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議員の育休は是か非か?

男性国会議員(妻も国会議員)が育休を取ろうとしていることが、話題になっている。

【国会議員カップル「育休とりたい」 制度ないけど計画】
http://www.asahi.com/articles/ASHDQ5DCRHDQUTFK00T.html

賛否双方の声が上がっており、私もいろんな意見に目を通した。
双方とも理解できる点もあり、首を傾げる点もある。

で、つらつら私なりに、このことについて考えてみた。

実を言うと、私はわずか三日だけだが、育児のために議員活動・政治活動を完全に休んだ。
「なんちゃって育休」であるが、育休と言えば、育休。
しかし、色々悩んで、議会などの公務は休まず、公務のない三日を選んだ。
(過去ブログ「育休」→ http://ameblo.jp/fuchigami1/entry-12072834144.html )

さて、そんなことも踏まえ、結論を言うと、

・子育ては千差万別だから、まわりがとやかく言うことではない

・公人たる責任は、今後、結果で示せばいいし、その結果には周りがとやかく言うべし

本件の賛成派・反対派の意見は、概ねこんなかんじ(私の見たかぎり)。

【賛成派】
①少子化社会において、男性が育休を取ることはいいこと。
②男性の育休への社会の意識が変わるきっかけになるかも。
③実体験が、議員として育休・育児の政策立案するのに役立つ。
④隗より始めよ。育休推進するなら、自分が取るべき。

【反対派】
A. 国会議員は制度設計が仕事。そこに注力せよ。
B. 国会議員は時間に融通が利く仕事で、なんとでもなる。
C. 国会議員は労働環境(自由な時間が多い)、給与面(絶対額も多く、育児で休んでも減らない)など、一般人のそれらと比べて圧倒的に優遇されており、社会へのきっかけや、一般人への応援、制度設計の参考になどならない。
D. ただのパフォーマンスに過ぎない

まあ、全部わかります。

私自身がごくわずかとは言え、なぜ育休を取ったのかと言えば、賛成①~④の理由もあるし(②はあんまりないかな。「ブログを読んだ人くらいには、、」という程度か。)、

なぜ公務のある日にそれをしなかったのかと言えば、反対理由ABだったり(「国会議員」を「市議会議員」に変換してください)、Dと思われたくなかったから。
あるいは、Cゆえに、その後も、他人に「少しくらい取れますよ」なんて、言ったことはない。
私のサラリーマン時代の会社なら、まず取れなかっただろうし。(今は知らないが当時は。。。)

で、私が冒頭の二つの結論について説明すると、、、、

そもそも、子育ては千差万別。

子どもの兄弟構成、性格、体調、障害の有無、
両親の健康状態、
祖父母など周囲のサポート環境、

などによって、全然違う。

私も三人の子どもがいるが、乳児期の子育てだけ見ても、一人目、二人目、三人目で全然違う。

私が、三人目にして、わずかとは言え休みを取り、24時間x3日間、育児・家事をすべて担い、妻の完全休養にしようと思ったのは、

・妻が病気をして体調が悪かった(これが大きい)
・(病気の投薬で)初のミルク育児となり、負担が大きくなった一方、私でも対応できるようになった
・子どもが三人で、物理的に大変
・二人目(長男)の赤ちゃん返りが激しく、大変だった(今もだけど、、、)

という変化があったことが大きい。

たとえ、三人の子どもがいても、それほど大変ではない家庭もあるだろうし、
逆に、もっともっと大変な家庭もあるだろう。
それどころか、一人っ子ゆえに、精神的に逃げ場がなくなることだってある。

要するに、

今回話題の、宮崎議員・金子議員夫婦とその子どもについて、「あなたたちは、何を知ってるの?」と聞きたい。

反対派の言ってることは、私も議員だからわかる。

でも、、、

実は、彼らのお子さんに障害があったら?(内緒にしてるだけで)
すでに金子議員が産前うつを患っていたら?(笑顔の裏で)
すでに病気が発覚していて、出産後に手術する予定だったら?

二人が初めての育児にものすごいプレッシャーを感じて、精神的に辛い思いをしてたら?
両親の協力を全く得られず、むしろ介護している状態だったら?

例え、そこまでいかなくとも、千差万別の子育てにおいて、「私はできたのだから」と、知りもしない他人の子育てのやり方(育休を取るとか)について、あれこれ批判し、反対するのには、違和感がある。

何人かの国会議員がそうした指摘をしているが、それって、「私の時代は子育ては女だけでできた」とか、「あいつは育休取らずに仕事に頑張ってるぞ」みたいな発想と、程度の差こそあれ、同じ延長線上にあると思う。

だから、「まわりがとやかく言うことではない」と思うのだ。

もちろん、彼らに、子育てをする上での障壁がなく、まったくもって反対派の言う通りかもしれないけど、それは当事者にしかわからないことだ。
大変さの感じ方も人それぞれ。

一方で、彼らが育休を取ろうが、取るまいが、大事なのは、制度設計において結果で示すこと。これは反対派の言う通り。
しかし、だからこそ、育休後、制度設計でしっかり結果を出せば、それでいいんじゃなかろうか。
そこに、彼らなりの育休の経験が活かされていたならば、なおいいわけだし。
逆に、何の結果も出せないようなら、その時初めて、彼らを批判すればいいんじゃなかろうか。

ちなみに、こんなこと書いたものの、そんな彼らの結婚式にマスコミのカメラが入って、すかさず官房長官や厚労大臣がプッシュする発言をしてるあたり、組織的なパフォーマンスのようには思うけどね。

ただ、それもあくまで私の憶測だから。
結局は、上記の二つの結論の通り。

いずれにせよ、私はたとえ三日とはいえ、育児・家事に専念する時間をとれたことが、本当によかったと思っている。
個人にとって、家庭にとって、さらに議員としても。

だから、もちろん、これをいつか、遠からず、制度設計に活かすつもりでいる。

堺市議会議員  ふちがみ猛志

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