しかしながら、これは他市ではできていること、国会でもできていることです。堺市だけが「忙しくて議会対応できない」というのは、市長にとっても恥ずかしい話です。
そんなことにならない、次の5月議会を期待していますし、遠慮することなく当局に議会質疑に臨みたい、市民の知る権利に応えたい、最大の関心事(コロナ)についても質していきたい、議会議員として、そう思っています。
堺市議会議員ふちがみ猛志