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鳥取視察レポート①~広域自治体の役割~

2月8、9日に鳥取県に視察に行ってきました。

 

一番の目的は「森のようちえん」の現地視察です。「森のようちえん」とは、わかりやすく表現するならば、「園舎のない幼稚園」、「毎日が自然の中で遠足の幼稚園」です。

 

その現地視察を9日に控え、前日の8日は鳥取県庁にて、「森のようちえん」認証制度の他、子育て支援施策全般について説明を受けてきました。

 

 

 

 

 

鳥取県では10年前に合計特殊出生率が1.43にまで低下し、本格的に子育て支援の強化に乗り出し、平成28年には1.60にまで回復しています。参考までに案内しますと、全国平均が1.45、大阪府が1.36、大阪市が1.26、堺市は1.49です。

 

 

鳥取県の取り組みを聞き、私が感じたのは以下の3点です。

 

①イメージの打ち出しの大事さ

②やるべき範囲の切り分け

③広域自治体としての役割

 

それぞれについて説明します。

 

①イメージの打ち出しの大事さ

鳥取県では、「子育て王国とっとり条例」を制定し、「子育て王国とっとり会議」を設置、「結婚、妊娠、出産支援」、「子育てと学びの支援」、「職業生活と家庭生活の両立支援」、「地域子育てへの支援」、「要支援の子ども、家庭への支援」を推進すべき施策の柱としました。

あくまで同条例は理念条例でしょうが、子育てに注力すること、その具体性を広く示すことに繋がり、同県のイメージアップに寄与しているはずです。

同様に、全国で真っ先に「森のようちえん」認証制度を設け、これを県内に広めたことは、これを目的に移住してきた人数以上に、「鳥取は自然の中で子育てができる」というイメージを広めたことに、その成果があったはずです。

 

②やるべき範囲の切り分け

子育て支援施策を数多く実施している同県ですが、一方で、「やるべきだろうか」と感じるものも、わずかながらありました。

一つは婚活支援です。婚活イベントや、出会いサポートセンターの運営ですが、こうした事業は十分に民間企業が行っていますし、わざわざ後発で行政が乗り出すことには違和感がありました。

二つ目は、在宅育児世帯への支援です。1才までの在宅育児に月額3万円を支給していますが、考えようによっては、女性の社会進出を抑制しかねない施策であって、これにも疑問を感じました。

堺市は、より財源に限りのある基礎自治体ですから、あれもこれもではなく、施策の取捨選択は不可欠です。

 

③広域自治体としての役割

鳥取県と大阪府では、自治体規模も違えば、域内の市町村の規模も違います。鳥取県内の19市町村中、市はわずか4です。よって、広域自治体の役割を単純には比較はできません。しかし、そうだとしても、子育て支援への取り組みは、雲泥の差としか言いようがありません。

 

例えば子ども医療費助成制度は、下記の通りです。

 

大阪府 … 小学校入学まで。所得制限あり(子ども2人だと年収319万まで)。

鳥取県 … 高校卒業まで。所得制限なし。

 

一般的に市町村は、都道府県の制度に上乗せして助成しています。

 

例えば、堺市では中学校3年生まで所得制限なしで助成しています。大阪府との差額分は、堺市負担です。つまり、小学生、中学生のすべてと、未就学児の年収300万円前後(子どもの数により変わる)を超える人、その医療費助成は堺市負担です(って、ほとんどやん!)。

一方で、仮に堺市が鳥取県内の自治体ならば、堺市負担はゼロです。それどころか、いま堺市やろうとしている18歳までの拡充も、県がすでにやってくれているのです。

ここまで県がやってくれているなら、浮いた財源を、様々な取り組みにまわせることでしょう。

 

子ども医療費助成だけでなく、多子家庭支援や、不妊治療費助成など、大阪府にはない子育て支援施策が目白押しでした。

 

まったく規模や環境の違う自治体ですから、単純比較はできませんが、少子化対策や子育て支援がこれほどにクローズアップされている時代ですから、大阪府も子育て支援を市町村任せにせず、域内の底上げにもっと本気になってもらいたいものです。

 

堺市としてもこれから子育て支援に一層注力していくのはもちろんのこと、他市町村と協力して、府にも働きかけていかなければならないと、強く感じました。

 

 

ずいぶんと長くなりましたので、視察の主目的である「森のようちえん」の現地視察は、次のブログにて!

 

 

堺市議会議員 ふちがみ猛志

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